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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

【報道特集】感染者激減の主な理由の一つはやはり人流減少だった。ワクチン2回接種完了が82%のシンガポールも感染再爆発で再び人流抑制へ。人流無視派の麻生副総理や橋下徹氏・三浦瑠璃氏らは腹を切れ。

2021年09月29日 | 自公政権の拙劣なコロナ対策

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 菅総理は自分の政権が新型コロナを抑え込んだという「実績」を見せつけるため、明日2021年9月30日をもって全国19都道府県に出していた緊急事態宣言とまん延防止措置を一斉解除します。

 コロナ第5波の20分の1に一日の感染増が急減したのですから、私も今しか解除できるときはないと思うので、解除自体には賛成です。

 しかし、菅総理や河野太郎ワクチン担当大臣がワクチン接種率の急増を手柄のように誇っているのと裏腹に、日本のワクチン接種は2回が終了した人がまだ60%にも満たず、G8で7番目。

 反ワクチン陰謀論が渦巻くアメリカを抜いただけの状況です。

 実際には、菅総理も河野大臣も無能で、欧米諸国より4カ月もワクチン配給が遅れたので、不要な感染者と死者と後遺症を産んでしまったというのが事実なのです。

 

 さて、イスラエルやイギリスなど2回のワクチン接種が8割を超えている国々でもデルタ株による感染再爆発が続いています。

 シンガポールも2回接種率が82%で日本より20%以上も高い国なのですが、人流抑制を緩和したところ感染爆発。

 570万人しか人口がいないのに、9月26日には1939人の感染者が発見されました。これは日本の人口で言うと4万人の感染者が出たことになりますから、日本の第5波もはるかに超える大流行です。

 そこで、シンガポールは9月27日から、飲食店での食事は1組当たり5人までにしていたのを2人までに制限したほか、企業は原則在宅勤務とするなど再び規制を強化しました。

 シンガポールは日本より三カ月も早く、台湾と同じく2020年1月から入国制限措置を取り、徹底した追跡、監視システム、ロックダウンまでやって早期抑え込みに成功した国です。

 しかし、そんな日本政府よりはるかに機敏で賢い国でも、コロナの抑え込みには苦労しており、そして対策はワクチンだけでは足らず、人流の抑制が必要なことを教えてくれています。

シンガポールでは新型コロナの死者数がわずか27人で人口比で世界最小。日本の3分の1で済んでいる成功の秘訣はやはり早期の徹底した検査。人口比で日本の8・5倍検査していた!

 

 

 日本の感染者がこんなにも急減したのは、ワクチン接種率が上がったことだけではなく、人流が抑制されたことも主な原因の一つでした。

 東京感染症対策センター(東京iCDC)専門家ボードの賀来満夫座長は、感染者が減った二番目の要因として

「2点目はやはり人流です。

 いわゆる人の流れが減少している状態が比較的長く続いているということです。

 お盆明けからですね、2週間で若干、人流は増加したんですけれども、その後また下がってきています。

 いわゆる6月末からお盆あたりの7週間、またその後、2週間少しは増加しましたけど、その後も減少してきている。

 このようにですね、人流、人の流れが長期間にわたって抑制されてきているということが2番目の要因として挙げられると思います。」

としています。

 尾身分科会会長も、感染者減少の5つの要因の一つとして、夜間の滞留人口が2~3割少ない状態が6週間続いたことをあげています。

 

 麻生副総理や「経済優先」という橋下徹氏や三浦瑠璃氏などのコメンテーターは、人流は減っていないのに感染者が減ったから、もう人流なんて考えなくていいと言い出していますが、非常に危険な考え方です。

 結局は人から人へ感染する感染症の拡大・減少が、人と人の接触を左右する人流の量と無関係だなんて科学があるわけありません。

 賀来氏は、感染者急減の第三の要因として、8月のコロナ感染大爆発の報道で市民に行動変容が起きていることを上げていますが、ワクチン未接種者の中でマスクをウレタンや布から不織布にする人が増えれば、感染確率は大幅に減ります。

 逆に、政治家や影響力のある人たちがもう外出を制限すべきではないなどと楽観的な風潮を招いたら、本当に冬にコロナ第6波が来てしまいます。

麻生太郎副総理が新型コロナウイルス対策の行動制限について「本当にそれが必要で効果があったものなのか」「医者のいう話もコロコロ変わってよくわからんね」。政権の中枢でこの無責任と反知性主義は言語道断。

 

 

