イスラーム勉強会ブログ

主に勉強会で扱った内容をアップしています。

ムスリム男性と金曜礼拝(追記09/11/8)

2009年11月08日 | 法学(フィクフ)
(追記09/11/8:以下は、4学派の代表的な意見を載せた「イスラーム法学とその根拠」の、金曜礼拝について書かれたページの翻訳です。金曜礼拝については様々な意見とその根拠を持つ学者がいますので、以下の翻訳はそれらの一つと捉えてください。)

●金曜礼拝が義務となる人の条件を以下に述べます。

1.ムスリム
2.成人
3.理性
4.男性
5.自由(奴隷の身分でないこと)
6.金曜礼拝の地に居住

(イスラーム法学とその根拠、Dr.ワフバ アッ=ズハイリー、p1284~1290)

●金曜礼拝は集団で挙行されなければならない(法学派間で意見一致)。
 「集団」を構成する人数に意見の相違が存在する。

1.ハナフィー派:イマームを除いた3人
  根拠:「複数」の最低人数であるから。

2.マーリキー派:12人
  根拠:ジャービルが次のように伝えている。預言者(平安と祝福あれ)が金曜日に立って説教していたところに、シャームから貿易キャラバンが到着した。人々はそちらに移動し、12人だけが残った。その時に次の啓示が下った。「彼らは商売や戯れごとを目にするとそれらに向かい、立ったままのあなたを放置する。」(62/22)(アフマド、ムスリム、アッ=ティルミズィー)

3.シャーフィイー派、ハンバリー派:40人以上
  根拠:①カアブが伝えた次の内容。マディーナで行われた初めての金曜礼拝に、アスアド・イブン・ザラーラと一緒に参加した人数が40人だった。(アブー・ダーウード、イブン・マージャ)
     ②イブン・マスウードによると、預言者(平安と祝福あれ)はマディーナで40人集めた。(アル=バイハキー)
  ※預言者(平安と祝福あれ)が40人以下で礼拝したという伝承が確定していないため、40人以下では礼拝できない。

著者(Dr.ワフバ)の意見:金曜礼拝に必要な人数の条件を明確にしたテキストは存在しないが、現存するものから理解できるのは、金曜礼拝には、人々の集合が求められているということである。そのため、習慣的に「集団」と思われる人数が確認できれば、礼拝は義務になり、成立する。

(p1295~1297)

男性は頭を覆うか

2009年09月03日 | 法学(フィクフ)
男性は帽子をかぶって礼拝しないとダメ?
帽子をかぶらないイマームと礼拝して大丈夫?
帽子をかぶることはビドア?

面白い質問だ・・・

ネットで少し見てみると、
・不信仰者たちを真似るようなタイプの帽子はかぶってはいけない。不信仰者を真似る人は、その人たちの仲間である、というハディースに基づいて。ということで、不信仰者たちとまったく違ったタイプの帽子はぜんぜん問題ない。
・ターバンなどで頭を覆って礼拝しないと無効になる、ということはまったく無い。根拠が無いから。
・ターバンはスンナではなく、その時代にすでに存在していたその地域の文化。預言者(平安と祝福あれ)がされていたからという意志でターバンを巻くなら、報奨はある。
・頭を覆わないイマームと礼拝してももちろん問題ない。

衣服の一つとして考えたらいいということみたいですね。

女性が合同礼拝のためにマスジドに行くことに関する規定

2009年08月25日 | 法学(フィクフ)
自分用メモ。

・学派にとらわれないファトワー:
基本的に女性は家で礼拝するのが好ましい。次のハディースが根拠:《女性たちがマスジドに行くのをあなたがたは禁じないように。しかし彼女らが家で祈ることは彼女らのために最も良い。》(アブー・ダーウード)
これのほかに、女性が家でサラーすることが最も良いことを示すハディースがいくつかあります。
だからといって、女性がマスジドに行くことが禁じられているということでもありません。《あなたたちの女性が許可を求めたならば、マスジドに行くことを禁じないように・・・以下省略》(ムスリム)
女性がマスジドに行くには以下の条件を満たす必要があります:
1.きちんとヒジャーブをすること
2.香料をつけないこと
3.夫の許可を得ていること
以上のハディースはサラー全般についてのものなので、タラーウィーフも含むと考えると、
女性は家でする方がより良いと考えられます。

