史上最強の敵
第二次世界大戦中、ある戦艦が霧の中を航行していると、その巡航コースにスポットライトが突然、浮かび上がった。
艦長は危険を察知し、無線で緊急連絡を入れて叫んだ。
「前の船、左に進路をとりなさい!」
その直後、相手から無線で応答があった。
「何を言うか。そちらこそ右へ進路をとりなさい!」
艦長は憤慨して再度、叫んだ。
「私はこの船の艦長だ。もう一度言う。左に進路をとりなさい!」
「私はただの船員だ。とにかく、右へ進路をとりなさい!」
言うことを聞かない相手に、艦長は真っ赤になって怒鳴った。
「き、貴様、この船はただの船じゃない。戦艦だぞ!」
「その気になれば、いつでもお前を沈められるんだ!」
「貴様、砲撃されたいのか!」
頭から湯気が出ている艦長に、無線機から落ち着いた声が響いた。
「あー、そこのアホ艦長、よく聞いてくれ。」
「な、何だと!」
「あんた、灯台を砲撃するつもりかい?」