余録:「拈華微笑」という四字熟語がある…

毎日新聞　2014年05月01日　00時49分（最終更新　05月01日　18時13分）

「拈華微笑（ねんげみしょう）」という四字熟語がある。釈迦（しゃか）が説法の場で蓮（はす）の華（はな）を拈（ひね）った。意味が分からず皆が戸惑うなか、弟子の迦（か）葉（しょう）のみが微笑した。その彼にだけ仏法が授けられたとの故事による。つまり言葉によらず意思が伝わることを表している

▲さて仏法の以心伝心（いしんでんしん）はいざ知らず、世の中にはそこにいると相手が思う通りに自分の記憶が作られてしまう不思議な場所があるらしい。どこかの心霊スポットではなく捜査当局の取調室である。たとえばこれはどうだろう

▲「楽しそうな小学生を見て困らせてやろうと思った」とはパソコン遠隔操作事件で小学校襲撃予告のぬれぎぬを着せられた１９歳男性の「動機」だった。容疑を認めた上申書には、小学校を選んだのは「ネット検索して最初に出たから」とありもせぬ理由の記載がある

▲「鬼殺銃蔵（おにごろしじゅうぞう）」という犯人のハンドルネームも上申書に正確に漢字で記されていた。取調官は「口で由来を聞いたが、文字は示していない」といい、当の男性は「取調官に見せられた」という。警察は「取り調べに誘導はなかった」としているが、真相は藪（やぶ）の中である

▲犯罪を藪から引き出すべき捜査当局の取調室が藪の中になっていては救いがない。不可思議な以心伝心現象の解明にはビデオカメラを置いて一部始終を記録しておくのが手っ取り早い。いわゆる「取り調べの可視化」をめぐる法務省の試案が示され、検討が始まった

▲今後法制化へむけた論議が重ねられるが、可視化の流れを逆戻り不能にしたこの間のえん罪事件である。捜査に必要なのは理にかなった証拠で、ありもしない記憶や動機を生み出す心霊スポットではない。

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つぶやき

自白が完全なる証拠・・・は今でも続いているのだろうか？取り調べで自白したので裁判にかけると予定したかのように裁判で否認。ＴＶドラマでよく見るスタイルである。

以前　検察官が或る事件の容疑者として取り調べられた時に取り調べに録音・映像の設置を取り調べ官（刑事）より申しでると調べられる検察官は即座に否認（録音・映像の否認）をしたことがある。　その記事を読んだ時に異常な奇異感を受けたものだ。検察官なら当然受け入れると思ったからだ。

検察官自身が取り調べの録音・映像に反対する理由はなにだろうと・・・。

どうやら取り調べには適当に答え裁判で逆転無罪を勝ち取る・・・そういう魂胆ではないかと思われる節が感じられた。まさに「法」を知り尽くした者が「法」をもてあそぶのでは？

私は法律には詳しくないが、　全ての取り調べの様子の録音・映像の取り入れを望むものである。ここは是非「可視化」の導入の必要性を感じるものである。

犯人のみ知りえる情報が誘導による自白だと裁判で申し入れ採択される例は多いようだ、取り調べの様子が公表されれば　おのずから真偽は明らかになりそうであるが・・・・そうはいかないのかも？

然し　取り調べの様子が明らかになれば何か裁判で逆転するなど余りないのでは？と素人の私は想像していますが・・・・皆様はいかがでしょう？

還り見れば酔生夢死か？