・全学派の全般的な見解:
女性がマスジドに赴くのは;高齢者であれば問題ない。誘惑の恐れがあるため若い女性には嫌悪される。年齢に関わらず女性にとって最も良いのは、自宅での礼拝である。

・ハナフィー派:
アブーハニーファと2弟子の見解:若い女性が合同礼拝に出るのは嫌悪行為である。誘惑の恐れがあるため。アブーハニーファ曰く:高齢女性であれば、ファジュル。マグリブ、イシャー時に出るのは問題ない。・・・途中省略・・・2弟子は高齢女性がどの時間帯にも出ることを合法と見るが、そこに誘惑はないからで、彼女らを(異性として)意識する人が少ないからである。

・近代ハナフィー派:
(年齢に関係なく)女性が合同礼拝(金曜、イードなど)に参加するのは嫌悪される。誘惑の危険があるためである。高齢であっても。悪が多い時代になったためと、非行人が現れるようになったため。

離婚関連

2009年08月20日 | 法学(フィクフ)
離婚に関する質問とその答えを載せます。

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・女性からの離婚を求める権利:

夫が妻に離婚を求める権利を与えること(=妻が夫からの離婚を求めること)は合法です。つまり、妻が離婚したいときに夫が応じると認めることは可能だ、ということです。ですので、あなたの場合、夫に離婚してほしいと依頼し、彼が承諾し、離婚の言葉を言ったなら、それは罪ではないし、離婚は成立し、合法です。スンナに根拠があります。預言者(平安と祝福あれ)は妻たちに彼と居続けることと彼と別れることを選択させました。部族連合章28節をご参照ください。

・別居を引き止めなかった元夫に非があるのか、自分に非があるのか:

別居することが良くないと知っていて引き止めなかったなら、元夫に非があると思います。そもそも、別居が良くないというのも?です。一定期間、離れてみて、問題が解決するかもしれないと思っての別居は問題ないのではないでしょうか。

・離婚の時にも証人を立てるのがスンナとありましたが、証人が男性でも女性でもよいのか?:

離婚の構成要素に証人は含まれませんので、夫が妻に「離婚だ」とはっきり言った瞬間に離婚が成立します。証人二人を立てるのがスンナなのは、離婚後、イッダ中に妻とよりを戻すときです。証人は基本的に、成人男性2名で、居ない場合は、男性1人、女性二人です。

・私の場合は、離婚届けを出すのに2人のムスリマに署名してもらいましたが、証人が立てれない場合はどうなのか?:

日本の離婚届とイスラームの離婚は無関係ですから、そのムスリマ二名の署名はそれで良いと思います。繰り返しますが、離婚時に証人は居なくても問題ないです。

・月経期間中の離婚宣言は禁じられているとありますが、その期間中に離婚宣言された場合は宣言じたい無効で、やり直すことになるのか?:

月経中の離婚は有効ですが、罪を伴います。そうすることで、女性が待たなくてはならないイッダ期間が延びるからです。引用されているハディースは、その罪性を強調しており、イブン・ウマルに罪を犯させたくなかった預言者(平安と祝福あれ)の配慮かと思います。

※シャーフィイー学派の法学書を参考にしました。
(どこの学派も大体同じです。)

