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皇位継承は新時代にふさわしい簡素で親しみやすく (その1)

2018-09-28 | Weblog
 シリーズー皇位継承は新時代にふさわしい簡素で親しみやすく (その1)
 8月1日、政府は2019年に予定されている現天皇の退位と新天皇の即位を円滑に進めるため内閣府に皇位継承式典事務局を開設した。また憲法上の象徴となる上で最も重要な「即位礼正殿の儀」(即位の礼、2019年10月22日)に多くの王室、元首級を含む外国賓客が訪日することが予想されるため、外務省内に「即位の礼準備事務局」を発足させた。
 天皇陛下の交代が円滑に行われることを願っているが、同時に関連式典の在り方や天皇の公務の在り方、年号の使い方、更には京都御所の復活による東西日本のバランスある発展などについて、新しい時代、グローバル化する国際関係にふさわしい簡素で分かりやすいものにすることが望ましい。
 1、皇位継承は国民レベルの日常が過度に影響されない式典で
 現行天皇の退位、新天皇の即位は多くの国民にとって関心のあることではあるが、皇位継承自体は皇室典範に基づく宮中での皇族内の行事であると共に、神器の継承等など宗教行事が関係することから、皇室会議メンバー(三権の長が含まれる)の参加の下で、簡素に行われることが望まれる。国民に対してはメデイアを通じて知らせることで十分であろう。
 「即位礼正殿の儀」(即位の礼)については、憲法上新天皇が国民の統合の象徴となることから、その趣旨に沿った身近に感じられる式典とすることが望まれる。しかし「国家元首」ではなく、また「国家」統合の象徴でもないので、在京の諸大使の参列を中心とし、海外からの賓客については基本的には皇室と関係の深い王室や希望がある場合は政府要路等で十分であり、権威的で国民から遠くなるような式典とすべきではないのではないだろうか。
 昭和天皇の崩御に際しては、崩御前年の秋ごろに容体が悪化し、それを心配して「歌舞音曲は控える」という注意が国民レベルで守られ、「時節柄」という表現が流行し、年末でありながら飲食店やカラオケ店等の娯楽施設から客が遠のき、翌年1月に崩御されると喪に服するため「歌舞音曲は控える」ことが国民レベルで徹底され、繁華街から客が遠のき、タクシーの列が短くなるなど、「時節柄」が慣例化し、バブル経済崩壊に拍車を掛けるなど、国民生活に過度な影響を
与えた事例がある。このようなことを繰り返すべきではなかろう。
 また大喪の礼では、厳寒の中各国首脳等を長時間拘束したことが疑問視された。

 2、西暦年号使用の一般化
 運転免許証の有効期限の表記を現在の元号から西暦に変更されることになるらしい。2019年春以降にも実施される見通しだ。複雑な年号と西暦との換算に悩まされている国民にとっては、制度の簡素化の上で久々の朗報だ。
 保守的と見られている警察庁が8月2日、変更方針を明らかにしたもので歓迎したい。実際は3年の有効期限とすると、2019年の皇位継承により新天皇が即位するまで元号は明らかにされるまでは、有効期限を元号では記載できない時期があるからだろう。一方国税庁は、2019年10月からの消費税再々増税に関連し、アルコールなどを除く飲食料品や新聞については軽減税率が適用されるとしてパンフレットを事業主などに送付して来ている。再々増税を当然視しており、フライイングとも思われるが、これに関連して「平成35年10月から導入される適格請求書等保存方式」なるものをこまごまと説明している。平成35年10月?? 無いでしょうそんな年。更に平成38年など無い年号を記載しており、省庁での対応の混乱を示している。
公的機関への有効期限付きの各種の申請書や提出書類の日付から個人の履歴書などなどにも同様の問題が起こる。
 そもそも多くの国民は複数の年号を経るので元号表記は煩雑で、そのために費やす手間暇は可なりのもので、超高齢化の時代では更に煩雑な作業が必要となる。時間の喪失感は無視できないほどで、社会的な損失も大きい。
 日本にはこの種の伝統や慣習が多くある上、法律、規則で公的機関への提出文書を細部まで定めていることが多い。一方日本人は良く働き、残業も多く、夏季休暇が短い上休暇も返上して働くのに、労働生産性は欧米諸国が加盟するOECD 35カ国中20位(37年連続という醜態)、先進7カ国中では40日程度は夏季休暇を取るイタリア、フランスよりも低く最下位だ。
 要するに日本人は労働時間が長いのに反して賃金、役員報酬がおしなべて低いということに尽きる。では何故そんなに労働時間が長いのか。その大きな理由の一つが、元号の換算や箸の上げ下げまで規定する規則ずくめの制度にある。米国はじめ多くの国が、日本は市場参入が難かしい、投資し難い、非関税障壁があるのではないかなど、市場の開放性に疑問に思っている。確かに日本人でありながら新規に何かをしようとすると制度や申請書類などが細かく複雑で大変だ。行政書士や代行業が流行るのもうなずける。古い慣習や制度を、新規の法律、制度の導入時や20年毎など一定期間で廃止することを義務付けるなど、簡素化して行かないと、労働生産性も上がらないし、市場参入などへの阻害要因がアルバム式に増えることになる。
 古い制度や規則を時代の変化に伴い漸次廃止していく意識と努力が必要だ。元号はその一つで、西暦年号の使用を一般化すべきだ。元号の使用(その場合必ず西暦年を併記)は、宮中行事などを中心とすることで伝統はで十分維持できる。

 3、天皇の「公務」の軽減によるご負担の軽減                (その2)

 4、歴史に基づいた京都御所の復活と江戸城の再興による東西のバランスある発展(その3)
(2018.8.11.)
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北朝鮮の非核化、ツケだけ回された日本!?

2018-09-28 | Weblog
平成の本音―北朝鮮の非核化、ツケだけ回された日本!?
6月12日、シンガポールにおいてトランプ米国大統領と金正恩北朝鮮国務委員長が歴史上初めて握手し、首脳会談の後、‘トランプ大統領が北朝鮮に安全保障を約束し、金委員長が朝鮮半島の完全な非核化への揺らぎのない決意を再確認し’、共同声明に署名した。
一部メデイアは、具体性がないなどの批判を行っているが、独裁国家である北朝鮮との関係において、最高首脳から非核化の約束を直接引き出したことは大きな成果であり、これにより北朝鮮の非核化への方針が確認されたと言っていいであろう。
しかし非核化と言っても、研究開発施設やウラン濃縮などの製造施設、そして核爆弾や関連物質の処理には莫大な費用が掛かるが、トランプ大統領は共同声明が発表された際の記者会見において、米国はその費用は出さない、韓国や日本が支援してくれるであろうと述べた。莫大な費用が日本にツケ回された形だ。
そもそも北朝鮮の核、ミサイル開発は、朝鮮戦争が1953年に停戦になったものの、終戦にはなっておらず、米・韓との敵対関係が継続されていた中で行われて来たものであるので、日本は朝鮮戦争の直接の当事者ではないし、また今回の朝鮮半島の非核化は、韓国の文大統領が南北首脳会談を主導し、朝鮮半島の非核化と恒久平和構築への取り組みが約束され、それを受けた米国が北朝鮮との首脳会談に合意し、北朝鮮の非核化への約束確認へとつながったもので、韓国、米国のイニシアテイブで進められたものである。
安倍政権は、米・朝首脳会談直前まで北への‘最大限の圧力継続’一点張りであったはずだ。何で北と敵対関係にある米・韓が主導した非核化の巨額費用を日本が払わなくてはならないのか。
 日本は、自公政権の下で北朝鮮への圧力強化の路線を取って来ており、‘最大限の圧力’ ‘最大限の圧力’と叫び続けていたが、米・朝首脳会談を前にして、トランプ大統領は‘最大限の圧力’とはもう言いたくないとして、金正恩と握手をし、非核化、和平のバスに乗り換えた。日本はそのバスにも乗れず、ツケだけを回されたようなものだ。
確かに北朝鮮の非核化は、米韓両国のみならず、中国、ロシアその他東アジア全体の安全にかかわる問題であるので、日本が北朝鮮の非核化に必要な国際機関による査察、監視などに応分の負担をすることは必要であろう。しかし膨大な非核化費用を日本が肩代わりする必要はないのではないだろうか。日本はこれから北朝鮮との和平過程において相当額の賠償を要求されることが予想されるだけに、その前に非核化で巨額の負担をする余裕もないはずだ。
トランプ大統領が、日本人の拉致問題について金正恩国務委員長に直接提起したことは大変心強く、被害者家族も何らかの進展を期待していたであろう。しかし日本の拉致問題は人権問題の中で触れられただけで、共同宣言にも載らなかった。他方米国は、拘束されていた3人の米国人の解放を首脳会談前に実現し、また共同宣言において朝鮮戦争で死亡した米兵等の遺骨の帰還を約束させるなど、きっちり結果を出している。安倍政権が北朝鮮の核、ミサイル問題で前のめりで北朝鮮を批判し、圧力強化を主張していた上、トランプ大統領に拉致問題を提起してもらったことで足元を見られたのであろうか。
しかし安倍政権は、拉致問題解決を‘最優先課題’などと言って期待を持たせながら、最大の圧力継続一辺倒で何らの結果も出していない上、今回韓国、米国に後れを取り、出遅れた結果となった。安倍政権は、言っていることは明確で耳障りは良いのだが、何らの結果を出しておらず、実態は問題の先送りをしているだけとなっている。
この政権は、首相自身はもとよりその下の政官関係者が、森友学園問題においても、加計学園問題においても国会や国民に真実を語らず、虚偽に虚偽を重ね、決済された公的文書の本質部分を削除改ざんし、また加計学園問題では、明らかに特別に優遇している一方、加計学園側が獣医学部新設場所となる愛媛県に対し、首相の名前を使ってあたかも首相と会談を持ち、支持を得ているかのような嘘をつき、詐欺まがいの工作をしたことを黙認している。これら一連の不誠実、不適切な対応は、行政の信頼を根本的に失わせており、政府の発言の信頼性と行政の倫理観、コンプライアンスにおいて戦後最悪の状態になっている。拉致問題についても、発言の信頼性に疑問が持たれる。
事実、2014年5月の日・朝ストックホルム合意において、北朝鮮が日本人拉致問題などの再調査を約束し、特別調査委員会が持たれた。しかし2017年4月17日、日本側が北朝鮮の調査委員会との会合が持たれた後、北朝鮮の宋日昊・日朝国交正常化交渉担当大使(当時)は、平壌において記者団に対し、再調査特別調査委員会について‘解体された’とし、拉致問題に‘誰も関心がない’と述べる一方、‘日本側から要望があれば、人道問題として残留日本人問題に取り組む用意がある’とし、拉致問題は終ったとの姿勢を示した。再調査特別調査委員会が‘解体’され、拉致問題の非常に重大な局面であったにも拘らず、日本側はその後も拉致被害家族の意向に沿う形で‘圧力’の維持、強化に終始し、期待を持たせながら、問題を先送りして来ただけのではないだろうか。(2018.06.18.)
