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アベノミクスで実質賃金改善せず、増えるは負担のみ!

2018-09-29 | Weblog
平成の本音―アベノミクスで実質賃金改善せず、増えるは負担のみ!
2月7日、厚生労働省は、2017年の実質賃金指数は22016年を0.2%下回り、2年ぶりに低下した旨公表した。要するに、賃金は名目では若干上昇したが、2013年以来日本銀行が2%のインフレ目標を取っている中で、物価上昇によって実質賃金は減少し、生活は実質的には苦しくなっているということだ。
政府、日銀は、2013年より、デフレ脱却を標榜し、インフレ目標を2%とし、‘異次元の金融緩和’を行い、更に金利をマイナスにして経済を刺激しようとして来たが、実質賃金は上がらず、それが消費低迷の追い打ち要因になっていることが明らかになった。2%のインフレターゲットは成功しないばかりか、実質的に生活を苦しくし、実施から5年を経ても成功していないことが明らかだ。
 確かに、‘異次元の金融緩和’とマイナス金利により、円安を誘導し、輸出や観光など一部の産業の回復と官制バブルとも言える株高をもたらしたが、この政策は国民に次々と負担を強いる一方、期待された年金など社会福祉の改善がなされないどころか、諸々の負担が増加するなど、国民の将来不安を逆に募らせ、これが消費抑制、デフレマインドの最大の原因となっている。
 8%への消費税増税に加え、2%インフレ目標により政府・日銀に容認された物資の値上げや、ボトルのサイズや量を減らした巧妙な隠れ値上げをするなど、物価は上昇し続けているので、国民の消費節約意識を強める結果となっている。
 1、‘異次元の金融緩和’の限界と逆効果
‘異次元の金融緩和’は局部的に一定の効果はあるが、次のように一般経済への効果はないことが明らかになっている。
(1)‘異次元の金融緩和’は、一般消費にはほとんど影響がない。
その上2%のインフレ容認策により物価が上昇し、逆に節約意識を増幅させ、消費意欲を減退させる結果となっている。
(2)更に金融緩和策の一環として2009年9月以来長期に取られてきた実質ゼロ金利政策は、国民や企業・団体から預金金利を奪っており、それが消費節約を生み、また銀行離れを加速させている。銀行手数料と物価上昇を勘案すると、預金金利は実質マイナスとなり、それが10年近く継続されているので、これが消費マインドを冷え込ませている。
 またマイナス金利の長期の継続は、金融業界の収益を圧迫し、金融業界の弱体化、人員削減を強い始めている。
本来、ゼロ金利やマイナス金利は、経済原理に反しており、この緊急避難的な政策を5年を超える長期に継続することは好ましくない。資本主義、自由市場の下での自由な判断、活動は抑制され、管理経済的な色彩が濃くなっており、懸念される。
 日銀総裁は、法律や規則の専門家であり、法律、規則で決めれば市場はそれに従ってくれると思っているのだろうか。
(3)‘異次元の金融緩和’は、一部の資金は実体経済に回っており一定の効果があるが、日銀が国債のみならず、大量の株式購入を行っていることから、いわば官制株高の様相を呈している。株安に転じると、個人投資家がまた最大の被害者となることが危惧されている。
 2、金融正常化の上で国際協調に反する金融緩和策の継続
 現在主要先進経済諸国は、米国を中心として金融正常化の方向に進んでおり、EUもその方向を模索している。
 アベノミクスの最大の施策である‘異次元の金融緩和’は、5年間の実績から判断して、効果が限定的である上、この政策を続けることはマイナス効果が大きく、好ましくない。いわば賞味期限切れであり、政策の抜本見直し、転換の時期であろう。
その継続は、米国を中心とする主要先進経済諸国の金融正常化の方向とも反し、金融・経済政策面での国際協調からも外れる恐れがある。
3、デフレマインドの最大の原因は将来不安
実際のところ、長期の将来不安の最大の原因は、社会福祉政策、特に年金の後退に次ぐ後退であり、それが消費抑制に繋がっている。国民の多くは、消費税の増税自体には小幅であれば仕方がないと思っている。しかし問題は税の使い方であり、自・公連立政権で起こっていることは、年金支給年齢の先延ばしと支給額の減額、介護保険の漸増など、社会福祉面での後退である。消費増税で社会福祉は改善するのではとの国民の期待が見事に裏切られたた形だ。
逆に、地方を含め、行政・議会改革は全く手を付けられておらず、人件費を含む行政管理費や議員経費は膨らみ、公的債務は膨らむ一方で、政府の借金が膨大になって、長期の赤字予算となっているのに、行政経費の削減や無駄の削減などは行われていない。これもまた国民の負担増と将来不安に繋がっている。
(2018.2.11.)
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韓米軍事同盟に日本は参加すべきではない

