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ブランド価値重視の経営とは

2013年01月23日 12時19分58秒 | 話題・Newsなど
経営戦略
日本企業は昔のパンパースと同じ間違いを犯している
ブランド価値が企業の優劣を決める今、
やみくもに品質を追求してじり貧に陥らないための、
本当の成長戦略とは

2013年01月22日(火)16時40分
千葉香代子(本誌記者)

 日本ブランドが危なくなって久しい。
今では世界に2つとない心躍る製品を生み出しているのは
ソニーでもパナソニックでもなくアップルであり、
アップルを脅かしているのはサムスン電子だ。
さらにそのすぐ後ろには、中国勢も迫っている。

一方、株式時価総額に占めるブランド価値の比率は高まる一方で、
ブランド戦略は成長戦略そのもの。
米プロクター&ギャンブル(P&G)の元グローバル・マーケティング責任者で
『本当のブランド理念について語ろう──「志の高さ」を成長に変えた世界のトップ企業50』の
著者であるジム・ステンゲルに、
ブランド価値向上の秘訣と日本ブランド再生のヒントを聞いた。

写真:メンター P&Gを大きく成長させた経験から経営者に助言するステンゲル

──消費者の忠誠心と財務成績をベースに世界のトップブランドをランキングした
「ステンゲル50」に入った日本企業は、
楽天市場一社だけだった。なぜこんな結果になったと思うか。

 日本にもトヨタ自動車のように素晴らしい会社があり、私は高く評価している。
東日本大震災の影響がなければ、トヨタはリスト入りしていただろう。

 一方、日本企業はあまりにも長い間、
製品、技術、生産すべてがうまく行き過ぎて、
マーケティングをあまり重視してこなかったのも事実だ。
製品は勝手に売れたし、販売網もあったし、市場も大きかった。
未来を作らず、新しい需要も作らず、革新的な製品も生まれない。
だが、今後数年の間には非常に面白い変化が起こるだろう。
主要産業の主要企業のなかにも、うまくいかないところが出てきたからだ。

  成長する企業はマーケティングを重視し、
グローバルに戦えるブランドを作る。
日本に必要なのはグローバルブランドだ。
韓国にも中国にも非常に強いブランドがある。
日本企業はいくつかの韓国企業に遅れているし、
中国企業も急速に台頭している。
彼らには、グローバルブランドを作ろうという大きな野心がある。
その点、日本は遅れている。

──アメリカの優良企業で構成するS&P500社の株式時価総額のうち、
1980年にはほとんどすべてが工場や現金などの有形資産だったが、
2010年にはそれが40~45%に落ち込んで、
半分以上がブランド価値のような無形資産になったとある。

  ブランドの重要性を裏付けるデータだ。
実際、「ステンゲル50」に入ったトップブランド企業と
S&P500社の株価のパフォーマンスを比べると、
2000年1月からの11年間でステンゲル50社の株価は382.3%、
S&P500社は-7.9%と大きな差がついている。

 ブランドの価値が会社の価値の半分を占めるなら、
当然、それに責任を負う人間が必要だ。
日本企業には、そういう人間がいないのではないか。

国際的ブランド価値確立の必要性、ブランド資産形成の財務構造、
ブランドの確立は、人材の開発が必要など、うなづけることばかりだ。