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秋田県の北部、日本海側の町を訪ねた。まずは、秋田市の市民協働の集まりに顔を出した。
秋田市と言えば、しあわせづくり秋田市民公聴条例である。この条例は、市で計画づくりを進める際に、企画立案の過程で、市民の「思い」などもしっかりと聞き、受けとめながら、よりよい方向に導こうというルールである。参加と協働の概念から言えば、これは参加を充実する条例である。
他方、協働については、取り組みを始めたばかりのようだ。担当の方々のお話では、協働に関する市民からの疑問は、「これまでも一緒にやってきているので、なんで今、協働なのか」というものである。これに対して、役所にお金がないからという回答では、「そんなのは役所で解決してください」になる。きちんとした理論的な説明が必要になる。
私のアドバイスは、そもそも、協働とは、行政だけが公共を担うのではなく、市民も公共の担い手であるという概念で、そのように考えることによって、今日の私たちの豊かな暮らしが、初めて維持できるようになるというものである。つまり、これまでの税金によって、役所がサービスをするというやり方を転換し、市民の経験や活動力も、もう一つの公共の担い手にするという考え方が協働である。
このように考えると、役所の仕事の仕方が大きく変わる。役所の仕事が、つまり市民の力を引き出すという仕事ぶりに変わるからである。秋田市は、大きな潜在力を持つ自治体なので、きちんとした体系をつくれば、着実に前に進むと思う。そのためには、きちんと位置づけをするルールをつくる必要があるのではないだろうか。
翌日は、秋田県の日本海側の自治体を見て回った。三種町に泊まり(ここは、じゅんさいのまちである。こんなおいしいじゅんさいを食べたのは初めて)。そこから八峰町にうつり、そこから白神山地にいった。白神山地と言えば、青森側から入るのが一般的であるが、八峰町や藤里町からのルートは車でもいいところまで行け、静かな白神山地の雰囲気が楽しめる(工事のために、通行止めだった藤里の岳岱ルートは開通した)。
それぞれの町の魅力を体感できる3日間となった。