ゲイリーマンのカミングアウト的思考

長年サラリーマンしながらLGBT活動。45歳にしてフリー。同性愛者らが自分らしく生きられる社会を地方から目指す。ミラー版

「ミュンヘン」を観て

2006-02-24 02:05:44 | Weblog
スピルバーグの新作「ミュンヘン」を観てきた。

冬季オリンピックのさなかのことであるが、1972年ドイツのミュンヘンオリンピック開催中にパレスチナのテロリストがイスラエルの選手団11名を拘束し結局惨殺した事件。

選手団を殺されたイスラエル政府は自国の工作機関モサドの元工作員を秘密裏に送り報復することを決断。
報復の報復、憎しみの連鎖がつづくことを淡々と、そしてスリリングに描いた作品だ。

3時間近くある映画だが、飽きさせることは無い。
さすがスピルバーグ、こんな難しい問題を異常なまでに面白く見せてくる。

テロの当事者を仕返しで殺す。それも他人には被害が出ないように一人づつ暗殺していく。
見ているうちに、次々行われる暗殺ゲームの成功をヒヤヒヤしながらも楽しんで見てしまうのだ。
キューブリック以上の嫌らしさで観客は持て遊ばれているようだ。

でも主人公も、見ている私たちも段々に気がついてくる。
いったい、こんなことに終わりは来るのか?
リストの当事者を殺しても、また別の人が役につくだけ。自分だってそう・・・。
次の世代も永遠に続けていくのか?

国は指示は出すだけ、当事者は仕事をしただけだが、報復のターゲットとされ、
キリが無く一生気が休まることは無い。
そして家族さえも。

国のためにと報復を崇高な正義ととらえて終わることの無い傷つけあいを繰り返す。
日本ではそういうことが無くて本当によかった。
60年前にグッとこらえてくれ、そして連鎖を止めて60年武力による意思表示を封印してきたお祖父さん世代は、本当に賢明で立派であったと感謝したい気持ちでいっぱいになる。

次々行われていく面白く描かれた暗殺シーンを見ていると、国同士の戦争という扱いでもなく、忍び込んでこそっと目的を果たしていくと言うのならいいのかもしれない?
なんて変なことを感じてしまう。

例えば北朝鮮にいる拉致家族を奪還するために日本の特殊工作員を忍び込ませ、
あらがうものは仕方なく殺しつつも家族を連れて帰られるなら、
どうせ奴らも勝手にこの国で一般人を拉致したのだ、少々手荒な真似をして奪い返してもいいじゃないか??
なんてことをあえて想像しながら見てみた。

でも、そんなことをすれば拉致の連鎖は続いていき、その奪還を手配する工作員は一生安心して暮らしていけないことになるんだろうね。
国とは言いつつ、報復を遂げるためには闇社会とも手を結び・・いったい何をやってんだか。

報復の連鎖をやめた国、日本。
この経験や思想を誇らしく世界に広げていくことが日本の重要な役割であろうと改めて思う。

最後に・・俺の予想だけど ミュンヘンは残念ながらアカデミー賞はとれないと見た!
ブロークバックマウンテンで決まりでは?!
コメント (2)
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