【男性から見た、結婚できない女性】

2009年07月11日 | 法学(フィクフ)
【男性から見た、結婚できない女性】

「あなたがたの父が結婚したことのある女と、結婚してはならない。過ぎ去った昔のことは問わないが。それは、恥ずべき憎むべきこと。忌まわしい道である。あなたがたに禁じられている(結婚)は、あなたがたの母、女児、姉妹、父方のおば、母方のおば、兄弟の女児、姉妹の女児、授乳した乳母、同乳の姉妹、妻の母、あなたがたが関係している妻の生んだ養育中の養女、あなたがたがその妻と、未だ関係していないならばその連れ子を妻にしても罪はない。およびあなたがたの生んだ息子の妻、また同時に二人の姉妹を娶ること(も禁じられる)。過ぎ去った昔のことは問わないが。アッラーは寛容にして慈悲深くあられる。」女性章22~23節

1.永遠に禁じられる女性
2.一時的に禁じられる女性

まず、1.。3つの原因があります:
①近親:1.母、母の母、父の母
     2.娘、息子の娘、娘の娘
     3.姉妹(父方、母方、同じ両親を持つ場合)
     4.兄弟の娘、いわゆる姪(父方、母方、同じ両親を持つ場合)
     5.姉妹の娘、いわゆる姪(父方、母方、同じ両親を持つ場合)
     6.父方のおば(父の姉妹)、父の父方のおば、母の父方のおば
     7.母方のおば(母の姉妹)、母の母方のおば、父の母方のおば
②婚姻:1.父の妻、父の父(父方の祖父)の妻、母の父(母方の祖父)の妻
     2.息子の妻、息子の息子(孫)の妻、娘の息子(孫)の妻
     3.妻の母(姑)、妻の母の母
     ※以上の3種類は、婚姻契約後の性行為成立の有り無し関係なく禁じられる。
     4.妻の娘、いわゆる妻の連れ子。男性がある女性と婚姻契約後、性行為が成立したときから禁じられる。(ということは、男性がある女性と婚姻契約したけれども、性行為の成立無しに離婚した場合、その女性の娘と結婚することが出来るということ。娘は、母親が新しい夫と性行為を完遂させるまで、この男性に対して、ヒジャーブしなければいけない。)
③ 乳 :①と同じく、7種類の女性が禁じられる。
      1.乳母、つまり乳を与えてくれた女性。彼女の母、母方の祖母、父方の祖母も禁じられる。
      2.乳姉妹。誰かがあなたの母親から授乳されたときも同じで、乳を共有した女性は姉妹となり、禁じられる。この女性はあなたの兄弟にも禁じられる。しかし彼女の姉妹たちはあなたとあなたの兄弟に許される。彼女らは乳を共有していないからである。
        また、あなたがある女性の母親に授乳された場合、あなたは彼女と彼女の姉妹に禁じられる。しかしあなたの兄弟に彼女らは合法である。あなたの兄弟は乳を共有していないからである。
      3.乳兄弟の娘
      4.乳姉妹の娘
      5.父の乳姉妹
      6.母の乳姉妹
      7.あなたの妻が授乳した娘。つまりあなたは彼女の乳父である。
      また②と同じく、婚姻を原因とした4種類の女性が禁じられる。
      1.妻の乳母
      2.妻の乳娘
      3.乳父の妻
      4.乳息子(あなたの妻が授乳した男の子)の妻

次に、2.。ある原因のために、一時的に婚姻が禁じられる女性。原因が取り除かれれば、許される。
①姉妹を一緒に娶ること。姉妹のうち一人を娶り、死別か離婚となったら、その姉妹との婚姻は許される。
②女性とその父方のおば、母方のおば、兄弟姉妹の娘(姪)、女孫を一緒にに娶ること。
③4人以上娶ること。
④多神教徒の女性
⑤既婚女性
⑥イッダ中の女性
⑦3度の離婚を言い渡した女性(雌牛章230節)

続マハル

2008年11月16日 | 法学(フィクフ)
いただいた質問とその答えです。

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元のトピ(http://blog.goo.ne.jp/qurtaf/e/dc5d72d4de1c2ba1d785b7110b3f218f)

> 質問 ①  500ディルハム、現在の価値でどのくらいでしょう?

