松下啓一 自治・政策・まちづくり

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トレンド分析

2005-09-04 | 4.政策現場の舞台裏
 自治基本条例はブームである。ここ数年の間に、全国の自治体で急速に制定されはじめ、今では制定済みの団体数は50前後にはなっているだろう。検討中を含めると100以上の自治体で自治基本条例に取り組んでいるということになろう。
 これだけ検討が進むと、条例の内容及び制定過程に共通の傾向が見られるようになる。横並びになるのである。本稿は、すでに制定済みの条例を対象に、条例内容を分析し、これを横並びにして比較してみようという試みである。いわば自治基本条例のトレンド分析である。
 なお、条例内容と同様に、制定過程も共通化する。自治基本条例では、市民中心で検討が進み、パブリックコメントなどの市民意見の聴取の機会がふんだんに採用されるといった制定過程をとるのが一般化している。この条例制定過程における市民化は、高く評価すべきものであり、これまでの条例制定手続きとは期を画するものである。

1.トレンド把握は条例づくりの準備作業
 ある程度の条例が出揃うと相場ができあがる。こうなる背景として、都市間競争の激化と政策形成能力の不足(他都市のまね)等があるが、同じような条例ができるのは無理がない面もある。
 たとえば、自治体の憲法をつくろうと意気込んで検討を始めても、地方自治法等の法律の枠が窮屈で、思ったほど自由に自治の基本となる条例はつくれないということに気がつく。また地方財政面での改革が始まっているが、それでも基本的には護送船団が残っていて、どの自治体でも全国水準は保障されているから、条例づくりの背景は、どこの自治体でもそう大きくは変わらない。こうした条件のもとでは、同じような自治基本条例になってしまうのである。
 したがって、条例づくりの作業では、まず全国の動向を押さえるのが不可欠の準備作業となる。他都市でどのような条例をつくっているか、その動向をしっかり押さえた上で、「我が自治体バージョン」を検討するのである。条例づくりとは、いわば平均値に地域の独自性を加味するものともいえるから、検討の前段として全国のトレンドを把握する意味がある。
 この点が、条例のトレンド分析を行う第一の意義である。

2.トレンドを押さえた上で
 そのうえで、条例づくりで最も知恵と時間を使うのが、地域の独自性を加味する部分である。それには、地域のニーズ・要望、現状等をきっちり把握したうえで、目標と現実のギャップを埋めるための制度、仕組みを編み出すこと必要があるが、それは、行政だけではできず、議会や市民が、さまざまな視点からの知恵を出し合うことが必要である。
 同時に重要なのは、調整・折り合いである。条例づくりは、机上の研究とは違うから、ただ理想を述べているだけでは条例にはならない。自治体(行政、議会、市民)の限られ権限・資源のなかでの理想追求であるから、調整・折り合いが重要になる。理想に近いところで調整・折り合いをつけるための努力を粘り強くできたかで、その条例の帰趨が決まってくる。活きた条例となって市民の幸福実現のために機能するか、あるいは例規集にあるだけの条例となって埃をかぶってしまうかが決まってくるのである。
 こうしたことをコーディネートするのが政策マンの役割で、おそらく市民や研究者にはできないことだろう。
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