吉野圭19才
個性的でもなく、押しが強くもなく、勉強ができるのが取り柄の大人しい良い子。家庭も中流以上。
弁護士を入れ債務整理、月々返済して卒業までに完済。工場でしたことのない油に塗れるバイト。返済は卒業までかかるはずだった。
30才。大企業のサラリーマンが、表の顔。裏の顔は、借金の返済に追われる多重債務者。警察が任意同行で彼の身柄を確保しにくる直前の顔。
個性的でもなく、押しが強くもなく、勉強ができるのが取り柄の大人しい良い子。家庭も中流以上。
彼の人の良い性格と苦労知らずの生育歴は、逆に彼の人生を悪い方へ導いていく。
初めて出来た彼女に手玉に取られ借金を作ってしまう。
120万。彼の親なら平気で肩代わりできる程度の額。
でも、友達の珠莉愛は圭自身が返済する解決方法に彼を導く。
弁護士を入れ債務整理、月々返済して卒業までに完済。工場でしたことのない油に塗れるバイト。返済は卒業までかかるはずだった。
しかし、彼は途中で投げ出して親に返済してもらう。借金が平気な人間になっていく。親に何度も金の無心を繰り返し、最後には勘当される。
30才。大企業のサラリーマンが、表の顔。裏の顔は、借金の返済に追われる多重債務者。警察が任意同行で彼の身柄を確保しにくる直前の顔。
珠莉愛が、彼の監視をしながら昔話をする。あの最初の借金の時、アレが分かれ目だったと。彼の知らないところで、彼のために複数の人間が彼の将来を心配し動いていたこと。
「圭、オメーの人生、仕舞いだっぺ。」と彼女は言い。こうも言う。「ここからは地獄だっぺ。オラーも昔、地獄を生き抜いた。頑張るんだ。オメーは父ちゃんだからな」
珠莉愛は茨城で生まれ育ち、感情が高まると茨城弁になります。
良い人は悪い人間に利用されて破滅まで追い込まれる。それの典型です。彼の悪いところは、弱さです。こうなるまでに縁を切る強さもありませんでした。
勉強が出来ても何も知らない。世間には、他人を食い物にして平気な人間がいる事も知らない。
全てを失った圭が、このストーリーの最後の鍵を握っています。
子供の頃から素直で良い子。勉強が出来て礼儀正しく、お金の苦労もしたことがない東大生。彼女が欲しいなという当たり前の望みが叶った時から、始まる転落の道。
人を見る目が無い。19才の時は許されても30になっても変われなかった彼は、落ちるところまで落ちて、やっと周りが見え始めます。
30才成人。