「第4回国立市財政改革審議会」へ提出された公文書「財政改革審議会資料NO4-1の4 学童保育育成料関係」の偽造・改ざんについて説明します。
「財政改革審議会資料NO4-1の4 学童保育育成料関係」(以下資料1)
資料1には「平成23年10月発行東京都各市学童保育クラブ実施状況より引用」(以下原本と記す)と記載されています。資料1の「学童保育料等の保護者負担金月額」は、同原本24㌻、28㌻、32㌻に「保育料等について」と記載されている大項目の一部である小項目「保育料等の保護者負担金の名称及び金額」となっている各市の数字のみを抜き出したものです。
これは、6月8日の本会議で、長内議員の質問に、企画部長が答えました。
①本来原本の「保育料等の保護者負担金の名称及び金額」とすべきところを「学童保育料等の保護者負担月額」と改ざんしました。
1.市は、原本の大項目の一部の小項目の数字だけを引用しました。
2.その項目の名称「保育料等の保護者負担金の名称及び金額」とすべきところを「の名称及び金額」の文字を削除しました。代わりに、最初に「学童」と言う文字を挿入し、後ろに「月額」という文字を加えました。
3.よって、「保育料等の保護者負担金の名称及び金額」という項目が「学童保育料等の保護者負担金月額」に改ざんされました。
原本にある「保育料等の保護者負担金の名称及び金額」という部分は、保護者負担金の名称、つまり「クラブ費」や「育成料」などの名称の区別と、その「金額」のことで「保護者負担金月額」ではありません。これはあくまでも、小項目であり、保護者負担の全額を表すものではありません。間食費が「育成料等」に含まれている市もあるし、含まれない市もある中で、「保護者負担月額」というのであれば間食費を市によっては、プラスしなければ比較ができません。
そのために原本では、別に「間食費」として小項目を立て、「児童一人当たりの金額」と「公費・私費の別」の項目が設けられています。「学童保育料等の保護者負担金月額」とするのであれば、小項目「保育料等の保護者負担金の名称及び金額」と小項目「間食費」を合算しなければなりません。
今回、市が、財政改革審議会に提出した公文書である資料1は、私費での間食費分が抜け落ちたものになっています。その結果、国立市を含む14市は実際の父母負担月額より安い金額になっています。
②学童保育の保護者負担の26市比較は複雑であるとの指摘が以前からあって、市は平成23年10月3日決算委員会資料(資料2)を作成しました。これは、間食費を含む「保護者負担金全額」がわかるものとなっています。それは、資料2の金額(間食費を含む)という項目で示されています。
資料2では、国立市の保護者の負担は5千円で8市が同じです。さらに2市は、より負担が軽いので、安い順では10番目であり、特別に国立市の父母負担金が軽いわけではなく、ほぼ平均的な金額にあたります。
③市は、日本共産党市議団の指摘で、6月1日、(資料1)を差し替えました。(資料1の2)しかし、追加項目として「保護者の負担の有無及び内容」を付け加えましたが、金額は記入されておらず、保護者負担金の全額が比較のできるものに改善されていません。
そればかりか「学童保育料等の保護者負担金月額」の部分はそのままであり、改ざん部分は訂正されていません。
学童保育料に関するこの間の経過と背景 国立市では2012年3月末より「財政改革審議会」が立ち上げられ、委員によって公共料金値上げやサービス削減などについての審議が進められています。第4回の審議会の資料の一つに、「4 学童保育育成料関係」(資1)が出されました。そこに記載されている国立市の学童保育保護者負担額は3000円となっており、一目で国立市が最も安く見える仕組みになっています。しかし、実際の国立市の父母負担額は間食費を含めると実質は5000円です。これは3多摩26市中10番目でほぼ平均的な父母負担額です。 この記載は、単純なミスでは決してありえず、特定の意思をもったきわめて重大、悪質な公文書偽造と行使であり、見過ごすことはできないものだと考えています。以下、その経過と根拠を記します。 1.国立市の学童保育父母負担額 現行の国立市の学童保育負担額は、育成料3000円と間食費2000円の計5000円です。この内訳と金額については、国立市の「平成23年度決算委員会資料No.26」(資2)に記載されています。 2.学童保育父母負担の値上げに関する議論の経過 学童保育育成料については、2011年の春に値上げ案が唐突に出されましたが、保護者からの了解が得られないという理由で取り下げられました。その後、同年6月議会と2012年3月の予算委員会で尾張美也子議員が育成料について取り上げ、育成料3000円に間食費2000円を加えた5000円が実際の保護者負担額であること、5000円という金額は三多摩26市の平均額と同等であり、26市中一番安いわけではないことを指摘しました。 3.第4回「財政改革審議会」資料の改ざん発見の経緯と国立市の対応 2012年3月末より立ち上げられた「財政改革審議会」第4回審議会が同年5月31日に行われました。各委員と傍聴者、市議会議員に配布された資料の一つとして「4 学童保育育成料関係」(資1)が出されました。 審議会を傍聴していた尾張議員は、実際は5000円である国立市の学童保育保護者負担月額が、「財政改革審議会」の資料では3000円と記載されていることを発見しました。 傍聴者は発言ができないため、会議終了後に尾張議員が薄井企画部長に誤りを指摘したところ、「木藤部長にきいてみます」との回答がありました。その後6月2日に、企画部の馬橋行政改革・調整担当課長から「文書差し替えをする」と連絡があり、6月4日に差し替え分が配布されました。差し替え文書は、父母負担の部分は3000円のままで、後ろに小項目として「その他保護者負担の有無及び内容」の追加のみで、5000円という国立市の父母負担金月額は明らかにされていません。 財政改革審議会に出された資料(資1)が作られた経緯を企画部長に聞くと、財政改革審議会の担当で、平成23年度10月発行の「東京都各市町学童クラブ実施状況」の表より一部を抜粋して作ったと答えました。 日本共産党市議団は、差し替えた文書(資1-2)も数字はそのままで、正確さに欠けているので、正確な決算委員会で出した(資料2)を示すべきだと指摘しました。 4.「財政改革審議会」の資料の改ざんが意図的であると考えられる根拠 学童保育育成料については、すでに2011年から議会で議論され、国立市の学童保育保護者負担額は5000円であることは、国立市が作成した平成23年度決算委員会資料No.26で、まず明らかになっています。 2012年3月の予算委員会では育成料とおやつ代が保護者負担となる点について尾張議員より指摘されており、保護者負担の合計額が5000円であることは、議会では議論されていたので市側が間違ったという言い訳は成り立ちません。 さらに、2012年6月議会では値上げ条例案が提出されており、まさに争点となってきました。このことから、保護者負担金月額の誤りに気付かずに公文書にするということは全く考えられません。 むしろ、「財政改革審議会」での議論は当初より公共料金の値上げとサービス削減の方向であることからも、本件誤りについては故意に安く見せるための悪質な行為と捉えられます。