2018-09-29 | Weblog
平成の本音―韓米軍事同盟に日本は参加すべきではない
 韓国の康京和(カン ギョンファ)外交部長官は2017年10月30日、議会での外交関係の国政監査において、対北朝鮮防衛強化のため配備された米国の迎撃ミサイルTHAADを巡り悪化している中国との関係について、中韓首脳会談開催への期待を表明しつつ、次の3つの立場を明らかにした。
・THAADの追加配備は行わない。
・米国のミサイル防衛(MD)システムに参加しない。
・韓日米安保協力は軍事同盟に発展しない。
 これはTHAADの配備を巡り悪化している中韓関係の‘復元’、正常化を狙った発言と見られており、‘三不’政策とも言われている。
 これに対し中国外務省は、同日午後に報道官が康長官の発言に関連して、「韓国側のこうした3つの立場を重視する」とし、韓国側がこれを実際に行動に移すことを願う旨述べた。しかし中国側が、韓国外交部長官の発言を‘約束’との表現を用いたため、韓国内でも議論となっている。
 中国側は、韓国におけるTHAAD配備と共に、米韓日の軍事同盟化を強く警戒していると見られ、中国が10月の全人代で習体制を固めて以降、日本との関係を改善する姿勢になっているのはこれを阻止するためとも思われる。
 韓国が、米韓日の軍事同盟を望んでいなければそれに参加する必要はない。日本側がそのような意向を表明したこともない。もっとも軍事同盟については、一方の同盟国への北朝鮮を含む第三国からの攻撃は日本への攻撃とみなされ、参戦しなくてはならなくなるので、日本の現行憲法ではそのような軍事同盟に参加することは困難であろう。従って韓国側から言われるまでもない。
 そもそも朝鮮戦争は1953年の休戦協定により軍事対決こそ回避されているが、米韓両国と北朝鮮は現在でも敵対関係にあり、北の核、ミサイル開発は基本的に米韓への対抗措置として進められているものである。日本は、朝鮮戦争の当事国でもない。また第二次世界大戦後、北朝鮮とは平和条約を締結していないが、2002年9月に小泉首相(当時)と金正日総書記(当時)とで調印された日朝ピョンヤン宣言において、拉致家族問題の他、日朝国交正常化交渉の開始などが盛り込まれており、この宣言は自・公連立政権において破棄はされていない。
従って政策論としても、朝鮮半島有事の場合には米軍への必要な後方支援は行うことになろうが、日本及び日本国民の安全のためにも、米韓との軍事同盟に参加しないことが賢明な選択肢と言えよう。
(2017.11.23.)
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参議院定数改悪案、参院不要論の証明!!

2018-09-29 | Weblog
シリーズ平成の本音―参議院定数改悪案、参院不要論の証明!!
 延長国会に入った参議院において、地方での人口減に対応し、選挙区の合区と1票の格差是正のため、参院選の制度改革案が審議されている。2019年夏に参議院選挙があるため、選挙制度改革案を行わないと1票の格差が縮まらず、またまた裁判所で‘違憲’或は ‘違憲状態’との判決が出される。自民・公明両側は、従来‘違憲状態’は‘違憲’ではないとして、1票の格差是正を先延ばししてきたが、‘違憲状態’と‘違憲’とは同義で、‘違憲’と判決されなくても、‘違憲’であることには変わりがない。
通常国会終盤の6月6日、自民党は、参院選挙区で「鳥取・島根」、「徳島・高知」の合区を継続しつつ、「1票の格差」是正と称し埼玉選挙区の定数を2増、比例代表の定数も4増し、合計で議席を6増とする選挙制度改革案を了承した。
参議院で自民・公明両党と維新の会が臨時国会での成立を図りたいとしている。国会を延長した最大の理由がこれを通すためである。
一体何が‘改革案’なのだろうか。
鳥取・島根、徳島・高知を合区としたのは、これら4県の人口減により定員配分が多すぎ、1票の格差を象徴する選挙区となったため合区として是正したのであろう。それを今度は1票の格差を3倍以内に是正するために6議席も増やすのは、一体何のこと?人口減が進んでいるから合区にしたのでしょう。
人口減があるのを承知の上議席増を図るのは、よく言えば‘言っていることと、やっていることが違う’、言い方は良くないが‘火事場泥棒’のようなものではないのだろうか。
 国民の目には、この自・公連立政権は、言っていることと実際にやっていることとの差が大き過ぎるように見える。
 森友学園問題でも、首相夫人や首相自身か明治天皇の下での‘教育勅語’に沿った教育方針を評価していたことは事実であり、陰に陽に学校建設に関与し、或いは影響を与えていたことは事実であろう。それを国民に説明すれば済んだ話であったのに、それを否定したことから、財務省理財局はあわてて関連文書を廃棄したと嘘をつき、また関連部分をすべて削除するという公文書の改ざんを招いたのだろう。
 加計学園問題でも、‘2015年2月25日’に加計理事長は首相に会っていることは事実であろう。愛媛県の公文書に記録が残っている。公文書は、情報を共有し、後々のために言った、言わないというような疑義が出ないようにするために残すものであり、利害関係者の言葉よりも信ぴょう性が高い。会うこと自体は何も問題はない。しかし会っていないとすることはまっかな嘘であろう。関係した官邸の補佐官や官僚がこぞって関与を否定しているが、あ事実とは異なるのであろう。もし加計学園側が愛媛県に嘘の報告をしたのであれば、獣医学部の経営管理の資格、教育に携わる資格はない。
 政権、政権政党、関係官僚の政治的、道義的責任は重い。
 現在参議院で審議されている‘議席を6増して1票の格差を3倍以内にする’
という案は、日本の人口減という非常に大きな政策課題を全く理解せず、ただ目先の政治屋という職業を確保し、付けは国民に回すという非常に無責任、不見識な改悪案としか映らない。また‘1票に格差を3倍以内にする’ことも、ただ目先の‘違憲状態’をぎりぎりで回避するというだけで、国民の平等を確保するという点からすると程遠い小手先の違憲回避案でしかない。参議院としての見識、公正さが疑われても仕方がない。
 今回の自・公連立与党の参議院での対応から、次のことが言えそうだ。
1、参議院は税金の無駄、廃止、又は議席を半分以下にすべし
与党自民・公明両党と日本維新の会が、中長期の人口減という基本的な課題を理解せず、目先の政治屋職業の確保を優先していることは明らかであるので、参議院は廃止、或いは議席を半減しても良いのではないか。税金の無駄だ。
 そもそも現在の参議院は、衆議院のクローン組織、或いはコピーに近い存在であり、その必要性が疑われている。いずれにしても‘常識の府’からは程遠い。
2、個性を失い、自分の意見を持たない議員を作る政党助成金、その元凶である政党ベースの比例代表制は廃止すべし
政党助成金欲しさに議員は‘党議拘束’に盲従する。党の一体性を保つと言えば聞こえは良いが、議員の個性喪失、独自性の放棄でしかない。
 公明党は、支持母体が創価学会で、同じ宗教を信じるということであるので仕方がないのかもしれない。日本維新の会に至っては、自民党予備軍のようで、国政には意味がない政党になっている。日本に‘都’は一つで良い。大阪は大阪の有権者が決めることだろうが、大阪以外には維新の会は不要だ。
 ‘党議拘束’が強く、議員の個性が無くなっているのは、国庫(税金)から各党に政党助成金が出され、それを党が所属議員に給付していることが大きい。議員は党から回された国民の税金をほとんど自由に使える。そもそも、有権者の4割前後が無党派層であるので、税金から党に助成金を出すのは筋が違うのではないか。政党助成金を廃止し、出すのであれば、政党を問わず、国が議員(候補者)に直接支給し、報告義務を課すべきであろう。
 比例代表制については、投票所で‘政党を選ぶ’ことが事実上難しいと思う国民が多い。国民の4割前後が無党派層であるので、政党を選べと言われても選びようがないのだろう。中小政党が多数存在するが、多数決による国会運営ではほとんど無力で無意味に映っている。(2018.7.7.)
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時差Bizの竜馬はミスマッチぜよ!!

