「このままじゃ……」
戦況を私は把握する。一番それができるポジションに私はいるだろう。だからこそ、俯瞰して戦場を見て、これからを考えるのが大切だろう。今の現状は、当初の予想よりも遥かに悪い。
なんとか倒せた……と思えた腕はその力をパワーアップさせてしまった。それにミレナパウスもここにいる全ての目玉を倒せるだけの力はないだろう。はっきり言ってここからは撤退戦をしたほうがいい。でも問題はここには物理的な扉からは来てない……ということだ。
私は出口を探してる。幸いなことに、ここのテクノロジーは古いが、私と通じてるところがある。だからこそ、アクセス自体はしやすかった。根幹はきっと私が作られた世界と同じなんだろう。
でも私にはこの船の記録はない。でも、同型の船の設計図は手に入れた。それがそのまま適用できれば早かったが……流石にそうはいかない。それにそれで得たこの船の目的……どうやら元からこの船だけで生態系が完結できるようにと設計された移民船みたいだ。
自分たちの世界がどうにかなった時、新たな世界への旅路の友となる世界航行船……それがこの船だ。だからこそ、バカでかいわけだ。この世界で、命を回さないといけないのだから、この大きさも納得でしょう。
そんな船の守護者……それがあの腕。どうやらかなりパーツとしては節約してあるらしい。でもそれはそうだなって思う。だってあれは腕だけだ。他のパーツはない。言うなればG-01の腕だけで自律的な戦闘をできるようにした存在。それがあれだ。個体の識別はあの輪っか……「アストラルリング」で行ってる。今勇者があの輪っかを壊そうとしてるけど、それは正解。
腕はどうやらいくらでも換装がきく。流石に何個もストックがある……とは思えないが……どうやらこの船はかなり前からかなりの節約して稼働してるみたいだし……そのアーカイブを見る限り、腕のストックがそんなに有るとは思えない。なにせ優先順位はこの船の中に有る世界の生態系を維持するのが一番だ。
だからきっとあの腕を維持するのは最低限だったはず。けど、それでもあの戦闘力。やはりというべきか、とんでもない技術力。
(けどあと一回でも換装の腕が残ってたら……)
そのくらいなら正直あり得る。輪っかを壊せたら換装の心配はなくなるが……今の状況でのその可能性は……3%未満。勇者はそれをひっくり返せるのか? 勇者としての意地を見せてくれるのか? とりあえず私は別のアプローチでこの状況を改善するように頑張るしかない。
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