 一時は感染者が増えた台湾は、一気に検査数を増やし、行動抑制によって再び9月28日の感染者はたった7人。

 行動制限緩和はごく緩やかに。

 そして、PCR検査の徹底で感染拡大を早期抑え込み。

 何もかも遅れている日本は台湾やシンガポールに学ぶべきなのです。

自称政治学者の三浦瑠麗氏「新型コロナの被害の度合いは政策とは関係なく、地域差・人口密度・平均寿命で説明できる」「過剰なコロナ対策を取らず経済優先主義でいけ」とまだ言ってるでっち上げが半端ない。

コロナ感染が拡大したら、すぐに医療崩壊の危機になる日本では、緊急事態宣言が出ていようがいまいが、市民が賢く行動制限するんですよ。

そしたら、経済なんて回るわけがありません。

何度も言いますが、「経済優先」と言いながら遅めの緊急事態宣言発令、早めの解除を焦ってしてきたから、かえって日本経済は先進国の中でもダントツに低成長になってしまったのです。

コロナゼロとは言わないまでも、コロナをしっかり抑え込むことしか経済の再生もあり得ません。

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緊急事態宣言延長で2021年1~3月期のGDPはマイナス7%、経済損失6兆円、失業者22万人の見込み(野村総研・大和総研)。Gotoキャンペーンに執着した自称「経済優先」菅総理が日本経済に止めを刺す。

イソジン吉村大阪府知事「経済優先」の間抜けさ。大阪市が札幌市とともにGotoキャンペーンからまず外され、全国で大阪市だけが飲食店2万5000店に時短要請せざるを得なくなった。

これが安倍・菅官邸の実力だ。100万人当たりのコロナによる死者は日本13人、韓国9人、中国3人、台湾0・3人。4~6月期GDPは日本ー9・9%、中国+3・2%、韓国ー3・0%、台湾ー0・6%。

一日800人の死者を出していたニューヨーク市が一日最大6万件のPCR検査で死者をゼロにした!。検査したい人は誰でも無料。2週間に1度検査を受けるのがむしろ義務。安倍政権も小池都知事も見習うべきでは?

 

 

 
13日 13時28分 TBS
新型コロナウイルスワクチンの2回目接種が終了した人は国民の約5割。全国の感染者数も減少傾向が続いています。その要因を、報道特集・皆川玲奈キャスターが、東京感染症対策センター(東京iCDC)専門家ボードの賀来満夫座長に聞きました。

皆川玲奈キャスター:
現在のコロナの感染者数の推移について伺いたいと思います。東京は最近1000人台で推移していますけれども、どうして減ってきたんでしょうか?

東京感染症対策センター 専門家ボード 賀来満夫 座長:
感染者数が減っている要因としては、様々考えられますけれども、私は3点挙げたいと思います。

まず1点目は、ワクチン接種が着実に進んできている。いわゆるワクチン効果が見られるようになってきているのではないかと思います。東京都内では、65歳以上の高齢者の方の85%の方が2回接種を終えられています。または、都内全体で見ますと4割近い方が2回接種を終えられているわけです。そこで高齢者の方のワクチン接種率と、いわゆる新規感染者数、あるいは重症者数を見てみますと、これ1回、2回とですね、接種率が上がるにつれて、改善してきているんですね。特に2回目の接種率が60%ぐらいを超えてくると、重症化する方の割合がかなり改善しているということが解析されています。そういう意味ではまず1点目は、ワクチン接種の影響があるということだと思います。

2点目はやはり人流です。いわゆる人の流れが減少している状態が比較的長く続いているということです。お盆明けからですね、2週間で若干、人流は増加したんですけれども、その後また下がってきています。いわゆる6月末からお盆あたりの7週間、またその後、2週間少しは増加しましたけど、その後も減少してきている。このようにですね、人流、人の流れが長期間にわたって抑制されてきているということが2番目の要因として挙げられると思います。

3点目は、多くの方がリスクに繋がる行動を回避した、リスク回避行動というものが見られたと思います。これは東京都で1日あたり5000人を超えるような新規感染者数、あるいは医療体制が非常にひっ迫しているというようなこと、あるいは災害レベルというような報道もありました。またデルタ株で、若い方の感染が拡大してきている、あるいは妊婦さんの感染とかですね、様々な報道がありました。こういった報道をですね、しっかり都民の方が認識をして、リスクに繋がる行動を回避してきた。そういった危機意識を持って都民の方が協力していただいている。都民の方の努力といったようなことがある。すなわち、ワクチン接種、そして人流が比較的長期に減少している。そして多くの都民の方のリスク回避行動が今の感染の減少に至っている原因ではないかと思います。

皆川:
今後の見通し、減少傾向は続くのでしょうか?

