松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆自治体政策づくりの道具箱(学陽書房)

2008-08-30 | 1.研究活動
 この本には、思い出がある。「おわりに」にも書いたが、両親の介護をしているときに、看病に向かう地下鉄のなかで書いたものである。だから、「楽しく」をコンセプトに書き綴った。こんなに力を入れて書いた本はなかったし、今後もないと思う。
 悲しいことに、この本が、アマゾンで中古本1円になったときがある。アマゾンを見ると、よく1円というのがあるが、これは教科書として採用したという証明である。試験が終わると学生が大量に売り出す。その結果、1円になるのである。私の場合も同じで、これをテキストとして採用したことがあるが、それとテキスト通りに話すのがまったく苦手という事情があいまって、1円ということになってしまったのである。言い訳のようであるが、「1円と内容とは関係ない」(説得力に乏しいか?)。
 この本で、「政策づくりは戦いと考えると理解が容易です」と書いた。これが体験で実感である。そして、このフレーズは、条例づくりに最もフィットする。つまり、現代の条例づくりでは、役所が条例案文をつくり、議会が条例案を可決しただけでは、社会が変わり、人が実際に幸せになるような条例はできるわけではない。条例の旗の下に、その条例を信じる市民や企業が集まり、条例の目的達成のために、各自がそれぞれの持ち場で当事者として主体的に活動すること-そのための戦略を立案し、仕組みや仕掛けを組み立てることが条例づくりの急所だからである。
 こうした作業は机上の条文づくりとは違って難儀である。時には、投げ出したい気持ちになるが、それでも何とか踏ん張り、自分や組織の持てる力を最大限に発揮して、ステークホルダーからそこまでされたら仕方がないと言われるまで押し上げていくのが条例づくりというものであり、条例づくりの醍醐味である。この本では、そのための道具をたくさん紹介している。
 最近、この本を紹介するブログを見つけた。いくつかの書評のなかで、私の気持ちに一番近いのものである。http://d.hatena.ne.jp/hachiro86/20080824
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