シルクハット
西洋のお話でございまして、いつものとおり旦那さんは会社へ出かけまして、ところが途中で忘れ物をした事に気が付きまして、うちへ戻ってまいりまして、勝手知ったる自分のうちですから、ガチャっと玄関を開けまして、自分の部屋の戸を開けると、なんと、自分のベットの上で、自分の女房と、見ず知らずの男が、まっ最中だったんですな、もう、旦那の方は頭に血がかーっと登ってしまいまして、西洋でございますので、壁に銃が掛けてあります、旦那はその銃を取ると、大声で。
「二人とも何をしている、さっさとベットから出ろ。」
これには、間男も驚きまして、ベットからバッと飛び出しましたけれども、ふと、自分が今、生まれたままの姿である事に気が付きまして、これはいけない、大事なところだけは隠さなくちゃ、てんで、西洋でございますので、テーブルの上にシルクハットがございました、これを取って、パッと大事なところを隠したんですが、旦那の方は頭に血が登っておりますので。
「何をしている、手をあげろ。」
てんで、これには間男も驚きまして、シルクハットからパッと手を放して、手を上げたんですけれども、なぜかそのシルクハットが下へは落ちなかったと言う事で。