松下啓一 自治・政策・まちづくり

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市民参加の正当性をめぐって(質問から)

2005-08-29 | 4.政策現場の舞台裏
(質問)市民参加の正当性をめぐっては、従来型モデルでは、国民の代表から構成される議会が法律や予算の議決を行うという図式が維持されることで、その関係から生み出される政策についての民主制が担保されるのに対して、パートナーシップ型モデルによる問題解決においては、制度上はこのようなルートで正当性を確保することができないのではないか。

 従来型とパートナーシップ型のどちらかを選択するという究極の選択の問題ではないでしょうね。
・たとえ市民が100人・200人参加した市民会議であっても、そこの意見は、決して市民の総意にはなりません。なぜならば、他の市民は、市民会議に集まった市民に信託していないからです。
・だからといって、このような市民の意見を無視することも妥当ではありません。問題意識をもったかなり多くの市民が積極的に述べた意見というのは、有力な意見であることは間違いありません。
・なお、この点については、志木市の市民会議(250人が集まっています)でも、ひとつの市民の意見に過ぎないことが確認しています。(なお、これを市民意見の総意とみる意見(この市民の意見を採用しないのはおかしい)があります。むしろ、後者のほうが大勢ですね)
・次に、市民の信託の相手方としては、議会の議員のほうが正当性を持っています。擬制であっても、議員選挙そのものが市民の代表者を選ぶ制度だからです。議会の意見を反映させないシステムは市民の住民自治権の侵害となります。
・しかし、他方、議員の意見は、すべて市民の意見を代表しているというのも無理な話です。選挙は、個々の政策ごとにすりあわせをして、議員を選ぶシステムではないからです。
 以上のように、どちらのシステムも一部の正当性がありますし、限界もあるということです。ならば両者のよいところを集めれば、よりよい決定手続きとなるというのが、政策決定手続の現時点での到達点だと思います。

加えて、次の点が今後の課題です。
・議員が政策作りを行えるシステムが弱すぎます。政策づくりに使えるエネルギーが少ない上に、個人商店のように個人の努力だけで政策立案を学ぶという方式が、この政策の時代にあまりにも古くさいシステムですね。
・代表民主制に比べて、市民参加制度(手続き)は、教育的効果は別にして、非効率的なシステムです。市民参加の重要性を考えると、効率的で効果的な市民の意見反映システムを開発する必要があります。パブリックコメントは効果の点で疑問が残ります。また、住民投票はコストパフォーマンスが悪すぎます。
つまり、抽象的なパートナーシップ型がいいかどうかの議論をこえて、次のシステム作りの段階に入っているということだと思います。
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