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自民党総裁選、出来レースに諦めの声!!

2018-09-20 | Weblog
平成の本音―自民党総裁選、出来レースに諦めの声!!
 安倍自民党総裁の2期目の任期満了に伴い、同党総裁選が9月7日に開始し、10日の所信表明の後、9月14日に安倍総裁と対立候補となる石破元同党幹事長による討論会が開催された。
 安倍総裁(首相)は、所信表明に沿い、5年8か月の実績を強調し、一言でいうと安倍政権の政策継続を主張した。主要点は次の通り。
(1)経済政策では、マイナス金利を含む‘異次元の金融緩和’など3本の矢の政策を継続するとしつつ、‘今後3年間で金融正常化の道筋をつける’。
 地方創生も4年前から取り組んできた。
(2)社会保障政策については、今後3年間で改革を行う。
(3)民主主義の在り方、行政運営については、文書改ざん問題で不信を招いたことを謝罪しつつ、公文書管理を行う。
(4)憲法改正は戦後一度も行われておらず、進めたい。自衛隊の地位を明らかにしたいが、与党の合意を得たい。
(5)外交日程をおろそかには出来ない、など。
 これに対し石破元幹事長は、(1)地方経済、地方の所得引き上げが重要、(2)自民党のためではなく、国民全体の福祉向上が重要、(3)情報は、都合が悪いことでも国民に明らかにすべし、(4)憲法改正は国民の理解が重要で、十分な議論が必要など、国民の理解と公正、誠実な対応を強調する形となった。
 両者の主張は、それぞれ国民の一定の理解は得られようが、安倍総裁(首相)の主張は、5年8か月の実績を強調し、一定の理解を得ているものの、政策の継続であり新味はほとんどないばかりか、取り組んで来なかった問題への責任回避や問題のすり替え、また外交上の具体的な成果の欠如など、熱意と気力に欠け、サッカーに例えればひたすらロスタイムを消化するという印象が強い。
 他方石破元幹事長は、誠意をもって国民と向き合い、自民党だけと言うよりも野党とも協議し、公正な対応をするという姿勢が鮮明に出ている。特に国会運営では、予算や福祉政策、労働政策など、国民全体に関することは与党だけで通せば良いというものでもなく、与野党で協議し、検討すべきとしている。国民にとっては、政党を問わず、公正な形で予算や法案を審議し、修正するという姿勢と慣行を作って行くことが望ましい。
 安倍総裁は5年8か月の実績を強調し、首相としての実績のない石破候補を批判しているが、言葉は巧みで一定の理解を得るだろうが、下記の通り、具体的な実績は乏しく、弊害もある。
 (1)アベノミクスについては、大量の信用供給とマイナス金利による円安誘導と官製バブル化した株高により一定の効果はあったが、家計所得は実質減、個人消費は停滞しており、効果は局部的でしかない。また3本の矢については、3本目の規制の緩和、撤廃では、目玉として国家戦略特区を打ち出したが、加計学園問題の様にえこひいきを誘発し、弊害の方が多い上、経済効果はほとんどない状態だ。アベノミクスは、いわば賞味期限切れで、継続する意味は乏しい。2%のインフレターゲットにしても、5年以上実施して達成できていないので政策目標としては達成出来てないということだ。達成時期を先送りしていれば何時かは達成されるであろうが、もはや政策とは言えない。黒田日銀総裁も3年も目標を先送っているが、保身であり先送りしているだけだ。
 (2)社会保障政策については、2012年11月の国会の党首討論で当時の野田首相と‛社会保障制度の一体改革’の実行を約束して国会を解散した。しかし選挙で勝利した自・公連立政権は、5年8か月の間何も取り組まず、今更今後3年で改革すると言っても、また口先だけで説得力はない。逆に自・公連立政権がこの間実施したことは、消費税増税に加え、年金給付額の削減、支給年齢の引き上げ、介護保険料の大幅引き上げ等、国民負担の増加という真逆の政策である。それが年代を問わず将来不安を募り、消費が低迷している原因となっている。今更3年間で改革すると言われても、また口先だけと思うのであろう。
 黒田日銀総裁も、2%のインフレターゲットを3年間先延ばすとしているが、いくら通貨供給を増やしても消費は戻らないことを理解できないのであろう。
 (3)公文書管理をしっかり行うとしているが、そもそも財務省の佐川理財局長(当時)を文書改ざんにまで追い込んだのは誰のためだったかは明らかであり、それを頬かむりして、問題は行政当局、官僚の公文書管理の問題に転嫁し、問題を矮小化しているに過ぎない。真実を語らなかった当事者としての道義的、政治的責任が問われる。上が責任を取らなければ、コンプライアンスは空文となろう。
 更に問題は、厚生労働省による残業時間調査における数値の操作、偽装に加え、
身障者雇用率について、内閣府を含むほとんどすべての省庁で数値を水増しし、法定基準を上回っているように報告していたことが発覚している。いずれ調査報告が出ようが、これは明確な中央省庁による法律違反であるので、すべての関係閣僚は監督責任があり、本来であれば内閣総辞職にも値することであろう。
(4)憲法改正については、自衛隊の明記の他、何をどのように改正したいのか、明確な説明がない上、総選挙の際にも明確な提案をして来ておらず、意図が不明である。民主党政権時代に自民党が3年かけて作成したとされる憲法全面改正案は、旧帝国憲法に戻るような草案で、到底国民の支持を得られるものではなさそうだ。
(5)外交については、首相が精力的に諸外国を訪問していることは評価できるが、解決を公約している北朝鮮による日本人拉致問題や北方領土問題を含むロシアとの平和条約締結などの重要課題が5年8か月経っても解決の目途も立っていない。
 また弊害もある。基本的にキリスト教諸国との聖戦を標榜するISISにについて、安倍外交が敵対的と認識され、日本人2名が処刑された。また北朝鮮については、安倍政権が制裁強化を事ある毎に主張していたことから、日本を火の海にすると恫喝され、また文韓国大統領、トランプ大統領に出し抜かれた格好となった一方、北は日本だけは除外するとしている。また靖国参拝問題では、中国、韓国と政権発足以来5年以上ギクシャクしている。
 既定の外交日程を維持するよりも、転換を図ることも選択肢となろう。
 総裁選の投開票は9月20日に予定されている。しかし安倍総裁(首相)の所属派閥である細田派やとかくの失言が絶えない麻生派の他、二階派、岸田派、石原派など、同党所属衆参議員の7割以上が安倍総裁3選支持を表明しており、党員票を待たずして大勢は決まっており、出来レースと言ってよい。選挙、選挙と言っても投票前に支持を公表すれば選挙結果に影響し、公正な選挙とはもはや言えなさそうだ。既に総裁選挙後の新内閣での大臣ポストの割り振りなども水面下で行われているのであろう。
 同党は本年3月に総裁3選を承認しており、流れはその頃から決まっているようなものだが、加計学園問題や森友問題を起こし国民の不信を買っている上、中央省庁のほぼすべてが身障者雇用比率で明らかな法律違反をし、またコンプライアンスの面で深刻な問題を抱えている総裁(首相)を7割以上の自民党議員が支持していることは驚きだ。自民党議員の7割以上が、コンプライアンス違反への道義的、政治的責任に対しこの程度の認識しかしていないのは異常だ。またマスコミや言論界、財界などが声を上げないのはマスコミ力の低下、商業主義ということなのであろうか。それ以上に国民は、行政や政治の将来に不安を感じるのではないだろうか。(2018.9.16.)
