ゲイリーマンのカミングアウト的思考

長年サラリーマンしながらLGBT活動。45歳にしてフリー。同性愛者らが自分らしく生きられる社会を地方から目指す。ミラー版

「ワールドトレードセンター」を観て

2006-11-02 01:27:49 | Weblog
先の映画「ユナイテッド93」とも違い、帰還できると言う希望のある作品です。

あのワールドトレードセンターの惨事に巻き込まれた警察官の
奇跡の帰還を描いた感動作。設定もほとんどは埋もれたビルの瓦礫の中の話。

日常の朝の風景からあっという間に大事件に巻き込まれ、轟音とともに
何が起こったかわからぬまま生き埋めになり、仲間も亡くなっていき・・

情報からも隔離され、世の中の喧騒とは離れた瓦礫の中で、命をつないで
いきます。

さざまざな奇跡がつながって・・・

埋もれた人間から見れば、2棟目の崩壊も7号棟の倒壊も
この世の終わりが続いているとしか思えなかったでしょう。
その恐怖、狂いそうです。

何も分からず、イスラエルには核が落とされたらしいとか、
世界大戦が勃発したとか、パニックの中、奇跡的に命をつなげた。

監督は「プラトーン」や「7月4日に生まれて」「JFK」
「アレキサンダー」のオリバーストーン。

ちょっと彼の作品とは思えない優しさにあふれていました。

ラストに語られるが、テロと言う悪意に満ちた大災害の中、同時に
人間の善意の部分もたくさん垣間見れた、その善意のところに視点をあわせた
この作品の描き方は、なんとも救いは感じます。

その善意の連鎖で世界を変えていけるきっかけとなるなら、この試練も・・
と思えるのだけどね。

この作品、オリバーストーン作品にありがちな政治的な問題の投げかけが
なにもないのです。テロの犯人も出てこない、犯人への憎しみとか
そういうのもない。

まるで大震災でもが起き、巻き込まれてしまった人たちの話のようです。

映画としての主張は特に何もない、その意図を思いあぐねている・・

ただNYで働く警官とその家族のあの一日の動きを追っていく。

あの日がどんな朝だったのか?なんてことない朝の始まり、
被害者としての追体験をさせてもらえ貴重ではあった。

家族や恋人を想い必死に命をつなごうとする様に館内はすすり泣く音が方々に。

俺もいとおしい人たちを思い起こし、今を大切にしようなんて思うのだが
ことが起これば俺たちなんて小さなものだ。
目の前の災難にネズミのごとく必死に生き残りをかけるしかない。

何故こんなことが起こったんだ!?と考えたところで目の前の惨状と
自分の生き残りに、そんな事は途方も無い疑問にしかならなくなってしまう。

実際は、自分のやっていることが世界にどう影響を与えているかに無意識と
なってしまった国民、一般市民に、思わぬ形で無知の罰が降りかかったこと
なのだけど、実際に事件に巻き込まれたものには狭い範囲でしか考えられません。

生還した被害者たちは今何を考えて世界を見ているのでしょうか?

テレビで見て報復だ!と頭に来た多くの国民ではなく、
被害者は何を感じているのでしょう。

こうならない為に・・だな、

この出来事は自然災害ではないのだぞ・・

なんて、どうしても冷静に見る自分だった。

ビルのシーンとか、あれは本物の事件をフィルムで撮影したものを使ってた
と思う。テレビカメラではなく、フィルムかハイビジョンカメラで
当時気を利かせて現物を押さえていた映画人がいたのかな?
コメント
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