再び、クルアーンと旧約の読み比べをしたいと思います。今回は、アーダム(アライヒッサラーム)の創造に関してです。 参考文献は前回と同じです。
旧約は、神はアーダムをご自分の姿に似せた形で創造した、と数回にわたって述べています。(創世記1章27 創世記2章7~8など)
アーダムの後にハッワー(イヴ)が配偶者として創造され、二人が楽園から追放される様子が続けて登場します。
クルアーンの中で、「アーダム」の名は25節、25回出てきます。(雌牛章30節など)
旧約の創世記とクルアーンの言及を一つずつ比較し、似ている部分がある場合は、それぞれの表現にどのような違いがあるのかを見ていきたいと思います。
①アーダム創造の理由
②アーダム創造の詳細
③アッラーが天使にアーダムにサジダするように命令、それを拒否するイブリース
④アッラーがアーダムに悪魔に従わうことと禁じられた木の実を食べることを禁止
⑤楽園とアーダムとハッワーがそこに住むことについて
⑥アーダムがアッラーの命令に背いたこと、罪の話、地上への降下、アーダムの悔悟
⑦アーダムがさまざまな名前と側面的な事項を学習することに関連する事柄
⑧アーダムはなぜ預言者なのか?なぜ彼は普通の人間でないのか?
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①アーダムを創造するというアイディア、創造の理由
旧約に、人間は天地創造が始まった6日目に創造された、とあります。アーダムは、繁栄し、増えて、大地を覆うためために創造され、動物や海洋は人間の意志に服従します。
クルアーンは、他にも創造物があることを告げています。アッラーは天使とジンをアーダムの創造の前にお創りになりました。天使は光から、ジンは火から創られ、アッラーの意思により、三つ目の創造物である人間が土から創られました。
旧約の文章を読むと、主による人間の創造は、不明瞭な意思によって完遂されたことが分かります。そこには人間創造によって得られる訓戒や目的が言及されていません。
クルアーンに登場する、アッラーと天使とイブリースのやり取りを復読してみると、アーダム創造には目的があることが分かります。「本当にわれは、地上に代理者を置くであろう。」(雌牛章30節)アッラーがお広げになった大地、人間が生きるために必要な命を与えられたすべてのものは、アッラーが人間を大地を管理する者として任せるために準備が整えられた、ということです。
ということで、旧約とクルアーン中にある、アッラーの人間創造の目的の違いははっきりしていると思います。旧約には、大地の発展と、動植物を人間の意志に従わせることが目的であるとあります。代わってクルアーンには、第一に大地の発展、第二に邪神と悪魔との戦い、そして来世への移動、つまり清算の日への準備が目的であるとあります。
それでは、悪魔は旧約のどこに登場するのでしょうか?人間が来世を迎える準備をする目的はどこに書かれてあるのでしょうか?善と悪の競り合いや試練はどこにあるのでしょうか?悪魔は蛇にたとえられたのみです。蛇は悪魔の象徴とされました。
アッラーのアーダム創造の目的が、大地を発展させることのみで、他にないとすると、試練は存在せず、審判も報酬も罰も存在しないことになります。
(②に続く)
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