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自民党総裁選、出来レースに諦めの声!!

2018-09-20 | Weblog
平成の本音―自民党総裁選、出来レースに諦めの声!!
 安倍自民党総裁の2期目の任期満了に伴い、同党総裁選が9月7日に開始し、10日の所信表明の後、9月14日に安倍総裁と対立候補となる石破元同党幹事長による討論会が開催された。
 安倍総裁(首相)は、所信表明に沿い、5年8か月の実績を強調し、一言でいうと安倍政権の政策継続を主張した。主要点は次の通り。
(1)経済政策では、マイナス金利を含む‘異次元の金融緩和’など3本の矢の政策を継続するとしつつ、‘今後3年間で金融正常化の道筋をつける’。
 地方創生も4年前から取り組んできた。
(2)社会保障政策については、今後3年間で改革を行う。
(3)民主主義の在り方、行政運営については、文書改ざん問題で不信を招いたことを謝罪しつつ、公文書管理を行う。
(4)憲法改正は戦後一度も行われておらず、進めたい。自衛隊の地位を明らかにしたいが、与党の合意を得たい。
(5)外交日程をおろそかには出来ない、など。
 これに対し石破元幹事長は、(1)地方経済、地方の所得引き上げが重要、(2)自民党のためではなく、国民全体の福祉向上が重要、(3)情報は、都合が悪いことでも国民に明らかにすべし、(4)憲法改正は国民の理解が重要で、十分な議論が必要など、国民の理解と公正、誠実な対応を強調する形となった。
 両者の主張は、それぞれ国民の一定の理解は得られようが、安倍総裁(首相)の主張は、5年8か月の実績を強調し、一定の理解を得ているものの、政策の継続であり新味はほとんどないばかりか、取り組んで来なかった問題への責任回避や問題のすり替え、また外交上の具体的な成果の欠如など、熱意と気力に欠け、サッカーに例えればひたすらロスタイムを消化するという印象が強い。
 他方石破元幹事長は、誠意をもって国民と向き合い、自民党だけと言うよりも野党とも協議し、公正な対応をするという姿勢が鮮明に出ている。特に国会運営では、予算や福祉政策、労働政策など、国民全体に関することは与党だけで通せば良いというものでもなく、与野党で協議し、検討すべきとしている。国民にとっては、政党を問わず、公正な形で予算や法案を審議し、修正するという姿勢と慣行を作って行くことが望ましい。
 安倍総裁は5年8か月の実績を強調し、首相としての実績のない石破候補を批判しているが、言葉は巧みで一定の理解を得るだろうが、下記の通り、具体的な実績は乏しく、弊害もある。
 (1)アベノミクスについては、大量の信用供給とマイナス金利による円安誘導と官製バブル化した株高により一定の効果はあったが、家計所得は実質減、個人消費は停滞しており、効果は局部的でしかない。また3本の矢については、3本目の規制の緩和、撤廃では、目玉として国家戦略特区を打ち出したが、加計学園問題の様にえこひいきを誘発し、弊害の方が多い上、経済効果はほとんどない状態だ。アベノミクスは、いわば賞味期限切れで、継続する意味は乏しい。2%のインフレターゲットにしても、5年以上実施して達成できていないので政策目標としては達成出来てないということだ。達成時期を先送りしていれば何時かは達成されるであろうが、もはや政策とは言えない。黒田日銀総裁も3年も目標を先送っているが、保身であり先送りしているだけだ。
 (2)社会保障政策については、2012年11月の国会の党首討論で当時の野田首相と‛社会保障制度の一体改革’の実行を約束して国会を解散した。しかし選挙で勝利した自・公連立政権は、5年8か月の間何も取り組まず、今更今後3年で改革すると言っても、また口先だけで説得力はない。逆に自・公連立政権がこの間実施したことは、消費税増税に加え、年金給付額の削減、支給年齢の引き上げ、介護保険料の大幅引き上げ等、国民負担の増加という真逆の政策である。それが年代を問わず将来不安を募り、消費が低迷している原因となっている。今更3年間で改革すると言われても、また口先だけと思うのであろう。
 黒田日銀総裁も、2%のインフレターゲットを3年間先延ばすとしているが、いくら通貨供給を増やしても消費は戻らないことを理解できないのであろう。
 (3)公文書管理をしっかり行うとしているが、そもそも財務省の佐川理財局長(当時)を文書改ざんにまで追い込んだのは誰のためだったかは明らかであり、それを頬かむりして、問題は行政当局、官僚の公文書管理の問題に転嫁し、問題を矮小化しているに過ぎない。真実を語らなかった当事者としての道義的、政治的責任が問われる。上が責任を取らなければ、コンプライアンスは空文となろう。
 更に問題は、厚生労働省による残業時間調査における数値の操作、偽装に加え、
身障者雇用率について、内閣府を含むほとんどすべての省庁で数値を水増しし、法定基準を上回っているように報告していたことが発覚している。いずれ調査報告が出ようが、これは明確な中央省庁による法律違反であるので、すべての関係閣僚は監督責任があり、本来であれば内閣総辞職にも値することであろう。
(4)憲法改正については、自衛隊の明記の他、何をどのように改正したいのか、明確な説明がない上、総選挙の際にも明確な提案をして来ておらず、意図が不明である。民主党政権時代に自民党が3年かけて作成したとされる憲法全面改正案は、旧帝国憲法に戻るような草案で、到底国民の支持を得られるものではなさそうだ。
(5)外交については、首相が精力的に諸外国を訪問していることは評価できるが、解決を公約している北朝鮮による日本人拉致問題や北方領土問題を含むロシアとの平和条約締結などの重要課題が5年8か月経っても解決の目途も立っていない。
 また弊害もある。基本的にキリスト教諸国との聖戦を標榜するISISにについて、安倍外交が敵対的と認識され、日本人2名が処刑された。また北朝鮮については、安倍政権が制裁強化を事ある毎に主張していたことから、日本を火の海にすると恫喝され、また文韓国大統領、トランプ大統領に出し抜かれた格好となった一方、北は日本だけは除外するとしている。また靖国参拝問題では、中国、韓国と政権発足以来5年以上ギクシャクしている。
 既定の外交日程を維持するよりも、転換を図ることも選択肢となろう。
 総裁選の投開票は9月20日に予定されている。しかし安倍総裁(首相)の所属派閥である細田派やとかくの失言が絶えない麻生派の他、二階派、岸田派、石原派など、同党所属衆参議員の7割以上が安倍総裁3選支持を表明しており、党員票を待たずして大勢は決まっており、出来レースと言ってよい。選挙、選挙と言っても投票前に支持を公表すれば選挙結果に影響し、公正な選挙とはもはや言えなさそうだ。既に総裁選挙後の新内閣での大臣ポストの割り振りなども水面下で行われているのであろう。
 同党は本年3月に総裁3選を承認しており、流れはその頃から決まっているようなものだが、加計学園問題や森友問題を起こし国民の不信を買っている上、中央省庁のほぼすべてが身障者雇用比率で明らかな法律違反をし、またコンプライアンスの面で深刻な問題を抱えている総裁(首相)を7割以上の自民党議員が支持していることは驚きだ。自民党議員の7割以上が、コンプライアンス違反への道義的、政治的責任に対しこの程度の認識しかしていないのは異常だ。またマスコミや言論界、財界などが声を上げないのはマスコミ力の低下、商業主義ということなのであろうか。それ以上に国民は、行政や政治の将来に不安を感じるのではないだろうか。(2018.9.16.)
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自民党総裁選、出来レースに諦めの声!!

2018-09-20 | Weblog
平成の本音―自民党総裁選、出来レースに諦めの声!!
