W杯開催スタジアム 大会後は受刑者を一時収容か 13/09/26 (12:33)
2014年サッカー・ワールドカップ(W杯)の開催スタジアムであるアレーナ・アマゾニア(マナウス市)では、W杯終了後に受刑者を検査する一時収容所として使用することが検討されている。24日付フォーリャ紙(ウェブ版)が報じた。
アマゾナス州裁判所は、総工費6億500万レアルで建設工事が進められている同競技場を、新たな受刑者の収容所として利用する案を州政府に送付する見通し。この「スクリーニング」と呼ばれる受刑者の検査は現在はライムンド・ビダル・ペソア刑務所で行われているが、定員超過による劣悪な環境が以前から問題となっていた。
このほか、競技場に隣接しているサンボードロモ(サンバ会場)もスクリーニングセンターとして活用することが提案されている。同法案を作成したサビノ・マルケス判事は、「他に適切な場所が無いため仕方ない。それに受刑者の収容はあくまで一時的なものだ」と説明し、州政府が新たな刑務所を建設するまでこの2施設を利用する必要性を主張した。
また国家司法審議会(CNJ)は既に1週間前からアマゾナス州の刑務所に関する調査を開始しており、収容人数300人のライムンド・ビダル・ペソア刑務所に1000人が収容されている現状などが判明している。
しかし、収容所としての利用には反対の声も上がっている。アルベルト・カブラル・ネト弁護士は「これは無謀な計画だ。どちらの施設も受刑者に対するスクリーニングを行うだけのセキュリティーシステムが整っていない」と警告している。
なお南米では、サッカーの競技場が受刑者の収容所として使用されるのは珍しいことではなく、ブラジルでも軍事政権時代に使われた過去がある。さらにチリのサンチアゴ市にある国立競技場も、アウグスト・ピノチェト軍事政権時代(1973~90年)に捕虜収容所として使用されていた。