2018-09-29 | Weblog
平成の本音―時差Bizの竜馬はミスマッチぜよ!!
 東京都の小池知事は、7月から「時差Biz」と銘打って時差通勤による通勤ラッシュの緩和を提唱し、実施に移した。
 時差出勤は、以前にも実施され、一定の混雑緩和となり、現在では戦後に経験した芋洗いラッシュや駅員の押し屋も見られなくなり、一定の効果があった。
 更にこれを進めるということであり、必要な努力として評価できる。
 しかしその「時差Biz」プロモーションに坂本竜馬が使われている。坂本竜馬は、江戸時代末期の土佐藩(高知)出身の志士で、薩長同盟の成立を画策するなど江戸幕府を倒すことに貢献した。そして明治維新を迎え、江戸は東京となった。
 何で東京都の「時差Biz」プロモーションに坂本竜馬が使われるのか意味が分からない。東京の前身である江戸を倒すことに貢献した男だ。しかも古臭い。使い古されたキャラで、恐らく若い人達は‘何した人?’と思うか、気にも留めないかだろう。
ミスマッチとしか言いようがない。小池都知事は、兵庫県出身で関西の大学で学んだことがあるので、坂本竜馬に親近感を感じるのだろうが、東京に住んでいるものにとっては違和感を持つ。東京都は日本の首都であり、人口の45%以上は地方出身であるので、地方だからどうのと言う積りは更々ない。しかし東京都知事であればもっと江戸や東京になじみのある人物等を活用してはどうなのだろうか。
また東京都知事としては、東京の前身でこの地域を飛躍的に拡大、発展させた江戸の文化や遺跡をもっと引き出し、保護することが役割ではないだろうか。その意味で江戸の中心であった江戸城址を可能な範囲で修復、復元し、更に開放して行くべきではないだろうか。江戸城は世界に誇る歴史遺産である。
(2018.7.25.)
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皇位継承は新時代にふさわしい簡素で親しみやすく (その3)

2018-09-29 | Weblog
シリーズー皇位継承は新時代にふさわしい簡素で親しみやすく (その3)
 8月1日、政府は2019年に予定されている現天皇の退位と新天皇の即位を円滑に進めるため内閣府に皇位継承式典事務局を開設した。また憲法上の象徴となる上で最も重要な「即位礼正殿の儀」(即位の礼、2019年10月22日)に多くの王室、元首級を含む外国賓客が訪日することが予想されるため、外務省内に「即位の礼準備事務局」を発足させた。
 天皇陛下の交代が円滑に行われることを願っているが、同時に関連式典の在り方や天皇の公務の在り方、年号の使い方、更には京都御所の復活による東西日本のバランスある発展などについて、新しい時代、グローバル化する国際関係にふさわしい簡素で分かりやすいものにすることが 望ましい。
1、皇位継承は国民レベルの日常が過度に影響されない式典で (その1で掲載)
2、西暦年号使用の一般化                  (その1で掲載)
 3、天皇の「公務」の軽減によるご負担の軽減   (その 2で掲載)