 安倍自民党総裁の2期目の任期満了に伴い、同党総裁選が9月7日に開始し、10日の所信表明の後、9月14日に安倍総裁と対立候補となる石破元同党幹事長による討論会が開催された。
 安倍総裁(首相)は、所信表明に沿い、5年8か月の実績を強調し、一言でいうと安倍政権の政策継続を主張した。主要点は次の通り。
(1)経済政策では、マイナス金利を含む‘異次元の金融緩和’など3本の矢の政策を継続するとしつつ、‘今後3年間で金融正常化の道筋をつける’。
 地方創生も4年前から取り組んできた。
(2)社会保障政策については、今後3年間で改革を行う。
(3)民主主義の在り方、行政運営については、文書改ざん問題で不信を招いたことを謝罪しつつ、公文書管理を行う。
(4)憲法改正は戦後一度も行われておらず、進めたい。自衛隊の地位を明らかにしたいが、与党の合意を得たい。
(5)外交日程をおろそかには出来ない、など。
 これに対し石破元幹事長は、(1)地方経済、地方の所得引き上げが重要、(2)自民党のためではなく、国民全体の福祉向上が重要、(3)情報は、都合が悪いことでも国民に明らかにすべし、(4)憲法改正は国民の理解が重要で、十分な議論が必要など、国民の理解と公正、誠実な対応を強調する形となった。
 両者の主張は、それぞれ国民の一定の理解は得られようが、安倍総裁(首相)の主張は、5年8か月の実績を強調し、一定の理解を得ているものの、政策の継続であり新味はほとんどないばかりか、取り組んで来なかった問題への責任回避や問題のすり替え、また外交上の具体的な成果の欠如など、熱意と気力に欠け、サッカーに例えればひたすらロスタイムを消化するという印象が強い。
 他方石破元幹事長は、誠意をもって国民と向き合い、自民党だけと言うよりも野党とも協議し、公正な対応をするという姿勢が鮮明に出ている。特に国会運営では、予算や福祉政策、労働政策など、国民全体に関することは与党だけで通せば良いというものでもなく、与野党で協議し、検討すべきとしている。国民にとっては、政党を問わず、公正な形で予算や法案を審議し、修正するという姿勢と慣行を作って行くことが望ましい。
 安倍総裁は5年8か月の実績を強調し、首相としての実績のない石破候補を批判しているが、言葉は巧みで一定の理解を得るだろうが、下記の通り、具体的な実績は乏しく、弊害もある。
 (1)アベノミクスについては、大量の信用供給とマイナス金利による円安誘導と官製バブル化した株高により一定の効果はあったが、家計所得は実質減、個人消費は停滞しており、効果は局部的でしかない。また3本の矢については、3本目の規制の緩和、撤廃では、目玉として国家戦略特区を打ち出したが、加計学園問題の様にえこひいきを誘発し、弊害の方が多い上、経済効果はほとんどない状態だ。アベノミクスは、いわば賞味期限切れで、継続する意味は乏しい。2%のインフレターゲットにしても、5年以上実施して達成できていないので政策目標としては達成出来てないということだ。達成時期を先送りしていれば何時かは達成されるであろうが、もはや政策とは言えない。黒田日銀総裁も3年も目標を先送っているが、保身であり先送りしているだけだ。
 (2)社会保障政策については、2012年11月の国会の党首討論で当時の野田首相と‛社会保障制度の一体改革’の実行を約束して国会を解散した。しかし選挙で勝利した自・公連立政権は、5年8か月の間何も取り組まず、今更今後3年で改革すると言っても、また口先だけで説得力はない。逆に自・公連立政権がこの間実施したことは、消費税増税に加え、年金給付額の削減、支給年齢の引き上げ、介護保険料の大幅引き上げ等、国民負担の増加という真逆の政策である。それが年代を問わず将来不安を募り、消費が低迷している原因となっている。今更3年間で改革すると言われても、また口先だけと思うのであろう。
 黒田日銀総裁も、2%のインフレターゲットを3年間先延ばすとしているが、いくら通貨供給を増やしても消費は戻らないことを理解できないのであろう。
 (3)公文書管理をしっかり行うとしているが、そもそも財務省の佐川理財局長(当時)を文書改ざんにまで追い込んだのは誰のためだったかは明らかであり、それを頬かむりして、問題は行政当局、官僚の公文書管理の問題に転嫁し、問題を矮小化しているに過ぎない。真実を語らなかった当事者としての道義的、政治的責任が問われる。上が責任を取らなければ、コンプライアンスは空文となろう。
 更に問題は、厚生労働省による残業時間調査における数値の操作、偽装に加え、
身障者雇用率について、内閣府を含むほとんどすべての省庁で数値を水増しし、法定基準を上回っているように報告していたことが発覚している。いずれ調査報告が出ようが、これは明確な中央省庁による法律違反であるので、すべての関係閣僚は監督責任があり、本来であれば内閣総辞職にも値することであろう。
(4)憲法改正については、自衛隊の明記の他、何をどのように改正したいのか、明確な説明がない上、総選挙の際にも明確な提案をして来ておらず、意図が不明である。民主党政権時代に自民党が3年かけて作成したとされる憲法全面改正案は、旧帝国憲法に戻るような草案で、到底国民の支持を得られるものではなさそうだ。
(5)外交については、首相が精力的に諸外国を訪問していることは評価できるが、解決を公約している北朝鮮による日本人拉致問題や北方領土問題を含むロシアとの平和条約締結などの重要課題が5年8か月経っても解決の目途も立っていない。
 また弊害もある。基本的にキリスト教諸国との聖戦を標榜するISISにについて、安倍外交が敵対的と認識され、日本人2名が処刑された。また北朝鮮については、安倍政権が制裁強化を事ある毎に主張していたことから、日本を火の海にすると恫喝され、また文韓国大統領、トランプ大統領に出し抜かれた格好となった一方、北は日本だけは除外するとしている。また靖国参拝問題では、中国、韓国と政権発足以来5年以上ギクシャクしている。
 既定の外交日程を維持するよりも、転換を図ることも選択肢となろう。
 総裁選の投開票は9月20日に予定されている。しかし安倍総裁(首相)の所属派閥である細田派やとかくの失言が絶えない麻生派の他、二階派、岸田派、石原派など、同党所属衆参議員の7割以上が安倍総裁3選支持を表明しており、党員票を待たずして大勢は決まっており、出来レースと言ってよい。選挙、選挙と言っても投票前に支持を公表すれば選挙結果に影響し、公正な選挙とはもはや言えなさそうだ。既に総裁選挙後の新内閣での大臣ポストの割り振りなども水面下で行われているのであろう。
 同党は本年3月に総裁3選を承認しており、流れはその頃から決まっているようなものだが、加計学園問題や森友問題を起こし国民の不信を買っている上、中央省庁のほぼすべてが身障者雇用比率で明らかな法律違反をし、またコンプライアンスの面で深刻な問題を抱えている総裁(首相)を7割以上の自民党議員が支持していることは驚きだ。自民党議員の7割以上が、コンプライアンス違反への道義的、政治的責任に対しこの程度の認識しかしていないのは異常だ。またマスコミや言論界、財界などが声を上げないのはマスコミ力の低下、商業主義ということなのであろうか。それ以上に国民は、行政や政治の将来に不安を感じるのではないだろうか。(2018.9.16.)
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自民党総裁選、出来レースに諦めの声!!

2018-09-20 | Weblog
平成の本音―自民党総裁選、出来レースに諦めの声!!