賀来 座長:
ここ1、2か月で感染がどう推移するかについては、やはりプラスの要因とマイナスの要因を考えていく必要があると思います。プラスの要因はワクチン接種が進むということですね。それから、抗体のカクテル療法などが実用化されてきている。実際に実施されてきていて、東京都でも95%といったような非常に優れた有効性が認められています。また現在、経口薬、経口の治療薬の試験も進んでいまして、この冬にかけて実用化する可能性も出てきています。ですから、ワクチン接種、そして抗体カクテル療法、経口の治療薬などで感染者数を減らしていけるというようなプラスの要因があると思います。
もう一方、マイナスの要因としては、これはイスラエルなどで認められているんですけれども、ワクチン接種が進んで、一旦、新規の陽性の患者数が減ったんですけれども、やはりそのことで行動制限の緩和や、マスクの着用などをしなくてもいいというような、感染対策が徹底されていないことがあったんですね。そうしますと、やはりマイナス要因としては、このような感染の減少傾向が続いて、行動を緩和してもいい、あるいは感染対策はそれほどしなくてもいいといったようなことが起こってくると、これはマイナス要因として働きます。
ですから、ここ1、2か月はこのプラスの要因とマイナスの要因のバランス、どちらが上回るか、それによってここ1、2か月の状況が変わってくるということになると思います。

皆川:
ということはワクチン接種をこのまま進めていって、さらに今までのコロナ対策を同じようにやっていけば、新規感染者数はどんどん、例えば今、千人台ですけれども、東京の場合だったら数百人台、百人台まで減っていくことは可能なんでしょうか?

賀来 座長:
諸外国の例を見てみますと、ワクチン接種が約6割ぐらいの段階で行動を緩和していくと、また再び感染が拡大していますね。ですからワクチン接種率を8割から9割、ワクチンを受けられない方もおられますので全員が受けられるわけではないのですが、ワクチン接種が8割から9割、全世代において打たれ、そして感染予防を徹底し、リスクに繋がる行動を抑制する。いわゆる人流も爆発的に増えていくってことがないということになりますと、かなり下がってくる可能性はある。これが何百人台まで下がるかはまだわかりませんけれども、かなり今の状況を改善できる傾向が出てくると思います。

皆川:
そんな中、東京は緊急事態宣言が9月末まで延長されましたけれども、期間や、この対策は今とるべきものとしては最適なものなのか、先生の見解を教えてください。

賀来 座長:
今ちょうど感染が減少傾向になりつつあります。そういった意味で、これを延長していくということは非常に重要なことだと思います。東京都のいろんなステージ分類で見ますと、東京都ではいまだにステージ4の段階が多いわけですよね。そこで病床の占有率とか、重症者用のベッドの占有率など見ますと、まだかなり高いです。いわゆる医療体制はいまだひっ迫している状況にある。こういった中でやはり、緊急事態宣言が解除されるということは、非常に医療体制のひっ迫を、また再びそれを継続させることになりますので、今の段階で、やはり9月末までの延長というのは、これは今の医療体制から見ますと非常に重要なことではないかと思います。

皆川:
では宣言解除の目安は何でしょうか?

賀来 座長:
今回新たに政府の方で宣言解除の目安数を出されましたね。これは病床使用率が50%未満ですとか、あるいは重症の患者さんの病棟の使用率が50%未満、あるいは中等症が改善してきていることなど、いくつかのことが要件として挙げられていますけれども、こういった要件を満たすためには、まだかなり厳しいと。特に重症の患者というのは、新規の感染者の報告に遅れて、重症化している患者さんが報告されてきますので、この状況をみますと、なかなか解除というのは厳しいなというふうに思います。一方で、ワクチン接種の進み、そして抗体カクテル療法などが実際の臨床現場で使えるようになってきますと、プラスの要因として働きますので、こういったことで、急速に感染状況が改善していくということも一方ではあるので、やはりその状況をしっかりと見極めながら、解除ということを考えていく必要があると思います。

皆川:
そこに行くためにはやはりワクチンの接種率は全世代の8割から9割ぐらいが望ましいと先ほどおっしゃってましたけれども、やはりそこですか。

賀来 座長:
そうですね。やはり11月の行動制限の緩和という議論が出ていますけれども、これにはどのような状況になっているのか、ワクチン接種率が80%から90%に達して、そしてさらに、ブースター接種というようなことも十分考慮に入れた上で、現在の状況、刻々と変わるこの感染状況をしっかりと科学的に分析し、その結果に基づいて一気にではなく、段階的に緩和していくというような政策が求められると思います。
 
 
 
 

“第5波”はなぜ急激に減少したのか 尾身会長が語った5つの要素

配信 The PAGE

5要素、尾身会長はどう語った?

