タバコと電子タバコは科学的にどちらの方が体に悪いのか?
専用の液体リキッドを加熱して発生する蒸気を吸うのが「電子タバコ」です。煙を吸うことがないため、体内に発がん性物質のタールが蓄積せず、リキッドによってはニコチンすら入っていません。そんなタバコより健康的に見える電子タバコですが、液体リキッドの中には香味料などの化学物質が含まれているため、タバコとは異なる有害性がある、と指摘されることも。そんなタバコと電子タバコでは、実際のところどちらの方が体に悪いのか?ということを科学的に検証したムービーが公開されています。
Smoking vs Vaping - YouTube
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タバコの葉を紙巻きにしたものが市販のタバコ。ライターなどで熱することで煙が発生します。
熱によって生じた煙にはニコチンが含まれており、これを吸引すると、成分が肺を通じて血液に吸収されていきます。その結果、心拍数の上昇や、血管の収縮が引き起こされるほか、脳を覚醒させる作用のあるドーパミンが放出されます。
しかし、複数回ニコチンを体内に摂取することで、ニコチンの作用により中毒が引き起こされてしまいます。
マリファナもタバコと同様に着火することで有効成分となるTHCがエアロゾル化し、吸引できるようになりますが、体内に吸収されたマリファナがどのような効果をもたらすのか、については、別のムービー「Your Brain on Marijuana」で詳しく解説されています。
かみタバコやマリファナクッキーなどと異なり、タバコの喫煙は吸引してわずか6秒で神経系に生理活性物質が到達します。
タバコの葉を燃やした煙にはタールも含まれています。タールには発がん性があるほか、歯を黒くする、味蕾の機能を低下させる、といった健康への害があるのは周知の事実。
そこで登場したのが「電子タバコ」です。もし化合物の燃焼反応を起こさずに主要成分だけを熱して、エアロゾル化させることができたなら、理論上は煙を吸引するダメージを負うことなく、素早く喫煙の効果を得ることができるのです。典型的な電子タバコの吸引器具は、ガラス製か金属製で内部に電熱発生部を持っています。電熱で加熱温度をコントロールできることにより、最小限の燃焼で有効成分を気化させることができ、煙を大量に吸う必要がなくなる、というわけです。
電子タバコが登場する以前からも、「ベポライザー」と呼ばれるマリファナユーザーにとってポピュラーな吸引器具があります。185度~210度でマリファナの葉を加熱することで、葉を燃やすことなく、有効成分のTHCだけを抽出した気体を吸引できるというものです。
電子タバコはベポライザーと違って、タバコの葉を加熱するのではなく、「Eリキッド」と呼ばれる専用の液体を加熱します。Eリキッドは水やニコチンをベースに、いくつかの香味料を含んだもので、葉を直接熱するよりはるかに低温で蒸気化します。
Eリキッドには、化粧品や食品などにも添加されるプロピレングリコールのような吸湿性の油状液体が使われています。この物質は劇場などのスモークとしても使われており、目や呼吸器に刺激を与えることで知られています。
プロピレングリコールを含むEリキッドを蒸気化して吸うと何が起きるのでしょうか?アメリカではFDAの承認が下りているEリキッドですが、多くの科学者は健康への影響をいまだ調査中であり、未知数とのこと。
また、Eリキッドはメーカーによって添加されている成分が異なります。
いくつかのEリキッドは、バターやチーズのような香りを持つジアセチルという成分を含んでいます。
バターを使う食品などに添加される化学物質ですが、ジアセチルをポップコーンに使っていたことで、ポップコーン工場の従業員が肺や気道にダメージを受け、「ポップコーン肺」になってしまったことで知られています。電子タバコとしての吸引が無害かどうかがあやふやなまま、ジアセチルがEリキッドに添加されていることは、Eリキッドの品質管理がうまくできていないことを表わす一例です。
電子タバコにおいて、現時点で明らかになっているメリットは、吸引する煙が少なくて済むことから、ニコチンなどの発がん性物質による影響を少なくとどめられる、ということ。
しかし、ブルーベリーやグレープのようなEリキッドのフレーバーには、ニコチンとは異なる有害物質を含むことが発見されています。また、電子タバコの煙(蒸気)は「超微粒子」として知られており、受動喫煙による周囲の人の肺に悪影響も考えられるとのこと。電子タバコが普通のタバコより「健康的」であることから、未成年の電子タバコ喫煙が増加していることも問題視されています。
電子タバコは登場して間もないため、断続的な研究結果しかわかっていないのが現状です。イギリスでは電子タバコはタバコよりも有害性が約95%低いことを証明する研究結果も発表されていますが、今のところ、電子タバコの長期的使用が身体にどのような影響を及ぼすのか、ということについては、新たな研究結果を待つほかないとのことです。
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