 安倍自民党総裁の2期目の任期満了に伴い、同党総裁選が9月7日に開始し、10日の所信表明の後、9月14日に安倍総裁と対立候補となる石破元同党幹事長による討論会が開催された。
 安倍総裁(首相)は、所信表明に沿い、5年8か月の実績を強調し、一言でいうと安倍政権の政策継続を主張した。主要点は次の通り。
(1)経済政策では、マイナス金利を含む‘異次元の金融緩和’など3本の矢の政策を継続するとしつつ、‘今後3年間で金融正常化の道筋をつける’。
 地方創生も4年前から取り組んできた。
(2)社会保障政策については、今後3年間で改革を行う。
(3)民主主義の在り方、行政運営については、文書改ざん問題で不信を招いたことを謝罪しつつ、公文書管理を行う。
(4)憲法改正は戦後一度も行われておらず、進めたい。自衛隊の地位を明らかにしたいが、与党の合意を得たい。
(5)外交日程をおろそかには出来ない、など。
 これに対し石破元幹事長は、(1)地方経済、地方の所得引き上げが重要、(2)自民党のためではなく、国民全体の福祉向上が重要、(3)情報は、都合が悪いことでも国民に明らかにすべし、(4)憲法改正は国民の理解が重要で、十分な議論が必要など、国民の理解と公正、誠実な対応を強調する形となった。
 両者の主張は、それぞれ国民の一定の理解は得られようが、安倍総裁(首相)の主張は、5年8か月の実績を強調し、一定の理解を得ているものの、政策の継続であり新味はほとんどないばかりか、取り組んで来なかった問題への責任回避や問題のすり替え、また外交上の具体的な成果の欠如など、熱意と気力に欠け、サッカーに例えればひたすらロスタイムを消化するという印象が強い。
 他方石破元幹事長は、誠意をもって国民と向き合い、自民党だけと言うよりも野党とも協議し、公正な対応をするという姿勢が鮮明に出ている。特に国会運営では、予算や福祉政策、労働政策など、国民全体に関することは与党だけで通せば良いというものでもなく、与野党で協議し、検討すべきとしている。国民にとっては、政党を問わず、公正な形で予算や法案を審議し、修正するという姿勢と慣行を作って行くことが望ましい。
 安倍総裁は5年8か月の実績を強調し、首相としての実績のない石破候補を批判しているが、言葉は巧みで一定の理解を得るだろうが、下記の通り、具体的な実績は乏しく、弊害もある。
 (1)アベノミクスについては、大量の信用供給とマイナス金利による円安誘導と官製バブル化した株高により一定の効果はあったが、家計所得は実質減、個人消費は停滞しており、効果は局部的でしかない。また3本の矢については、3本目の規制の緩和、撤廃では、目玉として国家戦略特区を打ち出したが、加計学園問題の様にえこひいきを誘発し、弊害の方が多い上、経済効果はほとんどない状態だ。アベノミクスは、いわば賞味期限切れで、継続する意味は乏しい。2%のインフレターゲットにしても、5年以上実施して達成できていないので政策目標としては達成出来てないということだ。達成時期を先送りしていれば何時かは達成されるであろうが、もはや政策とは言えない。黒田日銀総裁も3年も目標を先送っているが、保身であり先送りしているだけだ。
 (2)社会保障政策については、2012年11月の国会の党首討論で当時の野田首相と‛社会保障制度の一体改革’の実行を約束して国会を解散した。しかし選挙で勝利した自・公連立政権は、5年8か月の間何も取り組まず、今更今後3年で改革すると言っても、また口先だけで説得力はない。逆に自・公連立政権がこの間実施したことは、消費税増税に加え、年金給付額の削減、支給年齢の引き上げ、介護保険料の大幅引き上げ等、国民負担の増加という真逆の政策である。それが年代を問わず将来不安を募り、消費が低迷している原因となっている。今更3年間で改革すると言われても、また口先だけと思うのであろう。
 黒田日銀総裁も、2%のインフレターゲットを3年間先延ばすとしているが、いくら通貨供給を増やしても消費は戻らないことを理解できないのであろう。
 (3)公文書管理をしっかり行うとしているが、そもそも財務省の佐川理財局長(当時)を文書改ざんにまで追い込んだのは誰のためだったかは明らかであり、それを頬かむりして、問題は行政当局、官僚の公文書管理の問題に転嫁し、問題を矮小化しているに過ぎない。真実を語らなかった当事者としての道義的、政治的責任が問われる。上が責任を取らなければ、コンプライアンスは空文となろう。
 更に問題は、厚生労働省による残業時間調査における数値の操作、偽装に加え、
身障者雇用率について、内閣府を含むほとんどすべての省庁で数値を水増しし、法定基準を上回っているように報告していたことが発覚している。いずれ調査報告が出ようが、これは明確な中央省庁による法律違反であるので、すべての関係閣僚は監督責任があり、本来であれば内閣総辞職にも値することであろう。
(4)憲法改正については、自衛隊の明記の他、何をどのように改正したいのか、明確な説明がない上、総選挙の際にも明確な提案をして来ておらず、意図が不明である。民主党政権時代に自民党が3年かけて作成したとされる憲法全面改正案は、旧帝国憲法に戻るような草案で、到底国民の支持を得られるものではなさそうだ。
(5)外交については、首相が精力的に諸外国を訪問していることは評価できるが、解決を公約している北朝鮮による日本人拉致問題や北方領土問題を含むロシアとの平和条約締結などの重要課題が5年8か月経っても解決の目途も立っていない。
 また弊害もある。基本的にキリスト教諸国との聖戦を標榜するISISにについて、安倍外交が敵対的と認識され、日本人2名が処刑された。また北朝鮮については、安倍政権が制裁強化を事ある毎に主張していたことから、日本を火の海にすると恫喝され、また文韓国大統領、トランプ大統領に出し抜かれた格好となった一方、北は日本だけは除外するとしている。また靖国参拝問題では、中国、韓国と政権発足以来5年以上ギクシャクしている。
 既定の外交日程を維持するよりも、転換を図ることも選択肢となろう。
 総裁選の投開票は9月20日に予定されている。しかし安倍総裁(首相)の所属派閥である細田派やとかくの失言が絶えない麻生派の他、二階派、岸田派、石原派など、同党所属衆参議員の7割以上が安倍総裁3選支持を表明しており、党員票を待たずして大勢は決まっており、出来レースと言ってよい。選挙、選挙と言っても投票前に支持を公表すれば選挙結果に影響し、公正な選挙とはもはや言えなさそうだ。既に総裁選挙後の新内閣での大臣ポストの割り振りなども水面下で行われているのであろう。
 同党は本年3月に総裁3選を承認しており、流れはその頃から決まっているようなものだが、加計学園問題や森友問題を起こし国民の不信を買っている上、中央省庁のほぼすべてが身障者雇用比率で明らかな法律違反をし、またコンプライアンスの面で深刻な問題を抱えている総裁(首相)を7割以上の自民党議員が支持していることは驚きだ。自民党議員の7割以上が、コンプライアンス違反への道義的、政治的責任に対しこの程度の認識しかしていないのは異常だ。またマスコミや言論界、財界などが声を上げないのはマスコミ力の低下、商業主義ということなのであろうか。それ以上に国民は、行政や政治の将来に不安を感じるのではないだろうか。(2018.9.16.)
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 安倍自民党総裁の2期目の任期満了に伴い、同党総裁選が9月7日に開始し、10日の所信表明の後、9月14日に安倍総裁と対立候補となる石破元同党幹事長による討論会が開催された。
 安倍総裁(首相)は、所信表明に沿い、5年8か月の実績を強調し、一言でいうと安倍政権の政策継続を主張した。主要点は次の通り。
(1)経済政策では、マイナス金利を含む‘異次元の金融緩和’など3本の矢の政策を継続するとしつつ、‘今後3年間で金融正常化の道筋をつける’。
 地方創生も4年前から取り組んできた。
(2)社会保障政策については、今後3年間で改革を行う。
(3)民主主義の在り方、行政運営については、文書改ざん問題で不信を招いたことを謝罪しつつ、公文書管理を行う。
(4)憲法改正は戦後一度も行われておらず、進めたい。自衛隊の地位を明らかにしたいが、与党の合意を得たい。
(5)外交日程をおろそかには出来ない、など。
 これに対し石破元幹事長は、(1)地方経済、地方の所得引き上げが重要、(2)自民党のためではなく、国民全体の福祉向上が重要、(3)情報は、都合が悪いことでも国民に明らかにすべし、(4)憲法改正は国民の理解が重要で、十分な議論が必要など、国民の理解と公正、誠実な対応を強調する形となった。
 両者の主張は、それぞれ国民の一定の理解は得られようが、安倍総裁(首相)の主張は、5年8か月の実績を強調し、一定の理解を得ているものの、政策の継続であり新味はほとんどないばかりか、取り組んで来なかった問題への責任回避や問題のすり替え、また外交上の具体的な成果の欠如など、熱意と気力に欠け、サッカーに例えればひたすらロスタイムを消化するという印象が強い。
 他方石破元幹事長は、誠意をもって国民と向き合い、自民党だけと言うよりも野党とも協議し、公正な対応をするという姿勢が鮮明に出ている。特に国会運営では、予算や福祉政策、労働政策など、国民全体に関することは与党だけで通せば良いというものでもなく、与野党で協議し、検討すべきとしている。国民にとっては、政党を問わず、公正な形で予算や法案を審議し、修正するという姿勢と慣行を作って行くことが望ましい。
 安倍総裁は5年8か月の実績を強調し、首相としての実績のない石破候補を批判しているが、言葉は巧みで一定の理解を得るだろうが、下記の通り、具体的な実績は乏しく、弊害もある。
