
とうとう消防庁が、外国人消防団員に関する考え方を通知した。
令和7年1月31日付で、消防庁長官の通知が出た。整理すると、
1.外国人消防団員については、これまでと同様、公権力の行使に該当しない範囲で活動することに留意が必要である。
消防活動における公権力の行使については、個々具体の活動内容を検討して、個別に判断すべきものであるが、公務員に関する基本原則(当然の法理)を踏まえて対応する。
公権力の行使に当たるものは、
・火災現場における情報提供の要求(消防法第25条第3項)
・消防警戒区域の設定等(消防法第28条)、
・消火活動中の緊急措置等(消防法第29条)など、人の権利義務に直接具体的効果を及ぼす行為については公権力の行使に該当すると考えられる。
2.公権力行使に当たらないもの
(1)災害時
・消火活動のためのホース等の資機材の運搬・撤収
・市町村等が予め指定した水利の確保などの後方支援活動
・要救助者の救出・搬送
・傷病者の手当、担架等の救助用資機材の用意
・住民への避難の呼びかけや避難誘導
・安否不明者の捜索
・危険個所の見回り等の警戒活動
・公共用道路等における土嚢設置作業といった活動に従事することが考えられる。
(2)平時
・消防団に関する広報活動
・地域住民への防火防災に関する啓発活動や救命講習等の指導、
・学校等での防災教育
・外国人消防団員としての技能を生かし、外国人向けの通訳・翻訳業務
・消防団員や地域住民向けの外国語研修などに従事することも考えられる。
3.地方ごとの判断に委ねる
「以上を踏まえ、外国人消防団員の活動内容等については地域の実情に応じて適切に対応されたい」と地方ごとの判断に委ねる旨を示している。
4.残った問題
・実際の消火活動
・緊急自動車の運転
など、肝心の問題が、結局、自治体ごとに考えてという丸投げになっている。逆に、自治体ごとに考えるよい機会だとおもう。
5.私の立場
公権力の行使で言えば、被災者が火事に巻き込まれて脱出できない時、外国人消防団員は、扉を壊して、家に入り、被災者を助けることができないことになる。公権力の行使の最たるものだからである。でも、これはおかしくないか。
「もともと外国人の消防団員をめぐる議論は、「目の前に火災が起こっているときに、その火を消す仕事に就くことができるかどうかの資格」を問う問題であったはずであったが、公権力の行使という観点から議論が進められてきたため、火災の消火活動等に日本国籍を求めるという方向に政策が進んできた。
消防は暮らしやすいまちづくりの基本という原点に戻り、まちづくりの視点から外国人消防団員を見ると、もうひとつ別の議論ができるように思う」というのが私の立場である。
その観点から、外国人消防団員の問題を考えてきて、本も書いた。『外国人消防団員の理論と政策』
「ようやく、時代が追い付いてきた」(今井さん談)ということであるが、まだ、私のほうが先にいる。