 4、歴史に基づいた京都御所の復活と江戸城の再興による東西日本のバランスある発展
  新天皇ご一家は、現在お住いの東宮御所から‘皇居’に移られることで検討が進められているが(現天皇は退位後東宮御所へ)、歴史的に見てそこは江戸城であり、また現実に江戸城の可成りの部分がそのまま残っている。
 新たな時代を迎えるに当たり、次の理由で江戸城址を中心とした江戸の回復と天皇が京都御所に戻ることにより、歴史に基づいた東西バランスの回復、発展を図ることが望ましい。
 (1)江戸城を中心とする江戸の回復は最大の観光資源
 江戸城は、欧米列強が開国を狙う中、天皇を戴いた薩長土肥の尊王攘夷派が徳川幕府を倒し、勝海舟と西郷隆盛との協議の末、戦火を交えることなく江戸城を明け渡し、江戸を戦火から守ると共に、欧州列強の介入を招くことなく、1868年に明治維新を迎えた経緯がある。
 従って江戸城は、東京の前身である江戸と共に内戦で破壊されることなく引き継がれ、城内に‘皇居’が建設され、天皇が京都御所から移り住んだ。皇居のある江戸城は、第2次世界大戦においても米国による東京への絨毯爆撃の対象から除外され、焼失した大手門を除き、幸運にもその歴史的な姿が維持された。
 江戸城を中心とする江戸の人口は、幕府が発足した17世紀初頭には15万人程度と言われているが、18世紀初頭には100万人を超えたと考えられている。
 特に、各藩の藩主を1年おきに江戸に出仕させる参勤交代が実施されるようになり、地方の大名が藩邸(各藩がそれぞれ嗜好を凝らし上屋敷、中屋敷、下屋敷で構成)を設けたのち、人口と共に江戸に地方の文化や富が持ち込まれ急速に人口が増加し、人口はロンドン(1801年約 86万人)、パリ(同約 54万人)と比較しても世界一の大都市であったと推定されている。文化的にも、地方の文化も持ち込まれ、多様性があり、また版画や日本画、歌舞伎など、欧州でも評価される高い文化が華を開いた。
その中心が江戸城であり、江戸文化は東京だけの歴史遺産ではなく、日本の、そして世界の文化遺産と言えるので、それを再評価し、可能な範囲で復元、保存して人々に開放することが望まれる。
 江戸城には、現在天守閣の他、幕府の中心となる本丸や二の丸があったが、いずれも焼失し、その代わりとして使われていた西の丸は、明治維新後宮殿として使われていたもののこれも焼失し、残っていない。
 出来れば江戸城のシンボルとなる天守閣だけでも復元したいものだ(注1)。現状でも江戸城址は、内郭(主要建物を含む内堀内)でも東西2.3km、南北1.8kmで、周囲約7.8kmに及ぶ広大なもので、主要な門や周囲の石垣や建築物は重厚で、正に日本最大の城址を思わせる。また明治維新に向けての内戦を回避し、また大手門以外は第2次世界大戦末期の爆撃からも逃れたため、城址内の植物や鳥、昆虫などは江戸時代以来の大変貴重な自然遺産だ。それを保全すると共に、江戸を象徴する江戸城址を保全し、文化遺産、自然遺産として公開することが望ましい。それは世界に誇れる貴重な観光資源ともなり、大きな経済効果も期待出来る。明治維新後、江戸城は天皇の御所として使用され、‘皇居’と呼ばれているが、それにより世界に誇れる大変貴重な歴史的な遺産が隠れてしまう結果となっている。(注2)
 江戸城については、城址だけではなく、徳川家の庭園(離宮)や増上寺、徳川家康・徳川吉宗・徳川慶喜を祀る上野東照宮など、徳川ゆかりのものや、各藩の藩邸跡や庭園など、多種多様の名所旧跡があり、これらを改めて整備し江戸城と結び付けると豊かな文化遺産として、日本人だけでなく世界に発信出来る。それは当時の地方の豊かさや文化の再発見でもある。
(2)歴史に沿って天皇は京都御所へ
 天皇は、もともと奈良や京都を中心として勢力を確立し、文化も伝統的に近畿地方にあり、関西、西日本発展の基礎となった。
 だが現在、京都には主人の居ない京都御所があり、歴史に沿わないと同時に、気の抜けた京都になっている。天皇が存在するのに何故京都御所が空なのか。
 京都御所を改修、増築し天皇にそこに入って頂いたらどうだろうか。京都、関西に命が戻り、活気が蘇ることが期待される。大きな経済効果も期待できる。
 公務等のため困難との意見もあろうが、交通や通信手段は飛躍的に向上しており、本質的な問題ではないであろう。天皇の機能や役割は憲法にきちんと位置付け、広く国民に理解されているので、京都御所に移られても何ら問題はないであろう。
 東京にお出ましにならなくてはならない時には、迎賓館赤坂離宮に必要な改修等を行い、ご使用頂けばよい。迎賓館は実際には年数回しか使われておらず、折角の施設も無駄になっている。
 明治時代は終わっており、新しい時代として、歴史に沿った対応をし、東西のバランスある発展を図るべき時であろう。

(注1) 天守閣は、1607年に建てられたが、火事で焼失し、その後2度修築されたものの1638年に再建されたものも、1657年に飛び火により焼失した。その後天守台だけは再建されたが、天守閣は再建されなかった。天守はほぼ同一規模で、5重6階(地上5階、地下1階)で高さは44.8m または 51m、天守台石垣は13.8mであり、地上58.6m以上あり、威光を放っていた。
(注2) 江戸城天守閣の復元については、千代田区やNPOグループが詳細な研究、企画を行っている。
また東京都の江戸東京博物館には、江戸城の模型や関係する貴重なものが展示されている。
(2018.8.11.)(Copy Rights Reserved.)
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皇位継承は新時代にふさわしい簡素で親しみやすく (その2)

2018-09-29 | Weblog
 シリーズー皇位継承は新時代にふさわしい簡素で親しみやすく (その2)
 8月1日、政府は2019年に予定されている現天皇の退位と新天皇の即位を円滑に進めるため内閣府に皇位継承式典事務局を開設した。また憲法上の象徴となる上で最も重要な「即位礼正殿の儀」(即位の礼、2019年10月22日)に多くの王室、元首級を含む外国賓客が訪日することが予想されるため、外務省内に「即位の礼準備事務局」を発足させた。
 天皇陛下の交代が円滑に行われることを願っているが、同時に関連式典の在り方や天皇の公務の在り方、年号の使い方、更には京都御所の復活による東西日本のバランスある発展などについて、新しい時代、グローバル化する国際関係にふさわしい簡素で分かりやすいものにすることが 望ましい。
 1、皇位継承は国民レベルの日常が過度に影響されない式典で (その1で掲載)
  2、西暦年号使用の一般化                  (その1で掲載)

