あなたにはお気に入りがひとつあるはずである
いや、ふたつかもしれない。みっつあるかもしれない。
けれどNO1は必ずあるはずだ。
それをあなたは言いふらすだろうか。
それを口にするのはかなり気分よく酔っ払った時か、
好きな人の前ではこっそりと打ち明けるかもしれない。
でも、普段のあなたはそんなことはあまり口にしない。
それはどうして?
そんな事は決まっている。大切だからだ。特別だからだ。
そして、あなたは思う。何故こんなに『特別』なのかな?と・・・
久しぶりに谷川さんの詩でも。。。
LOVE IN THE AFTERNOON
谷川 俊太郎
あなたは黙って生き残る人だった
そして生き残ることの厳しさに
じっと耐えてゆく人だった
あなたは不器用に突っ立っている人だった
そしてその大きな背で
青空のありかを教えてくれる人だった
あなたはうつむいて口ごもる人だった
そしてそのあなたの沈黙から
私たちは信ずることの強さを学んだ
あなたははにかんで笑う人だった
そしてあなたは笑うと
大きな子供のように無邪気だった
あなたはとぼけてウインクする人だった
そしてそういう自分に
ひどくびっくりしたりした
あなたは拳の中に苦しみを握りしめた
そしてその孤独によって
男の美しさを示す人だった
あなたは大きなカウボーイだった
あなたはこの世からちょっぴりはみ出し
そういう自分をもてあましていた
あなたはやさしい人だった
だがそのやさしさを
決してあらわに見せない人だった