根井 雅弘
『経済学はこう考える 』
(ちくまプリマー新書)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/35/78/7bf99569b1b355fd10a92aeace409266_s.jpg)
この本の説明
内容(「BOOK」データベースより)
私たちはなぜ、何のために経済学を学ぶのだろうか?
「冷静な頭脳と温かい心」「豊富の中の貧困」など、
経済学者たちはこれまで、考えを尽くし、
さまざまな名言を残してきた。
彼らの苦悩のあとを辿り、経済学の魅力を伝授する。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
根井/雅弘
1962年宮崎県生まれ。
早稲田大学政治経済学部卒業。
京都大学大学院経済学研究科博士課程修了。
現在、京都大学大学院経済学研究科教授。
専攻は現代経済思想史。
経済学の歴史を丁寧にひもとき、
経済学者らが残していった思想や考え方を、
多くの読者に伝えつつ、経済学のさらなる発展に努めている
(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
この本の登録情報
新書: 124ページ
出版社: 筑摩書房 (2009/01)
ISBN-10: 4480688013
ISBN-13: 978-4480688019
発売日: 2009/01
商品の寸法: 17 x 10.6 x 1.4 cm
レビュー1
経済学のさらなる発展を求めて―奥深い現代的良書の登場! 2009/5/3
By TKMT
全4章から構成される本書は,
本文120頁強の小さな作品だ。
しかし単なる紹介や解説とは違い,
著者である根井氏の「経済哲学」ともいうべき内容が冷静かつ平易に語られている。
「ジュニア向けの本」ではあるが,
あらためて「経済学とは何か」や「経済学の考え方」を真摯に学び直したい人にも
優れた指針を提供するであろう。
本書は「読む」というより一文一文を「味わう」作品ではなかろうか。
氏の処女作は20代の若さで刊行された
『現代イギリス経済学の群像』(1989年)。
本書においてもそこで扱われた論者が随所に登場し,
彼自身のこれまでの経済学研究の軌跡を髣髴とさせる仕上がりとなった。
マーシャル,ケインズそしてJ・ロビンソンなど,
現在の学生が主体的に読まなくなった作品の魅力を明快に論じる姿勢には,
彼らの学説に対する愛着が潜んでいることは当然だが,
教科書で「通説」といわれるものがいつの日か「真理」でなくなり,
再検討を迫られることがあるかもしれないという率直な問題意識も反映されている。
更にいえば,自分なりの研究分野をしっかりともち,
広い視野と謙虚な心構えで学ぶことの重要性が示唆されている。
それが本書執筆の目的であり,全体を通じて強調したいメッセージであろう。
たとえば著者は,「J・ロビンソンの『経済学者にだまされるな』というモットーは、
『正統』『異端』を問わず,
たとえ著名な学者や研究者の言うことであっても,
それを鵜呑みにすることなく,
まず自分の頭で徹底的に考えてみることをすすめる教訓として捉えるとよいのではないでしょうか」(103頁)
と述べている。
なかなか印象深い見解だ。
カッセル方程式の間違いを指摘したことをめぐる,
京大教授の柴田敬氏の勇気ある行動(信念)を想起させられた。
巻末にある安井琢磨氏の「日本経済学の反省」を扱った記述も示唆に富む。
「経済学のさらなる発展に努めている」著者の研究動向に今後も注視したい。
レビュー2
歴史上の有名経済学者たちの相関図がすんなり頭の中に入った 2009/2/15
By 麒麟児 トップ1000レビュアー VINE™ メンバー
何といっても、分かりやすい叙述によりこれまでぼんやりとしていた当該相関図が
明快に理解できたのが収穫。
(例えば、古典派(スミス、リカード、ミル)と
限界効用派(ワルラス、メンガー、ジェヴォンズ)の対立と
その止揚(マーシャル、ピグー)、
ケインズとハイエクの学説史的相違点、
舞台を変えての「自由放任主義」を巡る左派ケインジアン(ロビンソン、カレツキ)
