松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆熟議の市長選挙⑱中立的機関(三浦半島)

2017-07-21 | 1.研究活動
 熟議の市長選挙のルールを決め、運営を行う方式として、今回は、それぞれの立候補予定者が推薦した3名で構成される実施運営委員会が設置されることになった。白井さん、穂積さんは、すでに推薦しているらしいので、山本さんが正式参加を表明して、3名の委員を推薦して、それで動き出すことになる。

 ここでのポイントのひとつが、すんなりとメンバーが承認され、スピーディーに動き出すことである。公正な機関であることが前提なので、あの人は公正ではないと言い出したら、先には進まない。それ以外にも、はじめてのことで、突っ込もうと思ったら、突っ込みどころ満載である。ここでモタモタしていたら、あっという間に1か月たってしまう。

 公開政策討論会については、積極派と消極派がいる。本人の個性や討論に耐えうる政策を出しているかなども、両者を分ける基準になるが、一番の分かれ道は、選挙スタイルの違いである。

 選挙の神様の田中角栄は、選挙の基本は、まめに歩き、顔を見せることだと言っている。たしかに、お葬式で悲しんでいるとき、「先生」がちょっとでも顔を見せてくれたら、いっぺんで先生に好意を持つだろう。誕生日おめでとうと、バースディカードが届いたら、悪い気がしないだろう。思いやりのある人だ、優しい人だということになる。

 実際の選挙では、10の立派な政策よりも、こうした一度の気遣いのほうが、効果的とされていることから、これまで日本の選挙では、「笑顔と握手」が大手をふるってきた。市長は、自治体の経営者なので、優しいだけでは勤まらないし、思いやりだけでは勤まらないことは自明であるが、ともかく選挙に受からなければ何もできないので、「笑顔と握手」に走ることになる。その結果、私たちの地方自治がどんどん弱っていく。公開政策討論会の言い出しっぺである穂積さんが、叫ぶように「こんなことをやっていたら、だめだ」と言っているは、切羽詰まった正直な感想なのだろう。

 「笑顔と握手」の立場からは、公開政策討論会などは、迷惑な話だし、やったとしても、できる限り、少なくしたいと思うだろう。いろいろ注文を付ければ、形骸化できるかもしれない。しかし、そんなことになっては、住民の政治離れは、ますます加速し、そんなやり方で市長になっても、住民のための自治はできるはずもない。

 今回の市長立候補者3名は、公開政策討論会の意義を認めて、参加するので、こうした後ろ向きな態度とは無縁だと思うが、それでも小異はでてくるし、言いたいこともあるだろう。しかし、小異を捨てて大同につくという気持ちと、今まさに新城の未来をつくっているという「誇り」で、踏ん張って、前に進めてほしいと思う。

 心がけも大事であるが、仕組みも大事である。そのための担保のひとつが、すでに述べた実施委員会の公開である。議論の過程や決定事項を公開して、みんなに見れるようにする方式である。後ろ向きな発言や行動があれば、それを見て、選挙の際に判断する材料にすればよい。

 今回は、初めてのことで、実施運営委員会を作るところから始めなければいけないが、次回以降は、こうした準備作業にエネルギーを使わないで済むような、恒常的な仕組みが必要ということなのだろう。
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