平成の本音―コロナ禍対策持続化給付金の委託先はやはり不適正
武漢型コロナウイルスの緊急経済対策として、目玉対策の1つである中小、零細企業などに支給される持続化給付金の実施委託先が問題となっている。
所管している経産省は、‘一般入札’で「一般社団法人サービスデザイン推進協議会」と769億円で契約(4月30日)としている。しかし同協議会は、その業務のほとんど全てを広告代理業の電通に749億円で再委託したもので、適正としている。一般入札で受託した一般社団法人サービスデザイン推進協議会同は、人件費等として20億円ほどを得ている。ところが同協議会は、電通などを中心として2016年5月に設立された団体だ。
これは第一契約者が、実質的な給付業務はせず、外部の民間企業に丸投げしているもので、緊急に実施する必要があるなどの理由はあろうが、次の通り大きな問題がある。
1、サービスデザイン推進協議会は実質的な給付業務をせず、電通に丸投げ
受注者であるサービスデザイン推進協議会は、実質的に全ての給付業務を実質的な関連会社である大手広告代理店の電通に丸投げしており、第一契約者がトンネルになっているだけだ。そもそも本件に関連する事業実体のない社団法人であり、受注資格自体が問われる。
しかも20億円を人件費などとし受け取っているが、トンネルしただけで20億円の人件費等の経費とは一体何か。この団体に20億円流すために委託したようなもので、その分を困窮企業の支援に充てた方がよさそうだ。
2、‘一般入札’としているが、適正な競争入札であったか疑問
経産省は一般入札としているが、出来レースであった可能性がある。サービスデザイン推進協議会の背後に主力会社として電通がいることは業界であれば知っている事であり、緊急性を理由に、サービスデザイン推進協議会受注、電通が給付業務という流れが決まっていた可能性がある。経産省は両者の関係は十分に知っていたはずだ。
他に何社応札したのか。また電通は、どこに業務委託等したのだろうか。
3、緊急事態を理由に予算が省庁毎の利益団体・グループに食い潰される恐れ
そもそも持続化給付金についても、申請のため何回も電話しても繋がらないそうであり、給付業務に問題があるようだ。そもそも、サービスデザイン推進協議会はもとより、電通にしてもこのような窓口業務に実績があるわけでも、そのような人材が会社内にいるわけでもない。
経産省の関連団体をトンネルとして関連企業に多額の予算を流すことになる。749億円と言えば多額であり、それがこれらの団体・企業の持続化支援になると言えないことはないが、趣旨が違う。補正予算は赤字国債まで出して組んだ事業であり、いずれ国民から税金として徴収される資金であるので、国民としてはその使途が納得できるものでなくてはならない。
第2次補正予算では、個別の事業内容の適否と適正な執行が問題になる上、10兆円にのぼる「予備費」が計上されている。1次補正の1.5兆円の予備費を加えると、11.5兆円もの使途未定の予備費があり、結局は関係省庁や政党の関連団体・企業などの利益グループに食い潰される可能性がある。国民としては、緊急時とは言え、無節操とも言える国・公債発行、政府の膨大な借金もさることながら、それ以上に納得のいく使い道が確保されることを望んでいるのだろう。(2020.6.2.)
武漢型コロナウイルスの緊急経済対策として、目玉対策の1つである中小、零細企業などに支給される持続化給付金の実施委託先が問題となっている。
所管している経産省は、‘一般入札’で「一般社団法人サービスデザイン推進協議会」と769億円で契約(4月30日)としている。しかし同協議会は、その業務のほとんど全てを広告代理業の電通に749億円で再委託したもので、適正としている。一般入札で受託した一般社団法人サービスデザイン推進協議会同は、人件費等として20億円ほどを得ている。ところが同協議会は、電通などを中心として2016年5月に設立された団体だ。
これは第一契約者が、実質的な給付業務はせず、外部の民間企業に丸投げしているもので、緊急に実施する必要があるなどの理由はあろうが、次の通り大きな問題がある。
1、サービスデザイン推進協議会は実質的な給付業務をせず、電通に丸投げ
受注者であるサービスデザイン推進協議会は、実質的に全ての給付業務を実質的な関連会社である大手広告代理店の電通に丸投げしており、第一契約者がトンネルになっているだけだ。そもそも本件に関連する事業実体のない社団法人であり、受注資格自体が問われる。
しかも20億円を人件費などとし受け取っているが、トンネルしただけで20億円の人件費等の経費とは一体何か。この団体に20億円流すために委託したようなもので、その分を困窮企業の支援に充てた方がよさそうだ。
2、‘一般入札’としているが、適正な競争入札であったか疑問
経産省は一般入札としているが、出来レースであった可能性がある。サービスデザイン推進協議会の背後に主力会社として電通がいることは業界であれば知っている事であり、緊急性を理由に、サービスデザイン推進協議会受注、電通が給付業務という流れが決まっていた可能性がある。経産省は両者の関係は十分に知っていたはずだ。
他に何社応札したのか。また電通は、どこに業務委託等したのだろうか。
3、緊急事態を理由に予算が省庁毎の利益団体・グループに食い潰される恐れ
そもそも持続化給付金についても、申請のため何回も電話しても繋がらないそうであり、給付業務に問題があるようだ。そもそも、サービスデザイン推進協議会はもとより、電通にしてもこのような窓口業務に実績があるわけでも、そのような人材が会社内にいるわけでもない。
経産省の関連団体をトンネルとして関連企業に多額の予算を流すことになる。749億円と言えば多額であり、それがこれらの団体・企業の持続化支援になると言えないことはないが、趣旨が違う。補正予算は赤字国債まで出して組んだ事業であり、いずれ国民から税金として徴収される資金であるので、国民としてはその使途が納得できるものでなくてはならない。
第2次補正予算では、個別の事業内容の適否と適正な執行が問題になる上、10兆円にのぼる「予備費」が計上されている。1次補正の1.5兆円の予備費を加えると、11.5兆円もの使途未定の予備費があり、結局は関係省庁や政党の関連団体・企業などの利益グループに食い潰される可能性がある。国民としては、緊急時とは言え、無節操とも言える国・公債発行、政府の膨大な借金もさることながら、それ以上に納得のいく使い道が確保されることを望んでいるのだろう。(2020.6.2.)