1ディルハム=2.975gの銀
2.975×500=1487.5gの銀
11/7の銀の価格:35.17円/g(http://gold.tanaka.co.jp/commodity/souba/index.php)
35.17×500=17585円

つまり500ディルハムは現在の価値で17585円です。

>   G マハル支払い期限を早急にするか遅らせるか:マハルを早急にすることは条件にならないどころか、すべてのマハル支払いを床入り前に求めることは有効である。また支払いのすべてを遅らせることも有効である。またマハルの幾額を床入り後に支払うことも有効である。しかし猶予期限が明瞭にされることが条件である。なぜならマハルは妻の所有物であり、彼女に好きに期限を早めたり遅めたりする権利があるからである。
>     マハル支払いを早急にすると合意があった場合、妻には夫がマハルを支払うまで自分自身を制する(夫の性的要求に応じない)権利がある。
>     マハル支払いを遅めると合意があった場合、妻はそれに満足しているため、自分自身を制する権利はない。
>
> 質問 ② このGについては、どこからの出典なのでしょうか?

私がここで参考にした本は、シャーフィイー派の法学書ですが、4学派で大体意見が一致しています。

Gについては、学派の祖のイジュティハードによる結果です。クルアーン・スンナから根拠がなくても、良識、常識などで学を極めた人が裁定を意見として表します。

しかし、「すべてのマハル支払いを床入り前に求めることは有効である。」についてのスンナからの根拠を見つけることが出来たので書いておきます:

預言者(平安と祝福がありますように)は、アリー(アッラーのご満悦がありますように)にファーティマ(アッラーのご満悦がありますように)に何かを(マハルとして)差だし出すまで性交を禁じた。アリーは:「預言者よ、私は何も持っておりません。」と言い、預言者(平安と祝福がありますように)は、「(戦争時に使用される)あなたの胸当てを彼女にあげなさい」と言った。(アブー・ダーウード、ア=ンナサーイー出典)

サジダマークに遭遇したら・・

2008年11月06日 | 法学(フィクフ)
>生理中にクラーンを聞いていて サジダマークが付いているアーヤを聞いたときはサジダするの?それとも生理が終わって、サラートできる状態になってからするの?

この手のサジダは、スジュードッティラーワといいます。スンナ・ムアッカダ(強いスンナ)なので、したほうがいいけれど、義務ではないので放棄しても問題なしです。
(アッラーの使徒(平安と祝福がありますように)ご自身もサジダしたり、しなかったこともある、との伝承があります)
このサジダはサラーの一単位ではないので、生理のときにサジダをしても差し支えありません。
http://www.al-eman.com/Feqh/viewchp.asp?BID=262&CID=50#s46 (←アラビア語ですが、一応根拠)

>あと、サジダマークのアーヤを聞いたとき、ウドゥが無い状態のときはサジダしてはいけないの?
ウドゥしてからサジダなのでしょうか?

ウドゥーをキープしていない状態でサジダしても問題ありません。
クルアーン中に出てくるサジダマークのサジダをするときにウドゥーをしていないといけない、という条件はないのです。

サダーク・マハルの定義

2008年10月19日 | 法学(フィクフ)
サダークの定義:
  サダークとは、ニカーの契約によって発生する夫が妻に支払わなければならない金品のことをいう。
  (サダークの語源 ص د ق は、誠実、信頼、友情などを意味する)
  ニカーのために金品を捻出する誠意を表すため、サダークと名づけられる。

サダークの決まり:
  A 法則:サダークの支払いは、結婚契約が発生すると同時に夫に義務になる。契約時にサダーク額が明瞭にされていてもされていなくてもである。もしサダークは不要と合意があったとしてもなくても、サダークは必須であるのでその合意は無効である。