 3、天皇の「公務」の軽減によるご負担の軽減 
 天皇のご公務の負担が今回の退位の大きな原因となっている。その軽減が望ましい。
憲法上は、天皇の国事行為として次の10項目を挙げている。
(1)憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
(2)国会を召集すること。
(3)衆議院を解散すること。
(4)国会議員の総選挙の施行を公示すること。
(5)国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証 すること。
(6)大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
(7)栄典を授与すること。
(8)批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
(9)外国の大使及び公使を接受すること。
(10) 儀式を行うこと。
 天皇の憲法上の「ご公務」はこの10項目に限定されるべきであろう。これだけでも大変な責任であり、激務と思われる。
 この中で具体的に内容が記されていない「儀式」を行うことについては、即位、大喪の礼などの各種儀礼を指すと考えられている。宮中で行われる各種の神道行事などの宗教性のある行事は公的な行事とはみなされないであろう。国の行事として政府が進める行事、例えば戦没者慰霊行事や国体開会式などへの参列は考えられるが、天皇が主催する「国事行為」としての公務とは言えないので、厳密にいえば「任意」の活動であり、憲法上の「ご公務」とは異なるので、この面での軽減は可能であるので、いわゆるご公務の軽減は可能のようだ。
 また外国の大使を接受することは憲法上のご公務であるが、外国の元首の訪日に際し行われる謁見、特に宮中での天皇主催の晩さん会、午餐会については、天皇は元首ではなく、あくまでも国民の統合の象徴であり、対外的に日本を代表するものではないので、憲法上の国事行為ではないと言えよう。王室等のある諸国からの国王、王女などの訪日に限定するなど、ご公務の軽減、簡略化が可能であろう。
 外国からの国・公賓の訪日は、天皇拝謁や晩さん会等との関係があるので、年4―5回程度に限られており、日本の外交の幅を制約しているとの指摘もある。多くの外国元首が訪日を希望しているが、5年から10年、又はそれ以上のウエイテイングとなっているのが現実のようだ。
               

 4、歴史に基づいた京都御所の復活と江戸城の再興による東西のバランスある発展(その3に掲載)
(2018.8.11.)
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皇位継承は新時代にふさわしい簡素で親しみやすく (その1)

2018-09-29 | Weblog
 シリーズー皇位継承は新時代にふさわしい簡素で親しみやすく (その1)
 8月1日、政府は2019年に予定されている現天皇の退位と新天皇の即位を円滑に進めるため内閣府に皇位継承式典事務局を開設した。また憲法上の象徴となる上で最も重要な「即位礼正殿の儀」(即位の礼、2019年10月22日)に多くの王室、元首級を含む外国賓客が訪日することが予想されるため、外務省内に「即位の礼準備事務局」を発足させた。
 天皇陛下の交代が円滑に行われることを願っているが、同時に関連式典の在り方や天皇の公務の在り方、年号の使い方、更には京都御所の復活による東西日本のバランスある発展などについて、新しい時代、グローバル化する国際関係にふさわしい簡素で分かりやすいものにすることが望ましい。
 1、皇位継承は国民レベルの日常が過度に影響されない式典で
 現行天皇の退位、新天皇の即位は多くの国民にとって関心のあることではあるが、皇位継承自体は皇室典範に基づく宮中での皇族内の行事であると共に、神器の継承等など宗教行事が関係することから、皇室会議メンバー(三権の長が含まれる)の参加の下で、簡素に行われることが望まれる。国民に対してはメデイアを通じて知らせることで十分であろう。
 「即位礼正殿の儀」(即位の礼)については、憲法上新天皇が国民の統合の象徴となることから、その趣旨に沿った身近に感じられる式典とすることが望まれる。しかし「国家元首」ではなく、また「国家」統合の象徴でもないので、在京の諸大使の参列を中心とし、海外からの賓客については基本的には皇室と関係の深い王室や希望がある場合は政府要路等で十分であり、権威的で国民から遠くなるような式典とすべきではないのではないだろうか。
 昭和天皇の崩御に際しては、崩御前年の秋ごろに容体が悪化し、それを心配して「歌舞音曲は控える」という注意が国民レベルで守られ、「時節柄」という表現が流行し、年末でありながら飲食店やカラオケ店等の娯楽施設から客が遠のき、翌年1月に崩御されると喪に服するため「歌舞音曲は控える」ことが国民レベルで徹底され、繁華街から客が遠のき、タクシーの列が短くなるなど、「時節柄」が慣例化し、バブル経済崩壊に拍車を掛けるなど、国民生活に過度な影響を
与えた事例がある。このようなことを繰り返すべきではなかろう。
 また大喪の礼では、厳寒の中各国首脳等を長時間拘束したことが疑問視された。