 (1)アベノミクスについては、大量の信用供給とマイナス金利による円安誘導と官製バブル化した株高により一定の効果はあったが、家計所得は実質減、個人消費は停滞しており、効果は局部的でしかない。また3本の矢については、3本目の規制の緩和、撤廃では、目玉として国家戦略特区を打ち出したが、加計学園問題の様にえこひいきを誘発し、弊害の方が多い上、経済効果はほとんどない状態だ。アベノミクスは、いわば賞味期限切れで、継続する意味は乏しい。2%のインフレターゲットにしても、5年以上実施して達成できていないので政策目標としては達成出来てないということだ。達成時期を先送りしていれば何時かは達成されるであろうが、もはや政策とは言えない。黒田日銀総裁も3年も目標を先送っているが、保身であり先送りしているだけだ。
 (2)社会保障政策については、2012年11月の国会の党首討論で当時の野田首相と‛社会保障制度の一体改革’の実行を約束して国会を解散した。しかし選挙で勝利した自・公連立政権は、5年8か月の間何も取り組まず、今更今後3年で改革すると言っても、また口先だけで説得力はない。逆に自・公連立政権がこの間実施したことは、消費税増税に加え、年金給付額の削減、支給年齢の引き上げ、介護保険料の大幅引き上げ等、国民負担の増加という真逆の政策である。それが年代を問わず将来不安を募り、消費が低迷している原因となっている。今更3年間で改革すると言われても、また口先だけと思うのであろう。
 黒田日銀総裁も、2%のインフレターゲットを3年間先延ばすとしているが、いくら通貨供給を増やしても消費は戻らないことを理解できないのであろう。
 (3)公文書管理をしっかり行うとしているが、そもそも財務省の佐川理財局長(当時)を文書改ざんにまで追い込んだのは誰のためだったかは明らかであり、それを頬かむりして、問題は行政当局、官僚の公文書管理の問題に転嫁し、問題を矮小化しているに過ぎない。真実を語らなかった当事者としての道義的、政治的責任が問われる。上が責任を取らなければ、コンプライアンスは空文となろう。
 更に問題は、厚生労働省による残業時間調査における数値の操作、偽装に加え、
身障者雇用率について、内閣府を含むほとんどすべての省庁で数値を水増しし、法定基準を上回っているように報告していたことが発覚している。いずれ調査報告が出ようが、これは明確な中央省庁による法律違反であるので、すべての関係閣僚は監督責任があり、本来であれば内閣総辞職にも値することであろう。
(4)憲法改正については、自衛隊の明記の他、何をどのように改正したいのか、明確な説明がない上、総選挙の際にも明確な提案をして来ておらず、意図が不明である。民主党政権時代に自民党が3年かけて作成したとされる憲法全面改正案は、旧帝国憲法に戻るような草案で、到底国民の支持を得られるものではなさそうだ。
(5)外交については、首相が精力的に諸外国を訪問していることは評価できるが、解決を公約している北朝鮮による日本人拉致問題や北方領土問題を含むロシアとの平和条約締結などの重要課題が5年8か月経っても解決の目途も立っていない。
 また弊害もある。基本的にキリスト教諸国との聖戦を標榜するISISにについて、安倍外交が敵対的と認識され、日本人2名が処刑された。また北朝鮮については、安倍政権が制裁強化を事ある毎に主張していたことから、日本を火の海にすると恫喝され、また文韓国大統領、トランプ大統領に出し抜かれた格好となった一方、北は日本だけは除外するとしている。また靖国参拝問題では、中国、韓国と政権発足以来5年以上ギクシャクしている。
 既定の外交日程を維持するよりも、転換を図ることも選択肢となろう。
 総裁選の投開票は9月20日に予定されている。しかし安倍総裁(首相)の所属派閥である細田派やとかくの失言が絶えない麻生派の他、二階派、岸田派、石原派など、同党所属衆参議員の7割以上が安倍総裁3選支持を表明しており、党員票を待たずして大勢は決まっており、出来レースと言ってよい。選挙、選挙と言っても投票前に支持を公表すれば選挙結果に影響し、公正な選挙とはもはや言えなさそうだ。既に総裁選挙後の新内閣での大臣ポストの割り振りなども水面下で行われているのであろう。
 同党は本年3月に総裁3選を承認しており、流れはその頃から決まっているようなものだが、加計学園問題や森友問題を起こし国民の不信を買っている上、中央省庁のほぼすべてが身障者雇用比率で明らかな法律違反をし、またコンプライアンスの面で深刻な問題を抱えている総裁(首相)を7割以上の自民党議員が支持していることは驚きだ。自民党議員の7割以上が、コンプライアンス違反への道義的、政治的責任に対しこの程度の認識しかしていないのは異常だ。またマスコミや言論界、財界などが声を上げないのはマスコミ力の低下、商業主義ということなのであろうか。それ以上に国民は、行政や政治の将来に不安を感じるのではないだろうか。(2018.9.16.)
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2018-09-18 | Weblog
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 安倍自民党総裁の2期目の任期満了に伴い、同党総裁選が9月7日に開始し、10日の所信表明の後、9月14日に安倍総裁と対立候補となる石破元同党幹事長による討論会が開催された。
 安倍総裁(首相)は、所信表明に沿い、5年8か月の実績を強調し、一言でいうと安倍政権の政策継続を主張した。主要点は次の通り。
(1)経済政策では、マイナス金利を含む‘異次元の金融緩和’など3本の矢の政策を継続するとしつつ、‘今後3年間で金融正常化の道筋をつける’。
 地方創生も4年前から取り組んできた。
(2)社会保障政策については、今後3年間で改革を行う。
(3)民主主義の在り方、行政運営については、文書改ざん問題で不信を招いたことを謝罪しつつ、公文書管理を行う。
(4)憲法改正は戦後一度も行われておらず、進めたい。自衛隊の地位を明らかにしたいが、与党の合意を得たい。
(5)外交日程をおろそかには出来ない、など。
 これに対し石破元幹事長は、(1)地方経済、地方の所得引き上げが重要、(2)自民党のためではなく、国民全体の福祉向上が重要、(3)情報は、都合が悪いことでも国民に明らかにすべし、(4)憲法改正は国民の理解が重要で、十分な議論が必要など、国民の理解と公正、誠実な対応を強調する形となった。
 両者の主張は、それぞれ国民の一定の理解は得られようが、安倍総裁(首相)の主張は、5年8か月の実績を強調し、一定の理解を得ているものの、政策の継続であり新味はほとんどないばかりか、取り組んで来なかった問題への責任回避や問題のすり替え、また外交上の具体的な成果の欠如など、熱意と気力に欠け、サッカーに例えればひたすらロスタイムを消化するという印象が強い。
 他方石破元幹事長は、誠意をもって国民と向き合い、自民党だけと言うよりも野党とも協議し、公正な対応をするという姿勢が鮮明に出ている。特に国会運営では、予算や福祉政策、労働政策など、国民全体に関することは与党だけで通せば良いというものでもなく、与野党で協議し、検討すべきとしている。国民にとっては、政党を問わず、公正な形で予算や法案を審議し、修正するという姿勢と慣行を作って行くことが望ましい。
 安倍総裁は5年8か月の実績を強調し、首相としての実績のない石破候補を批判しているが、言葉は巧みで一定の理解を得るだろうが、下記の通り、具体的な実績は乏しく、弊害もある。
 (1)アベノミクスについては、大量の信用供給とマイナス金利による円安誘導と官製バブル化した株高により一定の効果はあったが、家計所得は実質減、個人消費は停滞しており、効果は局部的でしかない。また3本の矢については、3本目の規制の緩和、撤廃では、目玉として国家戦略特区を打ち出したが、加計学園問題の様にえこひいきを誘発し、弊害の方が多い上、経済効果はほとんどない状態だ。アベノミクスは、いわば賞味期限切れで、継続する意味は乏しい。2%のインフレターゲットにしても、5年以上実施して達成できていないので政策目標としては達成出来てないということだ。達成時期を先送りしていれば何時かは達成されるであろうが、もはや政策とは言えない。黒田日銀総裁も3年も目標を先送っているが、保身であり先送りしているだけだ。
 (2)社会保障政策については、2012年11月の国会の党首討論で当時の野田首相と‛社会保障制度の一体改革’の実行を約束して国会を解散した。しかし選挙で勝利した自・公連立政権は、5年8か月の間何も取り組まず、今更今後3年で改革すると言っても、また口先だけで説得力はない。逆に自・公連立政権がこの間実施したことは、消費税増税に加え、年金給付額の削減、支給年齢の引き上げ、介護保険料の大幅引き上げ等、国民負担の増加という真逆の政策である。それが年代を問わず将来不安を募り、消費が低迷している原因となっている。今更3年間で改革すると言われても、また口先だけと思うのであろう。
 黒田日銀総裁も、2%のインフレターゲットを3年間先延ばすとしているが、いくら通貨供給を増やしても消費は戻らないことを理解できないのであろう。
 (3)公文書管理をしっかり行うとしているが、そもそも財務省の佐川理財局長(当時)を文書改ざんにまで追い込んだのは誰のためだったかは明らかであり、それを頬かむりして、問題は行政当局、官僚の公文書管理の問題に転嫁し、問題を矮小化しているに過ぎない。真実を語らなかった当事者としての道義的、政治的責任が問われる。上が責任を取らなければ、コンプライアンスは空文となろう。
 更に問題は、厚生労働省による残業時間調査における数値の操作、偽装に加え、
身障者雇用率について、内閣府を含むほとんどすべての省庁で数値を水増しし、法定基準を上回っているように報告していたことが発覚している。いずれ調査報告が出ようが、これは明確な中央省庁による法律違反であるので、すべての関係閣僚は監督責任があり、本来であれば内閣総辞職にも値することであろう。
