現実の暴力に女神は舞い降りない。
ドラクロワ『民衆を導く自由の女神』。1830年の7月革命を描いた傑作。
ラディカルとリベラルの対話シリーズ第8弾、今度は私から森川文人弁護士への反論。
今回は、これまで少し言いにくかったことを書きます。
森川弁護士は前回、こう主張しました。
「確かに、「権力は絶対に腐敗する」のかもしれません。だとしたら?そうだとしたらどうしましょう?私たちは、常に権力の外から批判を続けていればいいのでしょうか?私たち国民(あえて主権者の国民として書きますが)の存在は「万年野党」のような存在でしかないのでしょうか。
私たちが今の政権の責任を徹底的に追及し、ゆえに打倒した暁に、新たな「別の安倍政権」(自民でも民主でも共産でもいいですが)を招き、ただ、それを批判するだけに留まる、のであれば、それは主権者とはいえないのではないでしょうか。」
「権力として腐敗したか否かともかく、社会党が政権を担っても、もちろん、民主党が担ってもたいして変わらなかった、それが歴史的現実です。」
「そういう工夫をしながらでも、私たちが、私たちの、どういう世界を作るか、私たちがどうするか、が問われていると思います。「安全な傍観者」ではないのは当然、そして、さらに「評論家・批判者」としてではなく。
責任ある主権者として。それは、覚悟が必要であると同時に、わくわくするやりがいのある事業だと思います。
それとも・・・・キミは、ずっと野党で、安全な場所からの批判者でいたいのかい?」
主人公として踊りだそう! 「主体」が問われる時。 ラディカルとリベラルの対話7
民主主義って本当に最良のルールなのか、世界をまわって考えた | |
朝日新聞「カオスの深淵」取材班 (著) | |
東洋経済新報社 |
なぜ「私たちの声」は政治に反映されないのか?民主主義でグローバル経済と闘えるのか? 民主主義に私たちの将来を託せるかを問い直す。朝日新聞で話題となった連載シリーズ「カオスの深淵」を待望の書籍化。
私たちの社会が築き上げてきた問題解決の仕組みが、次々と力をなくしていく事態をどう考えればいいのか。それが、私たち「カオスの深淵」取材班のテーマだった。
確かに、ラディカルは「安全な場所」にはいません。また、傍観者でもないのでしょう。
しかし、現実にはただの評論家、批判者のようになってしまっているのは事実です。
つまり、ラディカルは社会を動かす主たる勢力にはなり得ていません。傍流ではなく主流になる、その展望も見えません。
それは、今の日本国憲法を「ブルジョア憲法」だと軽視し、議会制民主主義を半ば否定しているからだと思います。
今の日本では、「99%」の民衆は議会制民主主義を支持しています。たとえ、一票の格差があっても、小選挙区制で死票があっても、強行採決があっても、それらは世論を高め、議会で法律を改正して改善していくべきもの。
この国で政権を取りたいなら、議会で多数を占めないといけないのです。
ラディカルはそのための努力を真摯にしていますか?それとも、直接民主主義とか、暴力革命で政権を取るの?
日本人は民主主義を捨てたがっているのか? (岩波ブックレット) | |
想田和弘 著 | |
岩波書店 |
橋下現象とは何だったのか。安倍政権の狙う改憲の本質とは。市民が政治の当事者となり、権力の暴走を抑えるはずの民主主義のシステムが形骸化しようとしている。いま必要なことは、当たり前に享受してきた「自由」や「権利」の意味を私たちが自ら問い直すことではないか。気鋭の映画作家が、日本社会の直面する危機を鋭く描出する。
森川君は、
『自民でも民主でも共産でも「別の安倍政権」』
だとか
『社会党が政権を担っても、もちろん、民主党が担ってもたいして変わらなかった、それが歴史的現実です。』
などというのですが、確かに頼りない政権ではありましたが、自社さ政権とか、民主党政権の方が、今の安倍政権よりは100万倍マシですよ。
戦争法案まで出してくる安倍政権に比べたら、あれらに戻したいわ。
世の中は徐々にしかよく出来ないんです。また、3歩進んで2歩下がるのが社会の変革です。ちょっとでもマシな政府を作るのが主権を行使するってことなのでは?