 2、西暦年号使用の一般化
 運転免許証の有効期限の表記を現在の元号から西暦に変更されることになるらしい。2019年春以降にも実施される見通しだ。複雑な年号と西暦との換算に悩まされている国民にとっては、制度の簡素化の上で久々の朗報だ。
 保守的と見られている警察庁が8月2日、変更方針を明らかにしたもので歓迎したい。実際は3年の有効期限とすると、2019年の皇位継承により新天皇が即位するまで元号は明らかにされるまでは、有効期限を元号では記載できない時期があるからだろう。一方国税庁は、2019年10月からの消費税再々増税に関連し、アルコールなどを除く飲食料品や新聞については軽減税率が適用されるとしてパンフレットを事業主などに送付して来ている。再々増税を当然視しており、フライイングとも思われるが、これに関連して「平成35年10月から導入される適格請求書等保存方式」なるものをこまごまと説明している。平成35年10月?? 無いでしょうそんな年。更に平成38年など無い年号を記載しており、省庁での対応の混乱を示している。
公的機関への有効期限付きの各種の申請書や提出書類の日付から個人の履歴書などなどにも同様の問題が起こる。
 そもそも多くの国民は複数の年号を経るので元号表記は煩雑で、そのために費やす手間暇は可なりのもので、超高齢化の時代では更に煩雑な作業が必要となる。時間の喪失感は無視できないほどで、社会的な損失も大きい。
 日本にはこの種の伝統や慣習が多くある上、法律、規則で公的機関への提出文書を細部まで定めていることが多い。一方日本人は良く働き、残業も多く、夏季休暇が短い上休暇も返上して働くのに、労働生産性は欧米諸国が加盟するOECD 35カ国中20位(37年連続という醜態)、先進7カ国中では40日程度は夏季休暇を取るイタリア、フランスよりも低く最下位だ。
 要するに日本人は労働時間が長いのに反して賃金、役員報酬がおしなべて低いということに尽きる。では何故そんなに労働時間が長いのか。その大きな理由の一つが、元号の換算や箸の上げ下げまで規定する規則ずくめの制度にある。米国はじめ多くの国が、日本は市場参入が難かしい、投資し難い、非関税障壁があるのではないかなど、市場の開放性に疑問に思っている。確かに日本人でありながら新規に何かをしようとすると制度や申請書類などが細かく複雑で大変だ。行政書士や代行業が流行るのもうなずける。古い慣習や制度を、新規の法律、制度の導入時や20年毎など一定期間で廃止することを義務付けるなど、簡素化して行かないと、労働生産性も上がらないし、市場参入などへの阻害要因がアルバム式に増えることになる。
 古い制度や規則を時代の変化に伴い漸次廃止していく意識と努力が必要だ。元号はその一つで、西暦年号の使用を一般化すべきだ。元号の使用(その場合必ず西暦年を併記)は、宮中行事などを中心とすることで伝統はで十分維持できる。

 3、天皇の「公務」の軽減によるご負担の軽減                (その2)

 4、歴史に基づいた京都御所の復活と江戸城の再興による東西のバランスある発展(その3)
(2018.8.11.)
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北朝鮮の非核化、ツケだけ回された日本!?

2018-09-29 | Weblog
平成の本音―北朝鮮の非核化、ツケだけ回された日本!?
6月12日、シンガポールにおいてトランプ米国大統領と金正恩北朝鮮国務委員長が歴史上初めて握手し、首脳会談の後、‘トランプ大統領が北朝鮮に安全保障を約束し、金委員長が朝鮮半島の完全な非核化への揺らぎのない決意を再確認し’、共同声明に署名した。
一部メデイアは、具体性がないなどの批判を行っているが、独裁国家である北朝鮮との関係において、最高首脳から非核化の約束を直接引き出したことは大きな成果であり、これにより北朝鮮の非核化への方針が確認されたと言っていいであろう。
しかし非核化と言っても、研究開発施設やウラン濃縮などの製造施設、そして核爆弾や関連物質の処理には莫大な費用が掛かるが、トランプ大統領は共同声明が発表された際の記者会見において、米国はその費用は出さない、韓国や日本が支援してくれるであろうと述べた。莫大な費用が日本にツケ回された形だ。
そもそも北朝鮮の核、ミサイル開発は、朝鮮戦争が1953年に停戦になったものの、終戦にはなっておらず、米・韓との敵対関係が継続されていた中で行われて来たものであるので、日本は朝鮮戦争の直接の当事者ではないし、また今回の朝鮮半島の非核化は、韓国の文大統領が南北首脳会談を主導し、朝鮮半島の非核化と恒久平和構築への取り組みが約束され、それを受けた米国が北朝鮮との首脳会談に合意し、北朝鮮の非核化への約束確認へとつながったもので、韓国、米国のイニシアテイブで進められたものである。
安倍政権は、米・朝首脳会談直前まで北への‘最大限の圧力継続’一点張りであったはずだ。何で北と敵対関係にある米・韓が主導した非核化の巨額費用を日本が払わなくてはならないのか。
 日本は、自公政権の下で北朝鮮への圧力強化の路線を取って来ており、‘最大限の圧力’ ‘最大限の圧力’と叫び続けていたが、米・朝首脳会談を前にして、トランプ大統領は‘最大限の圧力’とはもう言いたくないとして、金正恩と握手をし、非核化、和平のバスに乗り換えた。日本はそのバスにも乗れず、ツケだけを回されたようなものだ。
確かに北朝鮮の非核化は、米韓両国のみならず、中国、ロシアその他東アジア全体の安全にかかわる問題であるので、日本が北朝鮮の非核化に必要な国際機関による査察、監視などに応分の負担をすることは必要であろう。しかし膨大な非核化費用を日本が肩代わりする必要はないのではないだろうか。日本はこれから北朝鮮との和平過程において相当額の賠償を要求されることが予想されるだけに、その前に非核化で巨額の負担をする余裕もないはずだ。
トランプ大統領が、日本人の拉致問題について金正恩国務委員長に直接提起したことは大変心強く、被害者家族も何らかの進展を期待していたであろう。しかし日本の拉致問題は人権問題の中で触れられただけで、共同宣言にも載らなかった。他方米国は、拘束されていた3人の米国人の解放を首脳会談前に実現し、また共同宣言において朝鮮戦争で死亡した米兵等の遺骨の帰還を約束させるなど、きっちり結果を出している。安倍政権が北朝鮮の核、ミサイル問題で前のめりで北朝鮮を批判し、圧力強化を主張していた上、トランプ大統領に拉致問題を提起してもらったことで足元を見られたのであろうか。
しかし安倍政権は、拉致問題解決を‘最優先課題’などと言って期待を持たせながら、最大の圧力継続一辺倒で何らの結果も出していない上、今回韓国、米国に後れを取り、出遅れた結果となった。安倍政権は、言っていることは明確で耳障りは良いのだが、何らの結果を出しておらず、実態は問題の先送りをしているだけとなっている。
この政権は、首相自身はもとよりその下の政官関係者が、森友学園問題においても、加計学園問題においても国会や国民に真実を語らず、虚偽に虚偽を重ね、決済された公的文書の本質部分を削除改ざんし、また加計学園問題では、明らかに特別に優遇している一方、加計学園側が獣医学部新設場所となる愛媛県に対し、首相の名前を使ってあたかも首相と会談を持ち、支持を得ているかのような嘘をつき、詐欺まがいの工作をしたことを黙認している。これら一連の不誠実、不適切な対応は、行政の信頼を根本的に失わせており、政府の発言の信頼性と行政の倫理観、コンプライアンスにおいて戦後最悪の状態になっている。拉致問題についても、発言の信頼性に疑問が持たれる。
事実、2014年5月の日・朝ストックホルム合意において、北朝鮮が日本人拉致問題などの再調査を約束し、特別調査委員会が持たれた。しかし2017年4月17日、日本側が北朝鮮の調査委員会との会合が持たれた後、北朝鮮の宋日昊・日朝国交正常化交渉担当大使(当時)は、平壌において記者団に対し、再調査特別調査委員会について‘解体された’とし、拉致問題に‘誰も関心がない’と述べる一方、‘日本側から要望があれば、人道問題として残留日本人問題に取り組む用意がある’とし、拉致問題は終ったとの姿勢を示した。再調査特別調査委員会が‘解体’され、拉致問題の非常に重大な局面であったにも拘らず、日本側はその後も拉致被害家族の意向に沿う形で‘圧力’の維持、強化に終始し、期待を持たせながら、問題を先送りして来ただけのではないだろうか。(2018.06.18.)
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皇位継承は新時代にふさわしい簡素で親しみやすく (その3)

