松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆高校生からの問い合わせ

2022-08-14 | 1.研究活動
 東京の高校3年から、問い合わせがあった。

 概要は、民主主義について調べていて、特に住民投票とポピュリズムに関心があり、大学に入学したら、それを理論的に研究してみたいということである。推薦入試のための論文を書いているのだろうか。

 鹿児島県垂水市で2020年に行われた新市庁舎建設に関する住民投票がテーマで、「現時点での感想としては、住民投票は政治的な問題を二者択一に単純化するので、反多元主義につながりやすく、結果としてポピュリズムにつながりやすいのではないかと思っています。」とのことである。

 「このような住民投票についての疑問を、大学入学後には、モンテスキューやルソーなどの民主主義概念、またシュンペーターのエリート主義的民主主義、さらに参加民主主義論を学び、そのような視点から研究してみたいと思っています。このような方向性について先生はいかがお考えでしょうか。考え方がずれてますでしょうか。やはり住民投票であれば、制度的な面、たとえば常設型、法的効力、開票要件、対象事項等について検討したほうがよいでしょうか。
 
 もし可能であれば、先生のお考えをお聞かせいただければ幸いです。」ということである。

 若者が、こうしたことを真剣に考えることは、とても良いことで、私もうれしくなって、速攻、概要、次のような返事を書いた。

 「こんにちは。いいですね。

 大学に入って、まず学ぶべきは、民主主義の基本です。私も、大学に入って、民主主義とは、価値の相対性と聞いて、目の前が開けた感じがしました。この基本ができてないと、制度論の答えが出ません。価値の相対性から考えていくと、住民投票は、いくら議論しても、どうしても答えが出ない時、おそらく51対49くらいの差しかない時に、エイやで決める制度ということになりますね。

 他方、民主主義は多数決である程度の理解にとどまると、住民投票は、住民の多数決で決めるいい制度という結論になりますね。

 話していけば、ほとんど、収まるところに収まるというのが、私の経験です。とりわけ地域や地方自治の課題は、日々の暮らしの延長線なので、折り合いをつけながら、決めていくしかありません。話し合えば、ほとんど解決します。別の言い方をすれば、議論を詰めていくと、ほとんど選択肢が限られますね。両極端のAかBかは、熟議をしてない証拠だと思います。

 私は、大学に入るとき、法律学か政治学か悩みましたが、法律学を選びましたが、結局、静態的な法律学はなじめませんでした。大学では、ルソーやトクヴィルなど古典ばかり勉強しました。それに法律学の知識がある程度あるので、助かっていますね。どの学部に入っても、まずは基本ですね。」

 最後は、やや余計だったかもしれない。

 猛暑は続くし、次に取り組むべきテーマが決まらず、もやもやしていたなかで、さわやかな風が吹いた感じで、私の方が、「よし、がんばるぞ」という元気をもらえたメールだった。


 

 
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