シリーズ平成の本音―「0増5減」の区割り法案は違憲の恐れ!
3月6日、東京高裁は、昨年12月に行われた衆議院選挙が選挙区により人口比率を平等、公正に反映されておらず、「1票の格差」が最大で2.43倍のまま実施されたので違憲であるとの弁護士グループの訴訟に対し、区割り規定を違憲としたのを始めとして、全国で16件の裁判において、3月27日までに14件は格差が是正されないままで行われた選挙は違憲とされ、他2件も違憲状態とされた。特に広島高裁では選挙自体を無効とし、11月26日をもって効力が発生するとし、立法府に是正の猶予を与えたが、岡山支部は猶予を与えることなく無効とした。
このような司法の判断を受けて、与党自民、公明両党は、議席数を「0増5減」すれば「1票の格差」は2倍以内に収まるとしてまずこれを実現し、4月12日に「0増5減」に基づく区割り法案を閣議決定すると伝えられている。しかし「0増5減」により、緊急避難的な是正を行っても、格差は最大で1.998倍にもなり、とかろうじて2倍以内におさめているに過ぎない。
憲法は、すべての国民は「法の下に平等」であって、政治的、経済的、社会的において差別されないと規定している(14条)。民主主義のいわば原点の規定である。
法の下の平等に基づけば、有権者の「1票の重さ」は基本的に1対1の関係でなくてはならない。技術上の問題もあるので、厳密に1対1にすることは困難としても、1対2以上はもとよりのこと、1対1.5や1対1.998では「法の下に平等」とは決して言えない。従って、「0増5減」の区割り法案が例え成立しても、区割り法自体が違憲となる恐れがある。
「1票の重さ」を出来る限り1対1に近付ける努力が不可欠である。もし政治が自主的に努力を行わず、多くの有権者の平等性を犠牲にするのであれば、裁判所が毅然として「1票の重さ」の基準を示すべきであろう。立法府には十分過ぎる程の時間が与えられて来た。司法も国民に対しきちんとした解釈を示すべき時期に来ている。
また各党も、「1票の重さ」の平等性につき明快な見解を示すべきであろう。
他方、国民の基本的な権利について適正な解釈が出来ないような政党や国会は、憲法改正など議論する資格は全くない。比喩的に言えば、法を破った罪人に刑法改正を任せることは出来ないのと同様である。(2013.4.2.)(All Rights Reserved.)(不許無断引用)
3月6日、東京高裁は、昨年12月に行われた衆議院選挙が選挙区により人口比率を平等、公正に反映されておらず、「1票の格差」が最大で2.43倍のまま実施されたので違憲であるとの弁護士グループの訴訟に対し、区割り規定を違憲としたのを始めとして、全国で16件の裁判において、3月27日までに14件は格差が是正されないままで行われた選挙は違憲とされ、他2件も違憲状態とされた。特に広島高裁では選挙自体を無効とし、11月26日をもって効力が発生するとし、立法府に是正の猶予を与えたが、岡山支部は猶予を与えることなく無効とした。
このような司法の判断を受けて、与党自民、公明両党は、議席数を「0増5減」すれば「1票の格差」は2倍以内に収まるとしてまずこれを実現し、4月12日に「0増5減」に基づく区割り法案を閣議決定すると伝えられている。しかし「0増5減」により、緊急避難的な是正を行っても、格差は最大で1.998倍にもなり、とかろうじて2倍以内におさめているに過ぎない。
憲法は、すべての国民は「法の下に平等」であって、政治的、経済的、社会的において差別されないと規定している(14条)。民主主義のいわば原点の規定である。
法の下の平等に基づけば、有権者の「1票の重さ」は基本的に1対1の関係でなくてはならない。技術上の問題もあるので、厳密に1対1にすることは困難としても、1対2以上はもとよりのこと、1対1.5や1対1.998では「法の下に平等」とは決して言えない。従って、「0増5減」の区割り法案が例え成立しても、区割り法自体が違憲となる恐れがある。
「1票の重さ」を出来る限り1対1に近付ける努力が不可欠である。もし政治が自主的に努力を行わず、多くの有権者の平等性を犠牲にするのであれば、裁判所が毅然として「1票の重さ」の基準を示すべきであろう。立法府には十分過ぎる程の時間が与えられて来た。司法も国民に対しきちんとした解釈を示すべき時期に来ている。
また各党も、「1票の重さ」の平等性につき明快な見解を示すべきであろう。
他方、国民の基本的な権利について適正な解釈が出来ないような政党や国会は、憲法改正など議論する資格は全くない。比喩的に言えば、法を破った罪人に刑法改正を任せることは出来ないのと同様である。(2013.4.2.)(All Rights Reserved.)(不許無断引用)