【2022年9月16日(金)2面】

より深く、確かな絆をつむぐ

米「ハイマース」が初展開、島嶼作戦の連携強化など

 陸上自衛隊と米陸軍による共同訓練「オリエント・シールド22」が8月14日から9月9日まで(実動訓練は8月28日~9月3日)、健軍、奄美駐や霧島演習場などで実施された。米陸軍高機動ロケット砲システム(ハイマース)が初めて奄美に展開し、陸自との対艦戦闘を実施したほか、日米の電子戦部隊も初参加するなど、島嶼(とうしょ)作戦の連帯強化を図った。8月27日の共同訓練開始式以降、訓練の様子や訓練後の日米の交流などを写真とともに寄せてくれた西部方面隊の報告を中心に、その一部を紹介します。

オリエント・シールド22

 ■令和4年度国内における米陸軍との実動訓練(オリエント・シールド22)】 陸幕の7月21日の発表によると、訓練は陸自、米陸軍の部隊がそれぞれの指揮系統に従い、共同して作戦を実施する場合における相互連携要領を実行動により演練し、共同対処能力の向上を図るのが目的。健軍、奄美、福岡、えびの各駐、高遊原、瀬戸内両分屯地、霧島、大矢野原両演習場などで実施された。

 陸自の担任官は西部方面総監の竹本陸将。実施部隊は、西方総監部、4師団、西方特科隊、2高射特科団、西方システム通信群など。

 また、米陸軍の担任官は在日米陸軍司令官のジョエル B.ヴァウル少将で、実施部隊は在日米陸軍司令部、第1マルチ・ドメイン・タスクフォース、第1-24歩兵大隊、第17砲兵旅団、第38防空砲兵旅団など。

 訓練では、島嶼(とうしょ)作戦における陸自CDOと米陸軍MDOを踏まえた日米の連携を向上するため、奄美大島で陸自12SSM、米陸軍HIMARS、日米電子戦部隊による初の共同対艦戦闘訓練に係る実動訓練を実施。また、米陸軍の対戦車ミサイル「ジャベリン」と陸自の対戦車ミサイル「01式軽対戦車誘導弾」による初の実弾射撃訓練を実施した。

開始

国内における実動訓練共同訓練開始式を行った=8月27日、健軍駐

画像: 開始

射撃

 共同戦闘訓練として、陸自の対戦車ミサイル「01式軽対戦車誘導弾」と米陸軍の対戦車ミサイル「ジャベリン」による国内初の実弾射撃訓練を実施した=8月28日、大矢野原演習場

画像: 射撃

演練

 共同歩兵戦闘訓練における日米のヘリボン攻撃に引き続く接敵機動からの攻撃などについて一連の行動を演練し、共同対処能力を向上した=霧島演習場

画像1: 演練
画像2: 演練
画像3: 演練

調整

 陸自の領域横断作戦と米陸軍のマルチドメインオペレーション連携の実効性向上のため、日米の各幕僚が綿密に調整を実施した(西部方面隊ツイッターから)

画像: 調整

視察

 吉田陸幕長が訓練視察。陸幕長は、状況報告のほか、市街地訓練における日米の連携要領などについて確認した=9月1日、霧島演習場、健軍駐

画像: 視察

終了

 オリエント・シールド訓練終了式を実施。訓練では、「陸自CDOと米陸軍MDOとの連携について、実動により実効性を向上させ、相互理解による強固な日米同盟の強化を図ることができた」としている=9月3日

画像: 終了

信頼

 西部方面隊は、9月3、4の両日、各所で訓練終了後の優秀隊員表彰式と文化交流を行った。餅つき、太鼓、書道などの体験を通じ、日米隊員相互間の信頼関係を向上した

画像1: 信頼
画像2: 信頼
 

 

 

 

[ワシントン 2日 ロイター] - 米国務省は、台湾に対する11億ドルを超える武器売却を承認した。国防総省が2日に発表した。中国は反発し対抗措置を取る構えを示している。

先月のペロシ下院議長の訪台を受け、中国は台湾周辺で大規模な軍事演習を行っている。

国防総省の国防安全保障協力局によると、対艦ミサイル「ハープーン」60基や空対空ミサイル「サイドワインダー」100基のほか、監視レーダー計画へのロジスティック支援などが含まれる。

在ワシントン中国大使館の報道官は声明を発表し、米国による武器売却の可能性は「中米関係と台湾海峡の平和と安定を著しく危うくする」と指摘。「中国は事態の進展に鑑み、合法的かつ必要な対抗措置を断固として講じる」と述べた。

バイデン政権は、この武器売却計画は以前から検討されてきたもので、台湾と米国の議員の協議によって策定されたとしている。

ホワイトハウスの中国・台湾担当高官、ローラ・ローゼンバーガー氏は「中国が台湾周辺での軍事的プレゼンス拡大などを通じて、台湾への圧力を強め続け、台湾海峡の現状を変えようとしているため、われわれは台湾が自衛能力を維持するために必要なものを提供している」と声明で述べた。

国防総省は、今回発表した装備と支援が地域の基本的な軍事バランスを変えることはないとの認識を示した。米政府高官らは、台湾に対する米国の政策転換を反映するものではないとしている。

国務省の報道官は、匿名を条件に「これらの売却案は、台湾の軍近代化と信頼性のある防衛力維持に向けた継続的な取り組みを支援するための定期的な事例だ」と語った。

台湾国防部(国防省)は声明で感謝の意を表し、このところの中国による「挑発的」行為は深刻な脅威をもたらしており、武器売却は中国の軍事的圧力に立ち向かうのに役立つと指摘。

また「同時に台湾の総合的な防衛力を強化し、台湾海峡とインド太平洋地域の安全と平和を共に維持するのに寄与することも示している」と述べた。

武器売却は議会の承認が必要になるが、民主、共和両党の議会関係者によると、反対は見込まれていない。