2018-09-28 | Weblog
シリーズー皇位継承は新時代にふさわしい簡素で親しみやすく (その3)
 8月1日、政府は2019年に予定されている現天皇の退位と新天皇の即位を円滑に進めるため内閣府に皇位継承式典事務局を開設した。また憲法上の象徴となる上で最も重要な「即位礼正殿の儀」(即位の礼、2019年10月22日)に多くの王室、元首級を含む外国賓客が訪日することが予想されるため、外務省内に「即位の礼準備事務局」を発足させた。
 天皇陛下の交代が円滑に行われることを願っているが、同時に関連式典の在り方や天皇の公務の在り方、年号の使い方、更には京都御所の復活による東西日本のバランスある発展などについて、新しい時代、グローバル化する国際関係にふさわしい簡素で分かりやすいものにすることが 望ましい。
1、皇位継承は国民レベルの日常が過度に影響されない式典で (その1で掲載)
2、西暦年号使用の一般化                  (その1で掲載)
 3、天皇の「公務」の軽減によるご負担の軽減   (その 2で掲載)


 4、歴史に基づいた京都御所の復活と江戸城の再興による東西日本のバランスある発展
  新天皇ご一家は、現在お住いの東宮御所から‘皇居’に移られることで検討が進められているが(現天皇は退位後東宮御所へ)、歴史的に見てそこは江戸城であり、また現実に江戸城の可成りの部分がそのまま残っている。
 新たな時代を迎えるに当たり、次の理由で江戸城址を中心とした江戸の回復と天皇が京都御所に戻ることにより、歴史に基づいた東西バランスの回復、発展を図ることが望ましい。
 (1)江戸城を中心とする江戸の回復は最大の観光資源
 江戸城は、欧米列強が開国を狙う中、天皇を戴いた薩長土肥の尊王攘夷派が徳川幕府を倒し、勝海舟と西郷隆盛との協議の末、戦火を交えることなく江戸城を明け渡し、江戸を戦火から守ると共に、欧州列強の介入を招くことなく、1868年に明治維新を迎えた経緯がある。
 従って江戸城は、東京の前身である江戸と共に内戦で破壊されることなく引き継がれ、城内に‘皇居’が建設され、天皇が京都御所から移り住んだ。皇居のある江戸城は、第2次世界大戦においても米国による東京への絨毯爆撃の対象から除外され、焼失した大手門を除き、幸運にもその歴史的な姿が維持された。
 江戸城を中心とする江戸の人口は、幕府が発足した17世紀初頭には15万人程度と言われているが、18世紀初頭には100万人を超えたと考えられている。
 特に、各藩の藩主を1年おきに江戸に出仕させる参勤交代が実施されるようになり、地方の大名が藩邸(各藩がそれぞれ嗜好を凝らし上屋敷、中屋敷、下屋敷で構成)を設けたのち、人口と共に江戸に地方の文化や富が持ち込まれ急速に人口が増加し、人口はロンドン(1801年約 86万人)、パリ(同約 54万人)と比較しても世界一の大都市であったと推定されている。文化的にも、地方の文化も持ち込まれ、多様性があり、また版画や日本画、歌舞伎など、欧州でも評価される高い文化が華を開いた。
その中心が江戸城であり、江戸文化は東京だけの歴史遺産ではなく、日本の、そして世界の文化遺産と言えるので、それを再評価し、可能な範囲で復元、保存して人々に開放することが望まれる。
 江戸城には、現在天守閣の他、幕府の中心となる本丸や二の丸があったが、いずれも焼失し、その代わりとして使われていた西の丸は、明治維新後宮殿として使われていたもののこれも焼失し、残っていない。
 出来れば江戸城のシンボルとなる天守閣だけでも復元したいものだ(注1)。現状でも江戸城址は、内郭(主要建物を含む内堀内)でも東西2.3km、南北1.8kmで、周囲約7.8kmに及ぶ広大なもので、主要な門や周囲の石垣や建築物は重厚で、正に日本最大の城址を思わせる。また明治維新に向けての内戦を回避し、また大手門以外は第2次世界大戦末期の爆撃からも逃れたため、城址内の植物や鳥、昆虫などは江戸時代以来の大変貴重な自然遺産だ。それを保全すると共に、江戸を象徴する江戸城址を保全し、文化遺産、自然遺産として公開することが望ましい。それは世界に誇れる貴重な観光資源ともなり、大きな経済効果も期待出来る。明治維新後、江戸城は天皇の御所として使用され、‘皇居’と呼ばれているが、それにより世界に誇れる大変貴重な歴史的な遺産が隠れてしまう結果となっている。(注2)
 江戸城については、城址だけではなく、徳川家の庭園(離宮)や増上寺、徳川家康・徳川吉宗・徳川慶喜を祀る上野東照宮など、徳川ゆかりのものや、各藩の藩邸跡や庭園など、多種多様の名所旧跡があり、これらを改めて整備し江戸城と結び付けると豊かな文化遺産として、日本人だけでなく世界に発信出来る。それは当時の地方の豊かさや文化の再発見でもある。
(2)歴史に沿って天皇は京都御所へ
 天皇は、もともと奈良や京都を中心として勢力を確立し、文化も伝統的に近畿地方にあり、関西、西日本発展の基礎となった。
 だが現在、京都には主人の居ない京都御所があり、歴史に沿わないと同時に、気の抜けた京都になっている。天皇が存在するのに何故京都御所が空なのか。
 京都御所を改修、増築し天皇にそこに入って頂いたらどうだろうか。京都、関西に命が戻り、活気が蘇ることが期待される。大きな経済効果も期待できる。
 公務等のため困難との意見もあろうが、交通や通信手段は飛躍的に向上しており、本質的な問題ではないであろう。天皇の機能や役割は憲法にきちんと位置付け、広く国民に理解されているので、京都御所に移られても何ら問題はないであろう。
 東京にお出ましにならなくてはならない時には、迎賓館赤坂離宮に必要な改修等を行い、ご使用頂けばよい。迎賓館は実際には年数回しか使われておらず、折角の施設も無駄になっている。
 明治時代は終わっており、新しい時代として、歴史に沿った対応をし、東西のバランスある発展を図るべき時であろう。

