お色気 古川柳
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死にたいの にの字を抜いて欲しい後家
ふるさとは みな草深きところなり
月を見る頃には ススキ土手に生え
毛を剃ると とんだ大きな口があき
女湯の湯番 ひねもす握ってる
貸家あり後ろの家の前のとこ
後ろの家は、後家さんのこと
門口に医者と親子が待っている
薬指が医者で、親指、小指を待機させて二本指が活躍中
ほれ薬 佐渡から出るが いっち効き
佐渡金山から出た小判こそ一番のほれ薬だという句です。
江戸者の 生まれそこない 金を貯め
江戸っ子が宵越の金を持たない事を粋がっている句ですね。
奥方ははめる 妾は にぎるなり
これはエッチな句みたいに聞こえますがまじめな句なんです。教養として音曲をたしなむ場合に大名の奥方は琴を演奏するので手には琴の爪をはめるわけです。お妾さんとなるとせいぜい三味線で、こうなると棹をにぎるか撥をにぎる、ですから奥方は琴を演奏し、お妾さんは三味線を演奏しますよという意味です。
ああなるほどと イザナギのみことのり
せきれいは いちど教えて あきれ果て
鶺鴒というのはぴょんぴょんお尻をはねるようなしぐさをします。イザナギの命とイザナミの命が子供を作るために合体したがその後どうしてよいか分からなかった。そうしたらそこに鶺鴒がやってきてじっとしてちゃ駄目ですよ。こうしなさいと言ってお尻をびくつかせた。そうしたらいざなぎの命がああそうかとおっしゃって、それで子供を作ることが出来たという神話に基づいた句ですね。
店中の 尻で大家は 餅をつき
長屋は共同トイレになっています。惣後架といいました。江戸の下肥はいいもの食べているので非常に効き目があり、近在の百姓間で奪い合いになった。幕府は下肥の値段を釣り上げてはいかんという通達を何回も出しているそうです。
大人の尻一人前で幾ら子供の尻一人前で幾らということで、年の暮れには前金を納めて農家が契約していったのです。その相場が大人の尻ひとつで米一斗、餅にしたら10臼分になります。大家はその肥やし代で年の暮れの餅を店子に配ったという句です。
こわいこと 美女で一箱 持参なり
縁遠い娘には持参金をつけてもというのはいつの時代にもある。しかし美人なら持参金なんてなくても引く手あまたのはずなのに持参金つきとはこれはなにか怖いことが陰にあるんではないかという意味ですね。
槍ででも 突かれるように 嫁案じ
いまするか いまするかと怖くて恥ずかしい
新婦の気持ちですね。
嫁の屁は 五臓六腑を かけめぐり
結婚式ではおならなんかするわけにいかないから、苦しんでおさえている姿です。
宵よりも 今朝かぶりたき 綿帽子
明くる朝の恥ずかしさ
門口で医者と親子が待っている
かなり露骨なので言い難いのですが、医者というのは薬指、親というのは親指、子供は小指。それらは門口で待っていて中指と人さし指が女性のいいところへ入れてもらえますという意味です。
二日の夜 夢ばかりでは ござるまい
正月二日の夜は初夢の日ですが、姫はじめの日でもあります。
曲乗りは まず遠慮する 姫はじめ
新年ですからあまり神様の罰が当たるような体位はやめておきましょうということでしょうか
宝船 皺になるほど 女房こぎ
枕の下に宝船の絵を入れて眠ると良い初夢が見られるのですが、眠る前にその枕で上では姫始めをするわけです。
陰膳を 飼い犬が喰う ふとどきさ
飼い犬と言うのは、番頭さんでしょう。
これは陰膳を食べただけでなくて奥さんも頂戴しているに違いないと言う句ですね。
名物はつけ 飯盛りは 喰い隠し
名物の安倍川餅や桑名の焼き蛤を食べた時は手帳に書いておくが、飯盛り女、宿場宿場の女郎さんをいただいたことは隠してありますということです。
君は京 嫁は大阪に 江戸は鷹
このままでは分からない句です。京都では街娼を辻君と言った。大阪では惣嫁(そうか)といいました。惣というのはみんなで共同のと言う意味です。江戸は夜鷹と言ったのです。
穴を出て 穴に入るまで 穴の世話
入るあなとは墓ですね。出たあなは生まれ出たところですね。
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