松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆若者政策プロジェクト始まる(新城市)

2014-05-16 | 1.研究活動
 新城市で若者政策プロジェクトが始まった。大学生を中心に若者の集まりができ、私はそのアドバイザーとして、お手伝いをすることになった。

 なぜ、若者を政策課題とするか。それは若者問題が、若者個人や家庭だけの問題にとどまらずに、社会問題になっているからである。

 私たちが若者のころは、大人になるパターンは、ほぼ単線でワンパターンだった。勉強をして学校に入り、会社に入って一生勤めるというものである。子どものうちは地域で育てられ、学校を卒業して会社に入れば、会社に守られ、育てられてきた。

 ところが1990年代以降、社会の構造そのものが変化するなかで、このパターンが大きく崩れてくる。地域が弱体化し、会社もグローバルな競争のなかで、余力をなくしていくからである。そこに、自己責任という言葉が独り歩きして、さらに若者を追い詰めていく。

 それまで若者問題と言えば困難を抱える若者だけの問題であったが、すべての若者の問題となる。若者問題は、社会の構造的なところから生まれてくるので、個人だけでは到底解決できず、社会全体の問題として、社会全体で取り組む必要があるのである。

 しかし、人は、自分の経験や「心象風景」から、逃れることが難しい。高度経済成長に支えられ、努力すれば報われる時代に育ってきた私たちは、ついつい自分の体験で若者を語る。貧しかった自分たちに比べ、今の若者は恵まれている、甘えているというのである。

 他方、若者からは別の風景が見える。たしかに、ものは豊富かもしれないが希望が持てず不安な時代である。若者らしい一直線さは屈折し、自らはどうにもできないもどかしさで悶々とする。大人たちは、若者は恵まれているというが、本当に自分たちは恵まれているのか。こんな時代をつくったのは、若者を甘えていると諭す大人たちではないか。

 若者政策は、ある意味、大人政策でもある。若者政策で、最初に取り組むのは、相互におかれた立場や状況を理解することだろう。大人にとっては、若者は、自分たちの時代とは違う難しい状況におかれていることを理解することである。同じ地平に立たなければ、いつまでたっても空中戦のままである。自治体の若者政策の前半は、こうした相互の理解と共感をつくっていくことになるだろう。

 考えてみると新城市に来たのは久しぶりである。去年の夏の市民まちづくり集会に来て以来となる。この時は、湯谷温泉に泊まったが、宿まで総務課のFさん(女性)が送ってくれた。車は外車である。私の車と比べて断然、乗り心地がよい。いろいろとお世話になっているので、お礼を言おうと、「Fさんはまだ残業していますか」と聞いたところ、「退職しました」と予想外の返事。一瞬、悪い想像をしたが、聞いてみると「定年退職」とのこと。私はFさんは、ずっと40代後半と思っていたので、再度、びっくりした(この日、Fさんは、若者プロジェクト会場に顔を見せてくれた)。

 新城市ではじまった若者政策に大いに注目してほしい。
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