占術 - ジョハリの窓と心理学の限界
コミュニケーション学です。自己と他者でそれぞれ「見える」見えない」窓を設定し、それぞれの領域でパーソナリティがどうなっているのか、また、どうある事を目指すべきかを論じます。以下のような配置の窓を思い浮かべればよいかと思います。
|1.自分からも他人からも見える|2.自分だけ見える|
|3.他人だけ見える |4.自分からも他人からも見えない|
占術は昔からこの4つのどの窓からでもアプローチできますが、心理学では「科学」故に4からのアプローチは出来ません。見えない故にどんな仮説も実験に よる実証も出来ないからです。ここを対象とする限り、少なくとも科学としての心理学は手も足も出ません。イギリスやアメリカで、カウンセラーを目指す学生 たちが、大学や大学院で占星術や易を学習する場合があるのはこの理由故と何かで読んだ事があります。つまり、深刻なケースでは、従来的な方法ではそもそも とりつくしまがないので先に進む事が出来ない、という事が随分前から臨床心理学の現場でも問題として意識されていたのです。カウンセラーや精神科医の従来 的なインタビューでなんとかなる場合も沢山あると思いますが、万能ではないでしょうから、そういう事があっても不思議ではありません。
ちなみに、私が勉強したタロットの入門書はアメリカの大学で使われているものでした。
ちゃんとした占術には、森羅万象をシンボリズムによって体系化して考察するメソッドが備わっています。シンボリズムですので、必ずしも科学的でも合理的で もありませんが、ちゃんとそのシンボリズムによる世界観をしっかり構築出来る体系を持ったものであれば、これを上手に使って自己と他者および自己をとりま く世界との相対的な関係とそれぞれの在り方を分析し、これからどうすれば良い状態になるのかを考察する事が出来るのです。それは、既に迷路に入り込んでい る人々に出口を示唆するものでもあります。しかも、出口を示唆するほどまでに成果を上げられるのは、その占術の正当な運用方法を理解している術者が使用し た場合です。単なる当て物や教科書通りの占断しか出来ない術者ではやはり単なる当てずっぽうになってしまいます。欧米のようにカウンセラー志願の専門家の 卵たちがツールのひとつとして学ぶからこそ意味があるのだと思います。とはいっても、実際に出口に向うのは問題を抱えた当事者自身であって、占術はそれに 関しては何もする事は出来ません。
なお、残念ながら日本では占術がこのような形で使われているという話を聞いた事がありませんし、大学で臨床系の心理学の専門コースで使われているテキスト、というのも目にしたことがありません。