学会が終わった後の最後の日は、世界遺産のボイン渓谷とタラの丘に行くツアーに参加しました。日本語のガイドのあるツアーを申し込んだのですが、なんと参加者は私と夫だけ。完全貸切ツアーとなったのでした。日本語のガイドさんをお願いすると、よくこういうことがあります。しかも日本人のガイドさんというのは、結構痒いところに手の届くような案内や行動をしてくれる方が多いので、本当にありがたいのです。やっぱり日本人って良いなぁ、とそういうときはしみじみ思うのです。今回の森谷さんという方も色々勉強されていて、多方面に知識を持っていらして、とても面白かったです。
ボイン渓谷の眺め。まるでおとぎ話の絵のようです。
そしてこんな景色の中に5000年前に作られたという巨大な古墳が点在しています。5000年前というのは、エジプトのピラミッドよりも古く、インカ帝国の遺跡よりもさらに古いのです。
ニューグレンジという古墳。この不思議な渦巻き模様のある入り口から中に入ることができます。
中はとても狭い通路になっていて、多分10数メートルくらい進むとちょっと広い墓室があります。天井はびっしりと大小の石で組まれていて、一滴の水も漏れて来たことがないそうなのです。そしてもっと驚くことは、入り口から墓室まで、計算し尽くされた緩やかな傾斜になっていて、普段真っ暗な墓室が、冬至の日には太陽の光が真っ直ぐに墓室の中を照らすように作られているのです。一体こんな精巧なものを5000年前に誰が作ったんでしょうねぇ。私は思わず「宇宙人説」を考えてしまいました。考えることは皆さん同じらしく、空想が空想を呼び、ガイドさんと話がすっかり盛り上がりました。天文学的知識と、この模様、積まれた石(総重量が20万トンを超えるそうな)、一体誰がどうやって???
次に訪れたのは、モナスターボイス。とても古い屋根のない修道院跡とその辺りは墓地。人の墓の上を歩き回るというのは、ちょっと不謹慎なような…、でも教会なんかはみんなそうなのよねぇ。
その墓地の中にたくさんのアイルランド独特のハイクロス(ケルト人が信じていた神とキリスト教が合体したクロスだそうな)が立っています。これはその中でも模様がとてもよく残っている美しい背の高いハイクロス。
"Station House Hotel" ランチをいただいた、レストランですが、この建物、名前の通り、昔は駅舎だったのだそうです。
中もおしゃれに改装されていて、結婚式のレセプションなどにも使われているようでした。
ランチを食べた後はいよいよタラの丘。後で知ったことですが、「どこかで聞いたことのある名前だなぁ」と思っていたら、やっぱり「風と共に去りぬ」のスカーレットの故郷の農場の名前がタラなのです。で、あの作者のマーガレット・ミッチェルさんはやはりアイルランド人で、故郷のこの丘の名前をつけたのでした。確かスカーレットのお父さんもアイルランド系の人っていう設定だったような…
昔、ケルト人が作ったこの辺りの国の王様は、代々この石を触ることによって、石が王様の名前を呼べば、国王になれたそうな…。ということで、この石はとてもパワーのある石で、この丘は「タラの丘」としてアイルランド人の心の故郷になっているのだそうです。なので、私も夫もナゼナゼして見ましたが_、何も起こりませんでした。ところが、その夜、なぜか、どうしたことか、私も夫も興奮状態のようになり、私など心臓がドキドキしてしまって、全く眠れなくなってしまったのです。パワーに当たったのでしょうか…。こういうことに関しては、かなり鈍感な方なのだけれどなぁ。いろいろな墓地も歩いてきちゃったし、何か持って帰って来ちゃったかしらん。
このツアーの後、ホテルに戻る途中、川沿いに新しいEPIC『The Irish Emigration Museum』という斬新な建物の博物館があり、気になっていたので入って見ました。これはアイルランド人がこれまで世界中に進出して(移民して)行った足跡をたどった博物館でした。ものすごいITを駆使した展示で、なかなか楽しめました。そして、ラストネームにO'がつく人、(オコナー、オサリバン、オニール etc.)や、Macがつく人(マクドナルド、マクゴウェン、マクギャバン etc.)はほとんどアイルランドからの移民だとのこと。我が家の娘の夫くんのラストネームDoughertyもアイルランド系。考えて見たら、私の周りにもいっぱいいますが、世界中で活躍してる有名人もたくさんいることがわかりました。いやはや5000年前からあんなにすごい天文学を駆使した穴なんかを作っちゃっていたんだもの、偉人がたくさんいてもおかしくないわねぇ。アイルランドって予想をはるかに超えて見応えのある、面白い国でした。