松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆地方創生をめぐって(三浦半島)

2015-03-05 | 1.研究活動

 ちょっと、ひと段落なので、ゆっくりと考えている。

 地方創生でメインとなる地域版総合戦略は、平成27年度内に策定しないと、次の交付金が出ないので、とりあえずつくることになる。どのように作るのだろうか。

 内容は、自治体ごとに自分で考えろとなっているが、国から策定モデルも出ているので、各自治体とも、それにあわせてつくることになるだろう。国のイメージに合わせたほうが、国の覚えがよいからである。結局、出てきたものを並べると、どこの自治体もほぼ同じような内容になるのだろう。

 1年間でできる策定方式は、せいぜい①若手職員による検討チーム、②住民や有識者の審議会による検討である。①の若手職員による検討は、ひとつの方法であるが、ただ若手職員を集めればよいというものではない。若手職員が存分に力を出すには、相当な時間となによりも安心してアイディアを出せる周到な準備が必要になる。

 ②の市民、有識者参加も、1年で5回程度の会議では、形式的なものになってしまうだろう。アリバイ的に住民を入れて、ひとこと、ふたこと発言して終わりである。こういった市民参加方式を乗り越えようと、全国でさまざまな実践が行われてきたが、その経験が活かせないことになる。

 このようにして自治体がつくった地域版総合戦略を国が「査定」することになる。大臣は、「ちゃんと真面目に作らないとダメだぞ、しっかり、みるぞ」と言っている。あいかわらず、国が上から見ている構図である。それが逆転して、相変わらずの国依存が続いていく。

 大事なのは、きれいな総合戦略ではなく、自治体が自信を持つことである。それには、小さな成功体験を重ねていくことが、結局、近道である。総花的な政策を並べるよりも、わがまちイチオシ政策を出して、それを実践する中で、成功体験につなげていった方が現実的のように思う。

 地方自治の最大の問題点は、お任せ民主主義と依存体質という構造的なところにあるのだから、短期的な成果を求めるのは、しょせん無理がある。統一地方選を意識したなどとケチなことは考えず、じっくりと腰を据えていく方が、近道である。自治を担う人づくりから始めて、自治の文化をつくり、そこから町を活性化させる施策へつなげていくというのが、正攻法のように思う。

 そうはいっても、交付金をもらわないと先に進めないのが現実なので、ともかく地域版総合戦略をつくることになるが、こうした先に繋がるようにつくり方をしてほしい。

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