
大和市第7次総合計画である。幻の総合計画である。今井さんから情報をもらい読んでいるが、その先進性というか、はつらつ性が、小気味よい。
もともとは、この総合計画、平成18年4月から始まり、計画期間は、基本構想12年、基本計画6年×2、実施計画3年の計画であるが、平成19年5月には、市長が変わり、この総合計画は凍結状態となり、平成21年から、新しい総合計画(第8次)に変わっている。実際に動いたのは、平成18年度の1年間だった。
この幻の総合計画は、タイトルからしてすごい。「大和市みんなが使える総合計画」である。作ることに注力したといった総合計画が多い中、「みんなが使える」と銘打っている(地方自治法の基本構想規定が削除された実質的な理由の一つが、作るための費用と手間がかかりすぎ、つくっただけという批判であった)。みんなが使える。その通りである。
総合計画の基本理念は、「自治と協働のまち やまと」である。実際、この理念が満載の総合計画になっている。
基本計画は、まちづくり編と行政経営篇に分かれているが、しょっぱなの基本計画の1-1-1が、「課題を解決できる力を持った地域をつくる」となっている。
・目標が達成された姿 「多くの市民が地域に関心をもって関わっている」
多くの市民が、自治会活動などを通じて地域に関心をもち、共助の意識が高まり、地域の様々な活動に積極的に関わっている状態です。
・施策形成の方向 「市民の主体的な地域活動を支援します」
・目標の達成度を測る指標 自治会加入率が示されている。
実施計画は、行政実施事業篇と市民提案事業篇に分かれている。市民提案事業とは、市民が提案し行政と協働で、または市の支援を受けて実施する事業で、これが総合計画の内容として記載されている。
市民実施事業の部分は、読み返すと、正直、やや不足感があるが、今後、全市に市民自治区をつくり、市民自治区ごとの活動事業を活発化しようという方向性なので、各市民自治区の事業が蓄積してくるようになると、おそらく実施計画は、市民自治区ごとのと、おそらくこちらに市民事業に置き換わっていくものと思われる。
この点は、相模原市のように、旧来の地区が残っていて、そこに人や組織が付いている自治体のほうが(つまり市民自治区があるようなものだから)、有利である。この地区ごとの活動を記述すれば、きれいな市民活動篇をつくることができる(一周遅れが逆に幸いしてトップに躍り出たようなものである)。こうした優位性を活かせば、相模原市もトップを走る総合計画を作れたと思うが、残念である。
2005年時点で、このような総合計画づくりを構想し、実際、作ってしまったことは見事であるが、土屋さんが選挙に負けて、木っ端みじんになくなってしまった。基本計画の1-1-1にあった、「課題を解決できる力を持った地域をつくる」などは、第8次総合計画では、どこかに埋没してしまった。
市長が変わって、自治基本条例や新しい公共条例をつくり、そして協働をパワフルにリードした人たちは、飛ばされ、冷や飯を食うことになってしまった。その激変ぶりは、よく覚えている。