論文「外国人の消防団参加の現状と展開」(『実践自治』 Beacon authority 86 32-37, 2021)。次は、5月20日締め切りなので、原稿を書き始めた。
このテーマでは、先週、約6万字の原稿を書き上げた。ひそかに、電子出版をやってみようと考えているからである。原稿は、出来上がったが、「簡単」という触れ込みのAmazon、キンドルは、意外と手間取って、くじけそうになる。
ただ、時間も来たので、雑誌原稿のほうも、書かないといけない。6万字を1万字に削る作業は、意外と難しく、なかなか、作業が進まない。今朝は、本当に、珍しく、連れ合いが、電車に乗って出かけたので、ゆっくり、考えることができる(コロナ禍の電車の乗り方をいろいろ聞かれた)。その時間を6万字→1万字に使うのは、もったいないという気持ちが、あるからかもしれない。
「はじめに」を書いた。一般的には、これが書ければ、半分終わったようなものである、こんな感じになった。
はじめに
・まちの変動
外国人は、法的には管理の対象である。もう少しソフトにいうと、これまで外国人は、日本にとっては、お客さんだった。
しかし、気がつくと、日本は、世界第4位に移民大国になり、在留外国人は、300万人近くまで増え、日本の総人口の3%にもなっている。日本に住み続ける定住外国人も多くなってきた。
外国人の増加とは反対に、日本人の少子・高齢化は、急速に進み、人口は毎年100万人ずつ減少している。日本社会は、ヒト、モノ、カネなど、さまざまな点で、縮減し、余力をなくしている。
こうした状況のなかで、同じ地域で暮らす住民として、まちのためにその力を発揮したいという定住外国人が生まれ、そうした人たちに、その持てる力を発揮してもらいたいという動きが自然に起こってくる。消防団は、「自らの地域は自らで守る」というまちづくりの精神に基づいて活動しているので、この地域社会の変動の影響をモロに受けることになる。
・火を消す公務に就くことができるかどうかの資格
もともと外国人の消防団員をめぐる議論は、「目の前に火災が起こっているときに、その火を消す公務に就くことができるかどうかの資格」を問う問題であったはずであったが、公権力の行使という観点から議論が進められてきたため、火災の消火活動等に日本国籍を求めるという方向に政策が進んできた。
しかし、消防は、暮らしやすいまちづくりの基本であるという、まちづくりの視点から見てみると、もうひとつ別の議論ができるように思う。何よりも、このテーマで、いくつかの自治体にヒアリングしたが、その担当者は、いずれも口を揃えて、「使えない日本人より、使える外国人のほうがずっといい」と言っていた。たしかにその通りで、欲しいのは、まちのために、果敢に消火活動等ができる腕利きの(使える)消防団員ではないか。
こうした中で、横浜市の消防団は、同じ住民として、外国人の消防団参加を真正面から認める方向にかじを切った。後から述べるように、横浜市の取り組みは、いくつかの課題を残すが、大都市横浜市の政策転換が、他自治体に与える影響も大きく、今後は、大きな流れになっていくと思われる。そして、この消防団に関しての方向転換が、定住外国人政策全般に大きな影響を与えていくものと思われる。
これくらいにして、新城市の条例内容と、多摩市の条例前文を考えてみよう。 セリーヌ・ディオンをやや大きめにかけながら。
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