(注1) 天守閣は、1607年に建てられたが、火事で焼失し、その後2度修築されたものの1638年に再建されたものも、1657年に飛び火により焼失した。その後天守台だけは再建されたが、天守閣は再建されなかった。天守はほぼ同一規模で、5重6階(地上5階、地下1階)で高さは44.8m または 51m、天守台石垣は13.8mであり、地上58.6m以上あり、威光を放っていた。
(注2) 江戸城天守閣の復元については、千代田区やNPOグループが詳細な研究、企画を行っている。
また東京都の江戸東京博物館には、江戸城の模型や関係する貴重なものが展示されている。
(2018.8.11.)(Copy Rights Reserved.)
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皇位継承は新時代にふさわしい簡素で親しみやすく (その2)

2018-09-28 | Weblog
 シリーズー皇位継承は新時代にふさわしい簡素で親しみやすく (その2)
 8月1日、政府は2019年に予定されている現天皇の退位と新天皇の即位を円滑に進めるため内閣府に皇位継承式典事務局を開設した。また憲法上の象徴となる上で最も重要な「即位礼正殿の儀」(即位の礼、2019年10月22日)に多くの王室、元首級を含む外国賓客が訪日することが予想されるため、外務省内に「即位の礼準備事務局」を発足させた。
 天皇陛下の交代が円滑に行われることを願っているが、同時に関連式典の在り方や天皇の公務の在り方、年号の使い方、更には京都御所の復活による東西日本のバランスある発展などについて、新しい時代、グローバル化する国際関係にふさわしい簡素で分かりやすいものにすることが 望ましい。
 1、皇位継承は国民レベルの日常が過度に影響されない式典で (その1で掲載)
  2、西暦年号使用の一般化                  (その1で掲載)

 3、天皇の「公務」の軽減によるご負担の軽減 
 天皇のご公務の負担が今回の退位の大きな原因となっている。その軽減が望ましい。
憲法上は、天皇の国事行為として次の10項目を挙げている。
(1)憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
(2)国会を召集すること。
(3)衆議院を解散すること。
(4)国会議員の総選挙の施行を公示すること。
(5)国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証 すること。
(6)大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
(7)栄典を授与すること。
(8)批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
(9)外国の大使及び公使を接受すること。
(10) 儀式を行うこと。
 天皇の憲法上の「ご公務」はこの10項目に限定されるべきであろう。これだけでも大変な責任であり、激務と思われる。
 この中で具体的に内容が記されていない「儀式」を行うことについては、即位、大喪の礼などの各種儀礼を指すと考えられている。宮中で行われる各種の神道行事などの宗教性のある行事は公的な行事とはみなされないであろう。国の行事として政府が進める行事、例えば戦没者慰霊行事や国体開会式などへの参列は考えられるが、天皇が主催する「国事行為」としての公務とは言えないので、厳密にいえば「任意」の活動であり、憲法上の「ご公務」とは異なるので、この面での軽減は可能であるので、いわゆるご公務の軽減は可能のようだ。
 また外国の大使を接受することは憲法上のご公務であるが、外国の元首の訪日に際し行われる謁見、特に宮中での天皇主催の晩さん会、午餐会については、天皇は元首ではなく、あくまでも国民の統合の象徴であり、対外的に日本を代表するものではないので、憲法上の国事行為ではないと言えよう。王室等のある諸国からの国王、王女などの訪日に限定するなど、ご公務の軽減、簡略化が可能であろう。
 外国からの国・公賓の訪日は、天皇拝謁や晩さん会等との関係があるので、年4―5回程度に限られており、日本の外交の幅を制約しているとの指摘もある。多くの外国元首が訪日を希望しているが、5年から10年、又はそれ以上のウエイテイングとなっているのが現実のようだ。
               

 4、歴史に基づいた京都御所の復活と江戸城の再興による東西のバランスある発展(その3に掲載)
(2018.8.11.)
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