対新古典派総合(サミュエルソン)+マネタリズム(フリードマン)の対立、
合理的期待形成仮説(ルーカス)の登場などなど。)
しかしながら、ケインズやカレツキの「一般理論」やフリードマンの「貨幣数量説」に関する説明は、
限られた紙幅の都合もあるが、
これだけで一定のベーシックを理解せよというのは、
元々難があるように思った。
内容的には、何と云っても第一章が分かりやすく秀逸。
「何事もバランス感覚は必要で、
市場経済の利点を生かすべき分野と、
政府がきちんと規制しなければならない分野とは慎重に区別しなければなりません」(104頁)
という筆者の立場からは、
筆者がスミスやマーシャルに起源を有する「イギリス経済学」に
同感を持っているのは明らかであるように思われる。
また、カレツキの「政治的景気循環」(98頁)や
ガルブレイスの「満ち足りた選挙多数派」(114頁)の考え方も大変興味深く読ませて頂いた。
(この伝でいけば、現下のデフレの永続を望む経済支配層がいてもおかしくはないようにも感ずる。)
レビュー3
3.0 経済学史入門の足がかりとして、どうぞ 2010/8/10
By wierbeau
~人間社会にとって幸福とは?自由とは?平等とは?
景気や雇用不安を考えるための入門書~
と帯には書いてあるが、
幸福・自由など倫理的な事柄は余り書かれてない。
だが著者は、
現代経済学者ら(主にマーシャル、ケインズ、J・ロビンソン)が
どのような目的を現実に対する苦悩とともに抱いて経済学者として生きたのかを論じることで、
読者自身に、経済社会の中での人間の幸福や自由・平等について
考えてもらいたいのではないだろうか。
難しくなりすぎないよう配慮はされているとは感じたが、
第二章からは経済の専門的な内容が含まれているので、
予備知識がないと途中で読み飛ばしたくなるかもしれない。
2日(水)BookOff、IWZ店に行ってきました。すごい人でした。
本・CDが20%off、通常売価105円のこの本も84円で買いました。
13時56分
『経済学はこう考える 』
(ちくまプリマー新書)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/35/78/7bf99569b1b355fd10a92aeace409266_s.jpg)
この本の説明
内容(「BOOK」データベースより)
私たちはなぜ、何のために経済学を学ぶのだろうか?
「冷静な頭脳と温かい心」「豊富の中の貧困」など、
経済学者たちはこれまで、考えを尽くし、
さまざまな名言を残してきた。
彼らの苦悩のあとを辿り、経済学の魅力を伝授する。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
根井/雅弘
1962年宮崎県生まれ。
早稲田大学政治経済学部卒業。
京都大学大学院経済学研究科博士課程修了。
現在、京都大学大学院経済学研究科教授。
専攻は現代経済思想史。
経済学の歴史を丁寧にひもとき、
経済学者らが残していった思想や考え方を、
多くの読者に伝えつつ、経済学のさらなる発展に努めている
(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
この本の登録情報
新書: 124ページ
出版社: 筑摩書房 (2009/01)
ISBN-10: 4480688013
ISBN-13: 978-4480688019
発売日: 2009/01
商品の寸法: 17 x 10.6 x 1.4 cm
レビュー1
経済学のさらなる発展を求めて―奥深い現代的良書の登場! 2009/5/3
By TKMT
全4章から構成される本書は,
本文120頁強の小さな作品だ。
しかし単なる紹介や解説とは違い,
著者である根井氏の「経済哲学」ともいうべき内容が冷静かつ平易に語られている。
「ジュニア向けの本」ではあるが,
あらためて「経済学とは何か」や「経済学の考え方」を真摯に学び直したい人にも
優れた指針を提供するであろう。
本書は「読む」というより一文一文を「味わう」作品ではなかろうか。
