続いたネタ15 GATE~夢幻会、彼の地にて戦いけり
時間は少し戻り、伊丹がイタリカに向かうより少し前、
まだ避難民の当面の生活について面倒を見ていた時、大日本帝国では環太平洋諸国会議が行われた。
当初銀座に異世界の軍勢が攻め込んで来たため会議の予定が延びることが懸念されたが、
嶋田を初めとする転生者の帰宅時間とストレスによって散る髪の毛を犠牲によって何とか予定通り開催できた。
会議に参加する国は長年独立を維持して来たタイ、
日本の傀儡国家と見られているかつてのアメリカことカリフォルニア共和国。
そして未だ正式に独立はしていないが、準備しているアジアの国々など数多の国々の代表が帝都東京に集結した。
しかもこの会議における主役は大日本帝国であり、太平洋において日本が国力において圧倒的優位に立っていた。
「ようやく、ここまでたどり着いた」
幕末を知るとある転生者がそう語ったように、
かつて明治の偉人達が夢見た一等国、あるいは坂の上の雲に手が届いたことを改めて日本人は感じ熱狂した。
そして21世紀の日本も特別にオブザーバーとして会談に参加していた。
「太平洋の覇者となった大日本帝国による秩序…なんだか違和感を感じるわね」
特地及び大日本帝国に関する特命副大臣として派遣されている白百合玲子がそう嘆息する。
事前に知識として知っていたが集った国々の面子に困惑が隠せなかった。
「軍艦旗の某新聞社が見たらどんな新聞記事を書くのか楽しみですね」
そんな大臣に外交官僚の菅原浩治が小声で冗談を口に零す。
「1人で喚くだけならともかく、支持者がいるのが問題ね。
進歩的ならぬ進化を止めた退歩的知識人、いいえ痴識人が大勢支援しているし」
「…っ大臣!」
失言を狙っているマスメディアの餌食になることを警戒する菅原が小声で注意を促す。
もっとも、この場に失言大好きな平成のメディアはおらず杞憂に過ぎなかったが。
「あら、ごめんなさいね。
最近マスメディアが煩いものだからつい毒を吐いてしまったわ」
らしくないわね、と白百合が愚痴を零す。
「…メディアが盛んに言っている軍国主義云々との話ですか?」
「ええ、そうよ。
総理も頭を痛めているわ」
菅原の問いに白百合が肯定した。
ソ連の核は綺麗な核、米帝の核は汚い核。
と単純な頭脳のまま1970年から今まで進歩を止めた左翼にとって、
1945年の大日本帝国の存在は悪の軍国国家であり、死ぬほど気に入らない存在である。
そしてマスメディアの大半はそうした単純かつ、
偏見に満ちた見方を持つ人間が幅を利かせており、政権への批判を日々強めていた。
それこそホッケやカップラーメンの値段から始まりあらゆることに非難を浴びせていた。
「政権への批判は日々高まっているし、
与党では総理大臣の後ろ弾を撃つ恥ずかしい人もいるし…こまったものね」
そう白百合がため息を吐く。
「…我々の日本に設置した大日本帝国大使館の前では連日抗議活動が盛んですしね」
民主主義の理想を語りつつ、
その実やっていることは暴力と偏見で相手をねじ伏せる「自発的」に誕生した某団体。
さらには差別と偏見に立ち向かうといっているが、
何故か構成員は暴力団のような刺青を入れた超圧力と称して暴力を振るっている某団体。
その他、労働組合や基地を許さない会やら多数の赤い団体を菅原は思い出し眉間にしわを寄せる。
「それと外圧もよ、同盟国のアメリカだけじゃなくEUにロシアまで大日本帝国との接触を希望しているわ」
ファンタジーな異世界だけでも開発で得られるものは多いが、
1945年の世界は場合によってはファンタジー世界よりもさらに希少価値があるものである。
何せファンタジーな異世界、
日本が便宜上特地と名づけた世界では石油にしろ石炭にしろ一から調べる必要があるが、
1945年の世界はかつて開発した土地をもう一度開発すれば良く、見返りが直ぐに得られる。
「既に我が国に大使館を設置し、
大日本帝国とアメリカ合衆国との首脳会談の話もあるので、
この日本との交流を我が国だけが独占することは許されなくなるでしょう」
アメリカが新たな市場として大日本帝国に熱い視線を向けているを知る菅原がそう未来を予想した。
「だからこそ、私達は先に交流したアドバンテージを生かす。
この会議ではオブザーバーとして参加しているけど、この機会に各国との伝手を作る、そうでしょ?」
「はい、無論であります」
21世紀の日本政府はこの宝の山を独占することは適わない事を承知していた、
ゆえに各国が1945年の世界と直接接触する前にこの会議で各国との伝手を作ることを目論んでいた。
何せ環太平洋諸国会議は政治的に大日本帝国とその他の国々たち位置を明白することが目的でもあるが、
大日本帝国を中心とする経済体勢の構築についても話し合われる予定で、21世紀の日本として伝手を作って損はない。
「期待しているわ」
「はい、ご期待に答えられるように努力します」
自らの出世も考えている菅原が恭しく返答した。
もっともこの後しばらくしてロリな嫁を貰うことから始まり、
色々波乱万丈な外交官となることをこの時は考えもしなかった。