  B 必須性の根拠:クルアーン、スンナ、ウンマの意見一致
    クルアーン:『وَآتُواْ النَّسَاء صَدُقَاتِهِنَّ نِحْلَةً فَإِن طِبْنَ لَكُمْ عَن شَيْءٍ مِّنْهُ نَفْسًا فَكُلُوهُ هَنِيئًا مَّرِيئًا(そして(結婚にさいしては)女にマハルを贈り物として与えなさい。だがかの女らが自らその一部を戻すことを願うならば、喜んでこれを納めなさい。)』女性章4-4
     『 فَمَا اسْتَمْتَعْتُم بِهِ مِنْهُنَّ فَآتُوهُنَّ أُجُورَهُنَّ فَرِيضَةً(それでかの女らと、交わった者は、定められたマハルを与えなさい。)』女性章4-24
          『لاَّ جُنَاحَ عَلَيْكُمْ إِن طَلَّقْتُمُ النِّسَاء مَا لَمْ تَمَسُّوهُنُّ أَوْ تَفْرِضُواْ لَهُنَّ فَرِيضَةً(あなたがたがかの女らに触れず、また贈与額も定めない中に、離別するのは罪ではない。だがかの女らに(マハル)の一部を与えなさい。)』雌牛章2-236

    スンナ:サハル・ブン・サアドは言った:ある女性が預言者(S)の許にやって来て、私は自分をアッラーとその使徒に捧げますと言った。預言者(S)は、「私は女性を必要としていない」と答え、ある男が「彼女と結婚させてください」と言った。預言者(S)は、「彼女に服を与えてあげなさい」と言われたが、男は「持ち合わせていません」と答えた。預言者(S)は、「鉄の指輪でもいいから彼女にあげなさい」と言われた。男にはそれも無理そうだった。預言者(S)は彼に「クルアーンの何かを覚えていないか?」男は、これこれなら、と言った。預言者(S)は、「私はあなたのもつこれこれのクルアーンをもって彼女と結婚させよう」と言われた。

    ウンマの意見一致:サダーク支払いが義務であるということですべての学者の意見は一致している。

  C サダーク施行の英知:マハル(サダークとマハルは同じ意味を持つ)は、夫の、妻と尊い関係を持ちたいという誠実な思いを表すものである。また、女性はマハルによって、衣類など結婚の準備をすることが可能となる。イスラームはマハル(支払い)を、女性を守りたいと思う夫の義務とした。

  D 契約時にサダークの額を決めること:結婚契約時にマハルの額を明瞭にすることはスンナである。預言者(S)はどの結婚契約時にもマハルの額を不透明にすることはなかったからである。そして額を明瞭にすることで、夫婦間のトラブルを避けることができる。
    預言者(S)はマハルの額を明瞭にするのは義務ではないとし、結婚契約時にマハルの額が不透明であっても問題はないと学者間でも意見が一致している。といってもそれは預言者(S)の行動に反するので、嫌悪されることである。

  E マハル保有者:マハルは妻一人の所有物である。彼女の保護者にそれを取る権利はない。彼らはマハルを受け取ることはできるが、それは計算や妻に渡すためにだけである。『فَلاَ تَأْخُذُواْ مِنْهُ شَيْئًا أَتَأْخُذُونَهُ بُهْتَاناً وَإِثْماً مُّبِيناً(仮令かの女に(如何に)巨額を与えていても、その中から何も取り戻してはならない。あなたがたは、ありもしない中傷という明白な罪を犯して、これを取り戻そうとするのか。)』女性章4-20、『فَإِن طِبْنَ لَكُمْ عَن شَيْءٍ مِّنْهُ نَفْسًا فَكُلُوهُ هَنِيئًا مَّرِيئًا(だがかの女らが自らその一部を戻すことを願うならば、喜んでこれを納めなさい。)』女性章4-4

  F マハルの限度額:上限も下限もない。金銭的価値のあるものであればすべてマハルとして有効である。例:絨毯、1000リラ、居住権、技術的学習など
   しかし、マハルは10ディルハム以下にならないことが好ましい。また、500ディルハム以上にならないことも好ましい。これは預言者(S)の娘たちや妻たちがそうだったからである。(訳者注:ここのディルハムは昔の銀貨である)以下詳細割愛

