松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆自治基本条例で市民の役割を書くことは余計なお世話か(戸田市)

2013-12-14 | 1.研究活動
 自治基本条例に、市民の役割を書くことは余計なお世話か。
 この意見の根本にあるのは、そんなことを条例(市役所)に言われる筋合いはないというものである。たしかに、条例は市役所が定め、市民を規律するものが条例と考えると、その通りである。
 
 しかし、自治基本条例は、役所だけでつくるものではない。また役所が市民を縛ろうというものではない。自治基本条例で問うているのは、Human Rightsの確認である。Human Rightsは、一般には人権と訳されるが、自治基本条例では、その言葉の通り、人としての正しさ、正しい振る舞いである。民主主義社会において、正しい振る舞いとは、他者を思いやり、まちのことをわがこととして行動するということである。これを自治の関係者みんなで確認するのが自治基本条例である。

 いうまでもなく、こうした人としての正しさ、正しい振る舞いは、役所によって強制されるものではない。また他人から強制されるものでもない。人の間に暮らす私たち一人ひとりが、自覚し、実践することである。こうした市民として当たり前のこと(民主主義)を再確認するのが自治基本条例である。その意味で、自治基本条例を従来の条例(法務)の枠でとらえようとしても、とらえきれない。

 昨今、少数者を排除し、レッテルを張り、自分と意見と違う相手を口汚くの罵るといった風潮が目立つが、これは、自らの自信のなさ、弱さの裏返しなのだろう。金持ち喧嘩せずとはよく言ったもので、余裕があれば寛容になれる。私たちの強みは、長い間培ってきた高い市民性(市民として当たり前の行動)で、これが私たちの国の強さの裏付けであったが、この市民性が揺らぎ始めている。自治基本条例は、私たちの誇るべき市民性を再度確認し、強めるという条例でもある。
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