(4)憲法改正については、自衛隊の明記の他、何をどのように改正したいのか、明確な説明がない上、総選挙の際にも明確な提案をして来ておらず、意図が不明である。民主党政権時代に自民党が3年かけて作成したとされる憲法全面改正案は、旧帝国憲法に戻るような草案で、到底国民の支持を得られるものではなさそうだ。
(5)外交については、首相が精力的に諸外国を訪問していることは評価できるが、解決を公約している北朝鮮による日本人拉致問題や北方領土問題を含むロシアとの平和条約締結などの重要課題が5年8か月経っても解決の目途も立っていない。
 また弊害もある。基本的にキリスト教諸国との聖戦を標榜するISISにについて、安倍外交が敵対的と認識され、日本人2名が処刑された。また北朝鮮については、安倍政権が制裁強化を事ある毎に主張していたことから、日本を火の海にすると恫喝され、また文韓国大統領、トランプ大統領に出し抜かれた格好となった一方、北は日本だけは除外するとしている。また靖国参拝問題では、中国、韓国と政権発足以来5年以上ギクシャクしている。
 既定の外交日程を維持するよりも、転換を図ることも選択肢となろう。
 総裁選の投開票は9月20日に予定されている。しかし安倍総裁(首相)の所属派閥である細田派やとかくの失言が絶えない麻生派の他、二階派、岸田派、石原派など、同党所属衆参議員の7割以上が安倍総裁3選支持を表明しており、党員票を待たずして大勢は決まっており、出来レースと言ってよい。選挙、選挙と言っても投票前に支持を公表すれば選挙結果に影響し、公正な選挙とはもはや言えなさそうだ。既に総裁選挙後の新内閣での大臣ポストの割り振りなども水面下で行われているのであろう。
 同党は本年3月に総裁3選を承認しており、流れはその頃から決まっているようなものだが、加計学園問題や森友問題を起こし国民の不信を買っている上、中央省庁のほぼすべてが身障者雇用比率で明らかな法律違反をし、またコンプライアンスの面で深刻な問題を抱えている総裁(首相)を7割以上の自民党議員が支持していることは驚きだ。自民党議員の7割以上が、コンプライアンス違反への道義的、政治的責任に対しこの程度の認識しかしていないのは異常だ。またマスコミや言論界、財界などが声を上げないのはマスコミ力の低下、商業主義ということなのであろうか。それ以上に国民は、行政や政治の将来に不安を感じるのではないだろうか。(2018.9.16.)
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 安倍自民党総裁の2期目の任期満了に伴い、同党総裁選が9月7日に開始し、10日の所信表明の後、9月14日に安倍総裁と対立候補となる石破元同党幹事長による討論会が開催された。
 安倍総裁(首相)は、所信表明に沿い、5年8か月の実績を強調し、一言でいうと安倍政権の政策継続を主張した。主要点は次の通り。
(1)経済政策では、マイナス金利を含む‘異次元の金融緩和’など3本の矢の政策を継続するとしつつ、‘今後3年間で金融正常化の道筋をつける’。
 地方創生も4年前から取り組んできた。
(2)社会保障政策については、今後3年間で改革を行う。
(3)民主主義の在り方、行政運営については、文書改ざん問題で不信を招いたことを謝罪しつつ、公文書管理を行う。
(4)憲法改正は戦後一度も行われておらず、進めたい。自衛隊の地位を明らかにしたいが、与党の合意を得たい。
(5)外交日程をおろそかには出来ない、など。
 これに対し石破元幹事長は、(1)地方経済、地方の所得引き上げが重要、(2)自民党のためではなく、国民全体の福祉向上が重要、(3)情報は、都合が悪いことでも国民に明らかにすべし、(4)憲法改正は国民の理解が重要で、十分な議論が必要など、国民の理解と公正、誠実な対応を強調する形となった。
 両者の主張は、それぞれ国民の一定の理解は得られようが、安倍総裁(首相)の主張は、5年8か月の実績を強調し、一定の理解を得ているものの、政策の継続であり新味はほとんどないばかりか、取り組んで来なかった問題への責任回避や問題のすり替え、また外交上の具体的な成果の欠如など、熱意と気力に欠け、サッカーに例えればひたすらロスタイムを消化するという印象が強い。
 他方石破元幹事長は、誠意をもって国民と向き合い、自民党だけと言うよりも野党とも協議し、公正な対応をするという姿勢が鮮明に出ている。特に国会運営では、予算や福祉政策、労働政策など、国民全体に関することは与党だけで通せば良いというものでもなく、与野党で協議し、検討すべきとしている。国民にとっては、政党を問わず、公正な形で予算や法案を審議し、修正するという姿勢と慣行を作って行くことが望ましい。
 安倍総裁は5年8か月の実績を強調し、首相としての実績のない石破候補を批判しているが、言葉は巧みで一定の理解を得るだろうが、下記の通り、具体的な実績は乏しく、弊害もある。
 (1)アベノミクスについては、大量の信用供給とマイナス金利による円安誘導と官製バブル化した株高により一定の効果はあったが、家計所得は実質減、個人消費は停滞しており、効果は局部的でしかない。また3本の矢については、3本目の規制の緩和、撤廃では、目玉として国家戦略特区を打ち出したが、加計学園問題の様にえこひいきを誘発し、弊害の方が多い上、経済効果はほとんどない状態だ。アベノミクスは、いわば賞味期限切れで、継続する意味は乏しい。2%のインフレターゲットにしても、5年以上実施して達成できていないので政策目標としては達成出来てないということだ。達成時期を先送りしていれば何時かは達成されるであろうが、もはや政策とは言えない。黒田日銀総裁も3年も目標を先送っているが、保身であり先送りしているだけだ。
 (2)社会保障政策については、2012年11月の国会の党首討論で当時の野田首相と‛社会保障制度の一体改革’の実行を約束して国会を解散した。しかし選挙で勝利した自・公連立政権は、5年8か月の間何も取り組まず、今更今後3年で改革すると言っても、また口先だけで説得力はない。逆に自・公連立政権がこの間実施したことは、消費税増税に加え、年金給付額の削減、支給年齢の引き上げ、介護保険料の大幅引き上げ等、国民負担の増加という真逆の政策である。それが年代を問わず将来不安を募り、消費が低迷している原因となっている。今更3年間で改革すると言われても、また口先だけと思うのであろう。
 黒田日銀総裁も、2%のインフレターゲットを3年間先延ばすとしているが、いくら通貨供給を増やしても消費は戻らないことを理解できないのであろう。
 (3)公文書管理をしっかり行うとしているが、そもそも財務省の佐川理財局長(当時)を文書改ざんにまで追い込んだのは誰のためだったかは明らかであり、それを頬かむりして、問題は行政当局、官僚の公文書管理の問題に転嫁し、問題を矮小化しているに過ぎない。真実を語らなかった当事者としての道義的、政治的責任が問われる。上が責任を取らなければ、コンプライアンスは空文となろう。
 更に問題は、厚生労働省による残業時間調査における数値の操作、偽装に加え、
身障者雇用率について、内閣府を含むほとんどすべての省庁で数値を水増しし、法定基準を上回っているように報告していたことが発覚している。いずれ調査報告が出ようが、これは明確な中央省庁による法律違反であるので、すべての関係閣僚は監督責任があり、本来であれば内閣総辞職にも値することであろう。
(4)憲法改正については、自衛隊の明記の他、何をどのように改正したいのか、明確な説明がない上、総選挙の際にも明確な提案をして来ておらず、意図が不明である。民主党政権時代に自民党が3年かけて作成したとされる憲法全面改正案は、旧帝国憲法に戻るような草案で、到底国民の支持を得られるものではなさそうだ。
(5)外交については、首相が精力的に諸外国を訪問していることは評価できるが、解決を公約している北朝鮮による日本人拉致問題や北方領土問題を含むロシアとの平和条約締結などの重要課題が5年8か月経っても解決の目途も立っていない。
 また弊害もある。基本的にキリスト教諸国との聖戦を標榜するISISにについて、安倍外交が敵対的と認識され、日本人2名が処刑された。また北朝鮮については、安倍政権が制裁強化を事ある毎に主張していたことから、日本を火の海にすると恫喝され、また文韓国大統領、トランプ大統領に出し抜かれた格好となった一方、北は日本だけは除外するとしている。また靖国参拝問題では、中国、韓国と政権発足以来5年以上ギクシャクしている。
 既定の外交日程を維持するよりも、転換を図ることも選択肢となろう。
 総裁選の投開票は9月20日に予定されている。しかし安倍総裁(首相)の所属派閥である細田派やとかくの失言が絶えない麻生派の他、二階派、岸田派、石原派など、同党所属衆参議員の7割以上が安倍総裁3選支持を表明しており、党員票を待たずして大勢は決まっており、出来レースと言ってよい。選挙、選挙と言っても投票前に支持を公表すれば選挙結果に影響し、公正な選挙とはもはや言えなさそうだ。既に総裁選挙後の新内閣での大臣ポストの割り振りなども水面下で行われているのであろう。
 同党は本年3月に総裁3選を承認しており、流れはその頃から決まっているようなものだが、加計学園問題や森友問題を起こし国民の不信を買っている上、中央省庁のほぼすべてが身障者雇用比率で明らかな法律違反をし、またコンプライアンスの面で深刻な問題を抱えている総裁(首相)を7割以上の自民党議員が支持していることは驚きだ。自民党議員の7割以上が、コンプライアンス違反への道義的、政治的責任に対しこの程度の認識しかしていないのは異常だ。またマスコミや言論界、財界などが声を上げないのはマスコミ力の低下、商業主義ということなのであろうか。それ以上に国民は、行政や政治の将来に不安を感じるのではないだろうか。(2018.9.16.)
