妻を元に戻す方法を考えているアオイ。
そもそも、妻は気の弱いフツメンの自分の何処に一目惚れをしたのだろうと昔のことを考えます。
そこで、かなり前に母親のエリが言った一言を思い出します。
「先に惚れたのはお前。こうして誘惑したのだ。」
その通りしてみますが、反応なし。
そこに、見つかったと知らせを受けたカケルが20年ぶりに訪ねてきます。カケルを見るなり「お兄ちゃん」と言うリン。あかりは、カケルをお兄ちゃんと呼んでいました。これで、アオイは気が付きます。
リンという女の子は本当は居ない。ここにいるのは、あかりだと。
そして、「あかり、今日は何日?」とリンに尋ねます。「夏休み」「じゃあ、明日は?」「9月1日」と言った瞬間に石鹸を手から落とします。このやり取りは、アオイとあかりには大きな意味を持っています。
魂が抜けたようになったリンにアオイはキスをします。最初は抵抗する女の子が、大人しくなるにつれ、部屋中にムスクの香りが。。。カケルは、これか。。。と唖然。
早川葵が神澤翔に「君はムスクの香りを知っている?」と言った日から約1700年後、カケルは、初めて意味が分かります。
リンと呼ばれた子供の外見が元のあかりに戻って行きます。身体が成長し、長い少し癖毛の黒髪、赤い唇。年齢は二十代半ば。
彼女は大人の長襦袢を着てベッドで横になって眠り続けています。
続きます。
「Crystal Ball」
とんでもない長編。この物語のラストは「僕はイノセントなものを探してる」
作中話「イノセント」のセリフなんですが、このセリフで締めようかなと思ってます。
人は死ぬ時、何も持っていけないのに、なぜ物や金を欲しがり、他者と比べる事でしか満足感を得られない人が多いのか。好きなことがあって、それができる幸せ。叶わぬ夢を追い求める地獄の日々でさえ、死んでも持っていける経験という宝だと私は思います。