松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆イエスマンばかりの会社はだめになる

2020-10-24 | 1.研究活動
 イエスマンばかりの会社は、いっときはいいかもしれないが、結局はダメになる。国も同じで、自由闊達な意見、発想から、新しい発明や次の時代を切り開くアイディアが生まれてくる。

 日本の学術は、世界のなかでどんどんランクを下げている。たいした資源はない日本は、頭で勝負なのに、さらに下降させる動きが、今回の学術会議の任命拒否である。どんどん、自由に研究させ、そのなかから、使えるアイディアや世界をリードする研究を見つけなければいけないのに、まるで反対のことをやっている。

 「なぜ今学術会議なのですか」と人から聞かれて、「エスタブリッシュメント(ここでは学者)に対する反感をてこに、国民統合を図ろうとしているのではないですか」と答えたが、案外、動機は、もっと単純で、「言うことを聞かない人がいるのは許せない」くらいの感じなのかもしれない。

 「政府の意の沿わない学者は、冷遇する」というメッセージは、結構、多くの学者に、効いているように思う。

 自治体学会では有志で意見書を出したが、自治を学び、教える一人として、私も、混ぜてもらった。


内閣総理大臣 菅 義偉 殿
日本学術会議の推薦委員任命拒否問題に関する意見 2020年(令和2年)10月25日

日本学術会議が推薦した会員候補者名簿のうち、政府が6人を任命しなかった事案について、波紋が広がっています。

私たち自治体学会は、地方自治体の職員、研究者、市民ら多様な会員が集う日本学術会議の協力学術研究団体で、現在、学会としてこの事案の検討を行っていますが、公務員会員の中には政府に異を唱えることをためらう声があり、「国と地方とは対等・協力を旨とする地方分権の姿」や「言論の自由が保障された民主主義国家」の確立は、まだ道半ばであることを痛感しています。声を上げることへの恐れや忖度を生み出す構造は、今回の任命拒否問題と同根だと考えます。そこで学会の市民会員や研究者会員の有志(団体会員構成員を含む)という立場で、以下の見解を表明します。

○日本学術会議が10月2日に表明した「第25期新規会員任命に関する要望書」を支持します。
「任命拒否」の理由を明らかにすることと、除外された6人を、日本学術会議の推薦に基づき任命することを求めます。政府が「前例踏襲では任命しない」ということであれば、なおさら、判断基準が示されなければなりません。「総合的・俯瞰的な判断」という抽象的な言い方では、説明責任を果たしているとは言えません。

○任命拒否をめぐる問題と、学術会議のあり方検討とは、切り離して対応すべきです。
自民党内に日本学術会議のあり方を検討する作業チームができ、日本学術会議内にも社会との対話を進めようと2つのワーキンググループの設置が決まりました。このような学術会議のあり方を考える動きは、事実に基づく検討であれば好ましく、議論の行方を注視したいと思いますが、今回の任命拒否問題とは切り離して行うべきです。でなければ、現政権は「問題があると判断した組織に対して、任命権を振りかざして圧力をかける」と思われても仕方ありません。

以上、政治不信や社会の分断を広げかねない、今回の任命拒否問題に対する早期の解決を求めます。

自治体学会内 市民会員・研究者会員有志(団体会員構成員を含む)
代表 中川幾郎(帝塚山大学名誉教授)/ 直田春夫(特定非営利活動法人NPO政策研究所理事長)
以下、賛同者 河井孝仁(東海大学)、相川康子(特定非営利活動法人NPO政策研究所)、高井章博(特定行政書士、中央大学商議員)、松下啓一(市民:元相模女子大学教授)、千田基嗣(元気仙沼市気仙沼図書館長、元宮城県市町村職員研修所長)、東口啓一(市民会員)、神野武美(市民会員)、川根紀夫(市民会員)、山口道昭(立正大学)、嶋田暁文(九州大学)、藤本隆(市民会員)、松林由範(元おいらせ町役場職員)、もり愛(東京都議会議員)、大岡一馬(市民会員)、上田道明(市民会員)、野崎隆一(特定非営利活動法人神戸まちづくり研究所)、澤俊晴(山陽学園大学地域マネジメント学部 准教授)、友岡一郎(株式会社公職研)、犬飼むつみ(株式会社 公職研)、田嶋義介(市民:島根県立大学名誉教授)、千葉武(近畿自治体学会所属会員)、斉藤進(地域政策プランナー)、小林華弥子(前由布市議会議員)、田中健治(特定非営利活動法人 NPO政策研究所)、堂前緑(鳥取短期大学)、廣瀬克哉(法政大学)、浅野詠子(季刊『大阪春秋』編集委員)、澤田道夫(熊本県立大学)、福嶋浩彦(中央学院大学教授)、松本誠(市民:市民まちづくり研究所)、前泊美紀(那覇市議会議員)、矢島真知子(前横須賀市議会議員)、原田晃樹(立教大学) ほか匿名の賛同者4名
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