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自民党総裁選、出来レースに諦めの声!!

2018-09-18 | Weblog
平成の本音―自民党総裁選、出来レースに諦めの声!!
 安倍自民党総裁の2期目の任期満了に伴い、同党総裁選が9月7日に開始し、10日の所信表明の後、9月14日に安倍総裁と対立候補となる石破元同党幹事長による討論会が開催された。
 安倍総裁(首相)は、所信表明に沿い、5年8か月の実績を強調し、一言でいうと安倍政権の政策継続を主張した。主要点は次の通り。
(1)経済政策では、マイナス金利を含む‘異次元の金融緩和’など3本の矢の政策を継続するとしつつ、‘今後3年間で金融正常化の道筋をつける’。
 地方創生も4年前から取り組んできた。
(2)社会保障政策については、今後3年間で改革を行う。
(3)民主主義の在り方、行政運営については、文書改ざん問題で不信を招いたことを謝罪しつつ、公文書管理を行う。
(4)憲法改正は戦後一度も行われておらず、進めたい。自衛隊の地位を明らかにしたいが、与党の合意を得たい。
(5)外交日程をおろそかには出来ない、など。
 これに対し石破元幹事長は、(1)地方経済、地方の所得引き上げが重要、(2)自民党のためではなく、国民全体の福祉向上が重要、(3)情報は、都合が悪いことでも国民に明らかにすべし、(4)憲法改正は国民の理解が重要で、十分な議論が必要など、国民の理解と公正、誠実な対応を強調する形となった。
 両者の主張は、それぞれ国民の一定の理解は得られようが、安倍総裁(首相)の主張は、5年8か月の実績を強調し、一定の理解を得ているものの、政策の継続であり新味はほとんどないばかりか、取り組んで来なかった問題への責任回避や問題のすり替え、また外交上の具体的な成果の欠如など、熱意と気力に欠け、サッカーに例えればひたすらロスタイムを消化するという印象が強い。
 他方石破元幹事長は、誠意をもって国民と向き合い、自民党だけと言うよりも野党とも協議し、公正な対応をするという姿勢が鮮明に出ている。特に国会運営では、予算や福祉政策、労働政策など、国民全体に関することは与党だけで通せば良いというものでもなく、与野党で協議し、検討すべきとしている。国民にとっては、政党を問わず、公正な形で予算や法案を審議し、修正するという姿勢と慣行を作って行くことが望ましい。
 安倍総裁は5年8か月の実績を強調し、首相としての実績のない石破候補を批判しているが、言葉は巧みで一定の理解を得るだろうが、下記の通り、具体的な実績は乏しく、弊害もある。
 (1)アベノミクスについては、大量の信用供給とマイナス金利による円安誘導と官製バブル化した株高により一定の効果はあったが、家計所得は実質減、個人消費は停滞しており、効果は局部的でしかない。また3本の矢については、3本目の規制の緩和、撤廃では、目玉として国家戦略特区を打ち出したが、加計学園問題の様にえこひいきを誘発し、弊害の方が多い上、経済効果はほとんどない状態だ。アベノミクスは、いわば賞味期限切れで、継続する意味は乏しい。2%のインフレターゲットにしても、5年以上実施して達成できていないので政策目標としては達成出来てないということだ。達成時期を先送りしていれば何時かは達成されるであろうが、もはや政策とは言えない。黒田日銀総裁も3年も目標を先送っているが、保身であり先送りしているだけだ。
 (2)社会保障政策については、2012年11月の国会の党首討論で当時の野田首相と‛社会保障制度の一体改革’の実行を約束して国会を解散した。しかし選挙で勝利した自・公連立政権は、5年8か月の間何も取り組まず、今更今後3年で改革すると言っても、また口先だけで説得力はない。逆に自・公連立政権がこの間実施したことは、消費税増税に加え、年金給付額の削減、支給年齢の引き上げ、介護保険料の大幅引き上げ等、国民負担の増加という真逆の政策である。それが年代を問わず将来不安を募り、消費が低迷している原因となっている。今更3年間で改革すると言われても、また口先だけと思うのであろう。
 黒田日銀総裁も、2%のインフレターゲットを3年間先延ばすとしているが、いくら通貨供給を増やしても消費は戻らないことを理解できないのであろう。
 (3)公文書管理をしっかり行うとしているが、そもそも財務省の佐川理財局長(当時)を文書改ざんにまで追い込んだのは誰のためだったかは明らかであり、それを頬かむりして、問題は行政当局、官僚の公文書管理の問題に転嫁し、問題を矮小化しているに過ぎない。真実を語らなかった当事者としての道義的、政治的責任が問われる。上が責任を取らなければ、コンプライアンスは空文となろう。
 更に問題は、厚生労働省による残業時間調査における数値の操作、偽装に加え、
身障者雇用率について、内閣府を含むほとんどすべての省庁で数値を水増しし、法定基準を上回っているように報告していたことが発覚している。いずれ調査報告が出ようが、これは明確な中央省庁による法律違反であるので、すべての関係閣僚は監督責任があり、本来であれば内閣総辞職にも値することであろう。
(4)憲法改正については、自衛隊の明記の他、何をどのように改正したいのか、明確な説明がない上、総選挙の際にも明確な提案をして来ておらず、意図が不明である。民主党政権時代に自民党が3年かけて作成したとされる憲法全面改正案は、旧帝国憲法に戻るような草案で、到底国民の支持を得られるものではなさそうだ。
(5)外交については、首相が精力的に諸外国を訪問していることは評価できるが、解決を公約している北朝鮮による日本人拉致問題や北方領土問題を含むロシアとの平和条約締結などの重要課題が5年8か月経っても解決の目途も立っていない。
 また弊害もある。基本的にキリスト教諸国との聖戦を標榜するISISにについて、安倍外交が敵対的と認識され、日本人2名が処刑された。また北朝鮮については、安倍政権が制裁強化を事ある毎に主張していたことから、日本を火の海にすると恫喝され、また文韓国大統領、トランプ大統領に出し抜かれた格好となった一方、北は日本だけは除外するとしている。また靖国参拝問題では、中国、韓国と政権発足以来5年以上ギクシャクしている。
 既定の外交日程を維持するよりも、転換を図ることも選択肢となろう。
 総裁選の投開票は9月20日に予定されている。しかし安倍総裁(首相)の所属派閥である細田派やとかくの失言が絶えない麻生派の他、二階派、岸田派、石原派など、同党所属衆参議員の7割以上が安倍総裁3選支持を表明しており、党員票を待たずして大勢は決まっており、出来レースと言ってよい。選挙、選挙と言っても投票前に支持を公表すれば選挙結果に影響し、公正な選挙とはもはや言えなさそうだ。既に総裁選挙後の新内閣での大臣ポストの割り振りなども水面下で行われているのであろう。
 同党は本年3月に総裁3選を承認しており、流れはその頃から決まっているようなものだが、加計学園問題や森友問題を起こし国民の不信を買っている上、中央省庁のほぼすべてが身障者雇用比率で明らかな法律違反をし、またコンプライアンスの面で深刻な問題を抱えている総裁(首相)を7割以上の自民党議員が支持していることは驚きだ。自民党議員の7割以上が、コンプライアンス違反への道義的、政治的責任に対しこの程度の認識しかしていないのは異常だ。またマスコミや言論界、財界などが声を上げないのはマスコミ力の低下、商業主義ということなのであろうか。それ以上に国民は、行政や政治の将来に不安を感じるのではないだろうか。(2018.9.16.)
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