これまでの政策論をみると、理念に過ぎて現実を十分踏まえていない政策論が散見される。
例えば,市民・NPO像であるが,自由と責任をわきまえ,自立し、合理的判断に基づいて行動する市民・NPOであるが,現実の市民・NPOの多くは,ともすると公共に依存しがちな市民・NPOである。もちろん、こうした例外も多く、また、自立のための努力している市民・NPOが数多くあるのを知っているし、本来の、あるべき論から . . . 本文を読む
昨年の秋に、学生たちと共同で、『協働社会をつくる条例-自治基本条例・市民参加条例・市民協働支援条例の考え方』(ぎょうせい)という本をつくった。全国の自治の基本条例(自治基本条例、市民参加条例、市民協働支援条例)を調査して、それらを横並びにし、各条例の水準・到達点を整理してみたものである。
インターネットの時代、この種の○×表はすぐに手に入るが、あえて63の条例の全文比較表をつくってみたのは、 . . . 本文を読む
かみくだくこと=噛み砕き力
どんな基本条例が必要ですか→役所に対しておかしいと思ったことや、こうしてほしいということはありませんか。これを逆転させれば、条例として規定したいことになる。 . . . 本文を読む
市民は知らないということから出発する。
たくさんの広報。市民は知っているのではないかと思ってしまう。
たくさんの情報があるということは、目に留まらないということでもある。
そのギャップを自覚して、話を始めること。
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自治基本条例はブームである。ここ数年の間に、全国の自治体で急速に制定されはじめ、今では制定済みの団体数は50前後にはなっているだろう。検討中を含めると100以上の自治体で自治基本条例に取り組んでいるということになろう。
これだけ検討が進むと、条例の内容及び制定過程に共通の傾向が見られるようになる。横並びになるのである。本稿は、すでに制定済みの条例を対象に、条例内容を分析し、これを横並びにして比 . . . 本文を読む
1.なぜ自治基本条例が必要なのか
基本的なことは、自治の今後である。人口減少、グローバル化、地方財政の逼迫、地方分権の推進等で、役所と市民・NPOが協働しなければ、自治(まち)をつくれなくなったことになる。要するに市民が幸せになれなくなったということである。
少し詳しく説明すると、
第一は、政府を市民の政府としなければいけない。政府は、最も重要な公共の担い手であるが、それを市民による、市民の . . . 本文を読む
自治体の収入が減るなかで、提供するサービスの質を下げることができれ辻褄はあう。
ところが商売の世界では、すでにお客さん一人ひとりのニーズに対応する”One to One”マーケティングサービスが普通になっている。旅の好み、ホテルの好みを把握、分析して、次はこんな旅はどうですかという「きめこまかな」サービスである。コンピュータ、インターネットがそれを可能にしている。
行政サービス、社会サービス . . . 本文を読む
(質問)市民参加の正当性をめぐっては、従来型モデルでは、国民の代表から構成される議会が法律や予算の議決を行うという図式が維持されることで、その関係から生み出される政策についての民主制が担保されるのに対して、パートナーシップ型モデルによる問題解決においては、制度上はこのようなルートで正当性を確保することができないのではないか。
従来型とパートナーシップ型のどちらかを選択するという究極の選択の問題 . . . 本文を読む
せっかくの出した提言は採用されない場合がある。この場合は、行政の背信が非難の対象になる。
逆に、提言を丸ごと採用される場合がある。この場合、民主的、市民的であるとして行政は賞賛される。
これでいいだろうか。
ある報告会で、会場にいた市民から、前に座っている委員会市民に対して、「彼らは何なんだ」という意見が出された。会場市民の言い分は、「私は彼らに信託したつもりはない」というのである。重要 . . . 本文を読む
提言した市民意見が、行政内部でそのまま採用されず、あるいは議会で修正を受けるということがある。
市民サイドにたつと、せっかく苦労してまとめたものを無視されたようで、行政や議会の無理解をなじりたくなる。その気持ちもよく分かるが、行政サイドから考えるとまた別の意見もある。
もし、提言内容が自分たちの事務分掌内に収まっていれば、かなりの意見を採用できる。
しかし、他セクションの事務分掌に属する . . . 本文を読む
昨夜、火事があった。自宅から1キロほど先に、20メートルほどの火柱となって燃え上がっていた。不謹慎であるが、暗闇のなかの火柱は、大文字焼きのようできれいだった。火付けは郷愁犯というが、少し、理解できたような気がした。
閑話休題。
市民参加を実効のあるものにするのは簡単ではない。検討会に出てくるような市民は、その見識や経験において、優れたところを持っている。こうした委員会では、私は「学識者 . . . 本文を読む
ついつい条例(政策)をつくることに夢中になっていると、肝心な点をすっぽり落としてしまうことがある。
表題のようなケースで、市民参加を進める条例をせいぜい2,3の市民が参加した検討会でつくってしまうようなことがおこってくる。
こうした失敗を起こさないようにするコツは、いくつかある。
一番は、進行役(推進役)とは別の視点でアドバイスする人をえることだろう。委員会で言えば、副座長さんに人を得る . . . 本文を読む
別の機会に、幾度となく述べているが、条例づくりと文章を書くことではない。その文章が、市民の合意、意向によって裏付けられていることが必要である。
もし条例づくりが単に条文をつくることならは、条例の検討期間は半年もあれば十分であろうが、条例が市民によって裏付けられていることを求めるなら、この半年の前の前走期間が必要になる。
そこで、条例づくりのスケジュールは、次のようになるのが好ましい。
ま . . . 本文を読む
現在、いくつかの自治体で、条例づくり委員会に参加している。
最近では、基本条例系の条例づくりは、市民参加でつくられるのがデュープロセスであるから、条例づくりは市民と協働というのは、もはや避けられない。
そして、参加する市民は、あて職か公募市民であるから、一定の見識はあり、条例のテーマにも関心はあるが、だからといって専門的知識を持っているわけではないという市民が大半であるから、こうした市民が参 . . . 本文を読む
自主研修を繰り返してくると、研修講師を頼まれることになる。私が最初に研修講師をやったのが何時なのかは覚えていないが、自主研修の成果として、いくつかの論文を書くようになってから、急速に多くなったのはたしかである。
自主研修ならば、憲法19条の思想信条のようなもので、外部との軋轢は少ないが、研修講師となると、表現の自由のようなもので、公共の福祉とのぶつかり合いが出てくる。
ここに軋轢の原因がある . . . 本文を読む