松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆公共主体としての市民(公共主体市民)

2012-08-14 | 1.研究活動
 法律の世界においては、市民とは主権者としての市民(主権者市民)であるが、自治の世界では、それだけにとどまらない。市民は、主権者であるが、同時に公共活動の主体という側面がある(公共主体市民)。
 市民を主権者の側面からのみ論じるのは、国の理論を地方に当てはめた結果である。たしかに、揺らいできたとはいえ、国家は主権論でなりたっている。国民はその主権の担い手であり、それを位置付けたのが日本国憲法であるが、それまで、国民は主権者といえなかったという歴史を踏まえると、国民が主権者であるということを宣言する意味は、きわめて大きいだろう。
 しかし、国と地方は違う。第一、国にとって主権は譲ることができないものであるが、地方にとって主権は、言葉のあやか、勢いというものである(地方にも主権があるということになると、基本的には神奈川から東京へ入るには入国審査がいるということになる。だから地方主権といっても、地方の自立性といった程度の意味である)。
 市民を主権者としてのみ考える立場は、市民を役所との関係だけでとらえる考え方である。しかし、市民はお役所との関係だけで生活しているわけではない。地域を見てみると、主権者としての市民の側面のほか、公共の主体、担い手としての市民として活動している場面がたくさんいる。むしろこちらの方が大きい。自治会、町内会、民生委員その他、名前はさまざまであるが、たくさんの市民が公共を担っている。
 こうした公共主体市民の姿は、これまで無視されてきたが、そこにも光を当てるのが協働論であり、そういった市民の価値を認め、さらに頑張ってもらうための自治体法が自治基本条例である。
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