  G マハル支払い期限を早急にするか遅らせるか:マハルを早急にすることは条件にならないどころか、すべてのマハル支払いを床入り前に求めることは有効である。また支払いのすべてを遅らせることも有効である。またマハルの幾額を床入り後に支払うことも有効である。しかし猶予期限が明瞭にされることが条件である。なぜならマハルは妻の所有物であり、彼女に好きに期限を早めたり遅めたりする権利があるからである。
    マハル支払いを早急にすると合意があった場合、妻には夫がマハルを支払うまで自分自身を制する(夫の性的要求に応じない)権利がある。
    マハル支払いを遅めると合意があった場合、妻はそれに満足しているため、自分自身を制する権利はない。

  H マハルの定着
    ①マハル全額の定着:→夫と妻の性的関係が成立した場合。
              →夫婦のどちらかが他界した場合。他界前に性的関係が成立してもしていなくても。
    ②マハルの半額の定着:結婚契約後、明瞭にマハル額が決定して、夫が妻と性的関係がまだ成立せず離婚した場合。『وَإِن طَلَّقْتُمُوهُنَّ مِن قَبْلِ أَن تَمَسُّوهُنَّ وَقَدْ فَرَضْتُمْ لَهُنَّ فَرِيضَةً فَنِصْفُ مَا فَرَضْتُمْ (あなたがたがかの女らと離別する場合、まだかの女らには触れてはいないが、既にマハルを決めていた時は、約定した額の半分を与えなさい。)』雌牛章2-237
    ③マハル欠落:性的関係成立前に妻が夫と別れたい場合で、原因が妻にある場合。

ニカーの定義など

2008年10月19日 | 法学(フィクフ)
ニカー(フ)の定義:
  単語の意味:一緒になること、集まること
  法的な意味:夫婦間の楽しみを法的に許容する内容を含んだ契約
  二個人を一つにするため、また片方が相手と一緒になるためこのように呼ばれる。
  アラブはニカー(という単語)を契約や性交や楽しみという意味で使用する。
  しかし実際には契約の意味を持ち、比喩的に性交を指す。
  クルアーンに出てくるニカーは契約として登場し、性交の意味は持たない。

  『يَا أَيُّهَا الَّذِينَ آمَنُوا إِذَا نَكَحْتُمُ الْمُؤْمِنَاتِ ثُمَّ طَلَّقْتُمُوهُنَّ مِن قَبْلِ أَن تَمَسُّوهُنَّ فَمَا لَكُمْ عَلَيْهِنَّ مِنْ عِدَّةٍ تَعْتَدُّونَهَا فَمَتِّعُوهُنَّ وَسَرِّحُوهُنَّ سَرَاحًا جَمِيلًا 』(信仰する者たちよ、あなたがたは信者の婦人と結婚し、かの女に触れないうちに離婚する場合は、かの女らに就いて定めの期限を計算しなくてもよい。かの女らに贈与をなし、面目を立ててきれいに離別しなさい。)部族連合章33-49

ニカーの施行:イスラームは結婚を施行し、それに伴いはっきりとした規則が制定されているが、社会の保全、家族の幸福、高徳の拡散、マナーの保守、人類という種の存続のためである。

ニカー施行の根拠:クルアーン、スンナ、ウンマの意見一致
  クルアーン:3-3
        24-32
  スンナ:《若者たちよ、可能であるなら、結婚しなさい。それ(結婚)は視線を低くするのに役立つし、恥部を守るのによい。結婚できない者はサウム(断食)するように。それは実に自制に役立つ。》(アル・ブハーリー)

  意見一致:各時代の学者たちによる意見一致が実現している

結婚の勧め:結婚には個人や社会に返還される多くの有益なことがあるため、イスラームは結婚を勧めている。

  預言者(S)は言われた:《現世はマターウである。現世における一番よいマターウは誠実な女性である。》(ムスリム)
  マターウ:役立つこと、一瞬の喜びを伴うもの

  アッラーの使徒(S)は言われた:《この4つは使徒たちの慣習である:慎み、香料を付けること、スィワーク(歯の掃除)、結婚》(アッ・ティルミズィー)