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時間は少し戻り、伊丹がイタリカに向かうより少し前、
まだ避難民の当面の生活について面倒を見ていた時、大日本帝国では環太平洋諸国会議が行われた。
当初銀座に異世界の軍勢が攻め込んで来たため会議の予定が延びることが懸念されたが、
嶋田を初めとする転生者の帰宅時間とストレスによって散る髪の毛を犠牲によって何とか予定通り開催できた。
会議に参加する国は長年独立を維持して来たタイ、
日本の傀儡国家と見られているかつてのアメリカことカリフォルニア共和国。
そして未だ正式に独立はしていないが、準備しているアジアの国々など数多の国々の代表が帝都東京に集結した。
しかもこの会議における主役は大日本帝国であり、太平洋において日本が国力において圧倒的優位に立っていた。
「ようやく、ここまでたどり着いた」
幕末を知るとある転生者がそう語ったように、
かつて明治の偉人達が夢見た一等国、あるいは坂の上の雲に手が届いたことを改めて日本人は感じ熱狂した。
そして21世紀の日本も特別にオブザーバーとして会談に参加していた。
「太平洋の覇者となった大日本帝国による秩序…なんだか違和感を感じるわね」
特地及び大日本帝国に関する特命副大臣として派遣されている白百合玲子がそう嘆息する。
事前に知識として知っていたが集った国々の面子に困惑が隠せなかった。
「軍艦旗の某新聞社が見たらどんな新聞記事を書くのか楽しみですね」
そんな大臣に外交官僚の菅原浩治が小声で冗談を口に零す。
「1人で喚くだけならともかく、支持者がいるのが問題ね。
進歩的ならぬ進化を止めた退歩的知識人、いいえ痴識人が大勢支援しているし」
「…っ大臣!」
失言を狙っているマスメディアの餌食になることを警戒する菅原が小声で注意を促す。
もっとも、この場に失言大好きな平成のメディアはおらず杞憂に過ぎなかったが。
「あら、ごめんなさいね。
最近マスメディアが煩いものだからつい毒を吐いてしまったわ」
らしくないわね、と白百合が愚痴を零す。
「…メディアが盛んに言っている軍国主義云々との話ですか?」
「ええ、そうよ。
総理も頭を痛めているわ」
菅原の問いに白百合が肯定した。
ソ連の核は綺麗な核、米帝の核は汚い核。
と単純な頭脳のまま1970年から今まで進歩を止めた左翼にとって、
1945年の大日本帝国の存在は悪の軍国国家であり、死ぬほど気に入らない存在である。
そしてマスメディアの大半はそうした単純かつ、
偏見に満ちた見方を持つ人間が幅を利かせており、政権への批判を日々強めていた。
それこそホッケやカップラーメンの値段から始まりあらゆることに非難を浴びせていた。
「政権への批判は日々高まっているし、
与党では総理大臣の後ろ弾を撃つ恥ずかしい人もいるし…こまったものね」
そう白百合がため息を吐く。
「…我々の日本に設置した大日本帝国大使館の前では連日抗議活動が盛んですしね」
民主主義の理想を語りつつ、
その実やっていることは暴力と偏見で相手をねじ伏せる「自発的」に誕生した某団体。
さらには差別と偏見に立ち向かうといっているが、
何故か構成員は暴力団のような刺青を入れた超圧力と称して暴力を振るっている某団体。
その他、労働組合や基地を許さない会やら多数の赤い団体を菅原は思い出し眉間にしわを寄せる。
「それと外圧もよ、同盟国のアメリカだけじゃなくEUにロシアまで大日本帝国との接触を希望しているわ」
ファンタジーな異世界だけでも開発で得られるものは多いが、
1945年の世界は場合によってはファンタジー世界よりもさらに希少価値があるものである。
何せファンタジーな異世界、
日本が便宜上特地と名づけた世界では石油にしろ石炭にしろ一から調べる必要があるが、
1945年の世界はかつて開発した土地をもう一度開発すれば良く、見返りが直ぐに得られる。
「既に我が国に大使館を設置し、
大日本帝国とアメリカ合衆国との首脳会談の話もあるので、
この日本との交流を我が国だけが独占することは許されなくなるでしょう」
アメリカが新たな市場として大日本帝国に熱い視線を向けているを知る菅原がそう未来を予想した。
「だからこそ、私達は先に交流したアドバンテージを生かす。
この会議ではオブザーバーとして参加しているけど、この機会に各国との伝手を作る、そうでしょ?」
「はい、無論であります」
21世紀の日本政府はこの宝の山を独占することは適わない事を承知していた、
ゆえに各国が1945年の世界と直接接触する前にこの会議で各国との伝手を作ることを目論んでいた。
何せ環太平洋諸国会議は政治的に大日本帝国とその他の国々たち位置を明白することが目的でもあるが、
大日本帝国を中心とする経済体勢の構築についても話し合われる予定で、21世紀の日本として伝手を作って損はない。
「期待しているわ」
「はい、ご期待に答えられるように努力します」
自らの出世も考えている菅原が恭しく返答した。
もっともこの後しばらくしてロリな嫁を貰うことから始まり、
色々波乱万丈な外交官となることをこの時は考えもしなかった。