松下啓一 自治・政策・まちづくり

【連絡先】seisakumatsu@gmail.com 又は seisaku_matsu@hotmail.com

☆若者とボランティア(相模女子大学)

2017-05-18 | 1.研究活動
 ボランティア論は、第2章の若者とボランティアに入った。

 前の4回で、ボランティアとは何かを多角的に検討した。宗教的な背景、歴史的な背景、市民社会の観点、それぞれでボランティアの意味が違ってくる。ボランティアには、自主性・主体性、公益性、無償性などの原則があるが、比重のおき方で大事な原則が違ってくる。私の立場は、ボランティア政策論であるが、この立場では、自主性、公益性、社会性が重要で、無償性は重きを置かない。ボランティアひとつとっても、多様な見方があることに、学生たちは驚いたようだった。

 この日は、若者とボランティアの総論である。国際比較を使って、若者ボランティア政策論を考えることにした。今回は、パワーポイントを使って、問題を投げかけ、学生たちの賛否を聞きながら、解説する方法を取った。今回の授業では、ワークショップ用の旗揚げ色紙が、大活躍である。

 例えば、「自分には誇るべきところがあるか」という質問である。自尊感情を問うものであるが、世界の中でも、日本は一段とポイントが低い。学生にも、旗揚げ色紙を挙げてもらうので、大まか、日本全体との対比で、サガジョの学生たちの位置もわかる。例えば「自分が参加することで、社会が変わっていくか」という問題である。これも日本はYESの比率が低い。総じて、若者の自己肯定感は乏しい。

 この授業の仮説は、次の様なものである。
 日本の若者の自尊感情はポイントが低い。自信がないという側面もあるが、同時に、謙遜するという感情もあるのだろう。他方、日本人は、若者も含めて、自己有用感で自己評価をする。人の役に立っているのかどうかで、自分の存在価値を決めている。ならば、自己有用感を発揮できる機会や仕組みをつくるのが、自治体政策である。

 これは私の体験との一致する。若者たちは、みな優れた点を持っている。しかし、自己有用感を発揮する場がないので、それが自信につながらない。そこで自治体が若者たちの自己有用感を発揮できる場所や機会をつくれば、若者たちは力を発揮し始める。若者にできることは、中年も、高齢者も同じである。これをボランティアという切り口で行うのがボランティア政策である。実際、学生たちが地域に出て、地域の人たちから感謝され、それが若者たちの自信につながっていくという事例をたくさん見ているから、これは間違いない。

 人口減少、超高齢化社会の中で、このような形で体質改善を行うことが、私たちが生き残れる唯一の方法だと思う。この構造転換は容易ではないが、さまざまな観点から、やっていくのが自治体政策である。

 ボランティア論は、170名も受講者がいるので、旗揚げアンケートを使い、隣近所で相談してもらい、インタビューをするという方式で、授業をやっている。これも、主体性、当事者性につながるものと思ってやっている。というか、私は一方的に話す授業が苦手なので、私自身も楽しんでいるということでもある。

 ちなみに、若者とボランティアの講義予定。
 5月17日 総論  
   24日 相模原市南区役所(若プロの取り組み)
   31日 こどものまち(日は変更になるかも)
 6月7日  姜尚中先生による特別講義 『解答が予め決まっていない問題を考える力』 
と、たくさんの人に来てもらって、若者とボランティアを考えることにしている。 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ☆少年町長、少年議会(遊佐町) | トップ | ☆ボランティア論・相模原市南... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

1.研究活動」カテゴリの最新記事