氏の処女作は20代の若さで刊行された
『現代イギリス経済学の群像』(1989年)。
本書においてもそこで扱われた論者が随所に登場し,
彼自身のこれまでの経済学研究の軌跡を髣髴とさせる仕上がりとなった。
マーシャル,ケインズそしてJ・ロビンソンなど,
現在の学生が主体的に読まなくなった作品の魅力を明快に論じる姿勢には,
彼らの学説に対する愛着が潜んでいることは当然だが,
教科書で「通説」といわれるものがいつの日か「真理」でなくなり,
再検討を迫られることがあるかもしれないという率直な問題意識も反映されている。
更にいえば,自分なりの研究分野をしっかりともち,
広い視野と謙虚な心構えで学ぶことの重要性が示唆されている。
それが本書執筆の目的であり,全体を通じて強調したいメッセージであろう。
たとえば著者は,「J・ロビンソンの『経済学者にだまされるな』というモットーは、
『正統』『異端』を問わず,
たとえ著名な学者や研究者の言うことであっても,
それを鵜呑みにすることなく,
まず自分の頭で徹底的に考えてみることをすすめる教訓として捉えるとよいのではないでしょうか」(103頁)
と述べている。
なかなか印象深い見解だ。
カッセル方程式の間違いを指摘したことをめぐる,
京大教授の柴田敬氏の勇気ある行動(信念)を想起させられた。
巻末にある安井琢磨氏の「日本経済学の反省」を扱った記述も示唆に富む。
「経済学のさらなる発展に努めている」著者の研究動向に今後も注視したい。
レビュー2
歴史上の有名経済学者たちの相関図がすんなり頭の中に入った 2009/2/15
By 麒麟児 トップ1000レビュアー VINE™ メンバー
何といっても、分かりやすい叙述によりこれまでぼんやりとしていた当該相関図が
明快に理解できたのが収穫。
(例えば、古典派(スミス、リカード、ミル)と
限界効用派(ワルラス、メンガー、ジェヴォンズ)の対立と
その止揚(マーシャル、ピグー)、
ケインズとハイエクの学説史的相違点、
舞台を変えての「自由放任主義」を巡る左派ケインジアン(ロビンソン、カレツキ)
対新古典派総合(サミュエルソン)+マネタリズム(フリードマン)の対立、
合理的期待形成仮説(ルーカス)の登場などなど。)
しかしながら、ケインズやカレツキの「一般理論」やフリードマンの「貨幣数量説」に関する説明は、
限られた紙幅の都合もあるが、
これだけで一定のベーシックを理解せよというのは、
元々難があるように思った。
内容的には、何と云っても第一章が分かりやすく秀逸。
「何事もバランス感覚は必要で、
市場経済の利点を生かすべき分野と、
政府がきちんと規制しなければならない分野とは慎重に区別しなければなりません」(104頁)
という筆者の立場からは、
筆者がスミスやマーシャルに起源を有する「イギリス経済学」に
同感を持っているのは明らかであるように思われる。
また、カレツキの「政治的景気循環」(98頁)や
ガルブレイスの「満ち足りた選挙多数派」(114頁)の考え方も大変興味深く読ませて頂いた。
(この伝でいけば、現下のデフレの永続を望む経済支配層がいてもおかしくはないようにも感ずる。)
レビュー3
3.0 経済学史入門の足がかりとして、どうぞ 2010/8/10
By wierbeau
~人間社会にとって幸福とは?自由とは?平等とは?
景気や雇用不安を考えるための入門書~
と帯には書いてあるが、
幸福・自由など倫理的な事柄は余り書かれてない。
だが著者は、
現代経済学者ら(主にマーシャル、ケインズ、J・ロビンソン)が
どのような目的を現実に対する苦悩とともに抱いて経済学者として生きたのかを論じることで、
読者自身に、経済社会の中での人間の幸福や自由・平等について
考えてもらいたいのではないだろうか。
難しくなりすぎないよう配慮はされているとは感じたが、
第二章からは経済の専門的な内容が含まれているので、
予備知識がないと途中で読み飛ばしたくなるかもしれない。
2日(水)BookOff、IWZ店に行ってきました。すごい人でした。
本・CDが20%off、通常売価105円のこの本も84円で買いました。
13時56分