「革命」みたいな激しいことをしたら、市民の犠牲が大きいんです。
我々99%は、そんなことは望んでいませんよ。だから、ラディカルは大衆から支持されていないのです。
殺すな、殺されないために!: 6月21日、戦争立法に反対する学生デモ(京都市)スピーチ集 | |
SEALDs KANSAI(シールズ関西) 著 | |
金曜日 |
SEALDs KANSAI(シールズ関西)が 6月21日に京都市内で行なった 「戦争立法」に反対するデモのスピーチ集。
心のこもった切実で熱い訴えに 耳を傾けてほしい。
森川君は、ラディカルが支持されないのは、権力が一番邪魔なラディカルを一番激しく攻撃するからだとか、リベラルがラディカルを排除するからだというかも知れません。
確かにそういう面もあるかもしれないけれど、ぜひ、ラディカルには、今の結果を生み出したのは自分に原因があるかもしれないという観点から捉えなおしてほしいです。
「他人のせい」にしている間は、絶対に状況を変えられません。
権力が独占している暴力を取り返すのだというけれども、その暴力を新左翼同士や、組織内部で行使してきた歴史と向き合って反省して克服しない限り、ラディカルはいつまでたっても批判者のままです。
主体者たりえないのです。
多数決を疑う――社会的選択理論とは何か (岩波新書) | |
坂井豊貴 著 | |
岩波書店 |
選挙の正統性が保たれないとき、統治の根幹が揺らぎはじめる。選挙制度の欠陥と綻びが露呈する現在の日本。多数決は本当に国民の意思を適切に反映しているのか? 本書では社会的選択理論の視点から、人びとの意思をよりよく集約できる選び方について考える。多数決に代わるルールは、果たしてあるのだろうか。
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女神、市民の死体、踏んでるし。
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この内容はすんなりと理解できますね。
お二人の対話を読ませていただきましたが、対話の内容は管理人さんの言われる通りだと思います。
関係にヒビが入りはしないかと、私のような通俗的に現実志向の人間にとってはチト心配になります。
今のような大事な時期が過ぎてからゆっくりと議論はすれば良いのにと思うのも私に真摯さが欠けているからかも知れません。
内容について言えば、革命幻想のようなものにこだわっている一部の左翼にいつも感じていたことを言ってくれたという感がします。
革命というのは人為的に起こそうとして起こせるものではなくて、いろんな小さな変化の積み重ねの結果として後になって「ああ、あの時に革命が進行していたのだ」と振り返えられるものかも知れません。
ということで議会制民主主義に則って地道に改良を積み重ねるのが王道ということになりそうです。
でも、怒ってないです。
2人の関係は大丈夫!
>2人の関係は大丈夫!
それ、何かのセリフでしたかね(笑)。
でも、安心しました。
先生は本当に優しいんだなぁ。
正統に……思考回路が優しいとおもいます。
(教科書的に言えば、暴力を辞さない邪な独裁政権を打倒して権力を奪い取るには政府以上に”暴力”を行使することになるでしょう。反革命、反動、路線対立を乗り切るために、新政権は権力奪取時のように力に訴えてしまうでしょう。すると、新しい独裁政権が出来上がってしまいます)
しかし、彼が2011年に見た「エジプト革命」は様相が違いました。人々はムバラク政権の退陣を求めましたが、政権を取ろうとはしませんでした。それは、”政権は誰が担おうと腐敗せざるえない。防ぐには監視、批判、そしてお前じゃダメだ!とデモを打って”交代させることが必要なんだ”という考えだということを知ります。エジプト人はムバラクを退陣させたあと、次の同胞団政権に対してもデモを打ち軍を動かしてこれも退陣させてしまいました。
主権者たる市民の側は必ずしも対案がある必要はなく、ダメだったら「チェンジ!!」と叫べば良いというわかりやすい話です。
もうひとつ、”革命”側に起きたことがあって”運動を始める前は世の中に対して何の手がかりもなく無力な存在であり、腐って諦めて卑屈に生きてきた。しかし、弾圧の恐怖を乗り越えて集まりデモを始めてみると、自分にも力があるということがわかった。行動面でも倫理面でも自分は変わった.”ということです。田原さんは、権力を奪ったわけではないけれど、エジプト人は「革命」を通じて尊厳を回復し、政府よりも先に一時的にせよ、「革命後の世界」を生きていたと書いていました。これは、タハリールでもズコッティでも、もしかしたら高円寺でも?起きていたことです。
森川さんにも宮武さんにも読んで欲しいです。
政党選択(間接民主主義)と言ったって、どこにも入れるところなんて無いじゃないですか。
また、次のウンコ政権が誕生するだけです。
それだったら、政策選択(直接民主主義)のほうが100万倍マシだと思います。