 

 

新型コロナウイルスのワクチン接種を終えた人が人口の80%を超えるシンガポールでは、政府が行動制限の緩和をすすめる中、感染者が増加し、27日から再び規制を強化しました。

シンガポールでは、新型コロナウイルスのワクチン接種を終えた人が人口の82%と世界的に高い水準となり、政府が、先月から行動制限の緩和をすすめてきました。

しかし、その後、感染力の強い変異ウイルスの「デルタ株」が広がり、26日、一日の感染者数としてはこれまでで最も多い1939人の感染が確認されました。

シンガポール政府は「過去28日の感染者の98%が軽症か無症状だ」として、ワクチン接種の効果は出ているとしていますが、今後、医療がひっ迫するような事態を防ぐため、27日から、飲食店での食事は1組当たり2人までに制限したほか、企業は原則在宅勤務とするなど再び規制を強化しました。

一方、新たな感染者数が連日1万人を超えるタイでは、政府が27日、全土に出されている非常事態宣言を、ことし11月末まで延長するとともに、首都バンコクなどで、午後10時から午前4時まで夜間の外出を禁止する措置を継続する方針を明らかにしました。

タイでは、ワクチンを2回接種した人が人口の26%にとどまっていて、政府が接種を急ぐとともに、警戒を強めています。
 

感染拡大のタイに日本政府が酸素濃縮器を提供

タイでも、感染力が強い「デルタ株」が広がっていて、この2か月あまり、1日の死者の数が100人から300人の日が続くなど深刻な状況となっています。

このため、日本政府は、重症化した人の治療に使われる酸素濃縮器868台を緊急に航空機で輸送し、27日、タイ側に引き渡しました。

日本政府は、これまでにおよそ165万回分のアストラゼネカのワクチンも無償でタイに提供していて、感染拡大の危機に直面しているタイへの支援を強化しています。
 

タイのタクシー会社 稼働していない車を使い野菜を栽培

 
タイでは、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、夜間の外出や飲食店での酒の提供を禁止するなどの規制が続いていて、飲食業や観光業などに影響が広がっています。

首都バンコクのタクシー会社では、今月から、稼働していないタクシーおよそ300台の屋根やボンネットで、従業員が、なすやとうがらしなどの野菜の栽培を始めました。

収穫した野菜は、収入の減った運転手や従業員に配られるということです。

タクシー会社の代表のターパゴーン・アサワルークンさんは「乗客がいないため、車を止めておかざるを得ず、多額の損害が出ている。政府には、少しずつ規制を解除し、ビジネスが続けられるようにしてほしい」と話していました。
 
 
 
 

9月26日(日)12時15分 プレジデント社

8月23日、台湾が自主開発したワクチンの接種を受ける蔡英文総統 - 写真=ZUMA Press/アフロ

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写真=ZUMA Press/アフロ
8月23日、台湾が自主開発したワクチンの接種を受ける蔡英文総統 - 写真=ZUMA Press/アフロ

■「コロナ対策の優等生」台湾が突如直面した危機


2020年、新型コロナウイルスの流入を防ぎ、感染の拡大を見事に抑え込んだ台湾。だが2021年5月、状況は一変した。5月10日の3人を皮切りに、台湾では毎日、市中感染が確認されるようになった。発端は中華航空の国際貨物便パイロットによる輸入感染で、彼らを隔離収容したホテルのミスなど、いろいろな要素が重なったとされている。


その1週間後の5月17日には、過去最高の535人の感染者が確認され、瞬く間に全国に蔓延(まんえん)した。この急転直下の感染拡大に、台湾は一時期パニックになりかけた。さらに6月26日にはデルタ株の市中感染、国内流入も確認され、台湾のコロナ神話も崩壊したと思われた。

しかし、2カ月後の7月11日以降、台湾は市中感染を30人以下に抑えている。この状況をアメリカの「The Diplomat」は7月29日の記事で「Why Taiwan is Beating Covid-19 again」と称賛している。そしてついに8月25日には、3カ月ぶりに国内感染ゼロを達成した。


かたや日本では年明け以来、大都市圏を中心に感染拡大がたびたび発生。東京では8月末までの244日間のうち、まん延防止等重点措置がのべ34日間、緊急事態宣言がのべ181日間(計88.1%)も適用されてきた。しかし、大規模な感染拡大を防ぐことはできず、医療機関が逼迫(ひっぱく)する事態に陥ってしまった。今も19都道府県で、9月30日まで緊急事態宣言が延長されることが決まっている。


昨年と同様、市中感染の拡大を迅速に抑え込んだ台湾と、出口の見えない緊急事態宣言をだらだらと延長し続ける日本。いったいどこがどう違ったのかを、本稿では検証してみたい。


■市中感染7人で警戒レベルを1ランクアップ


台湾の今回の市中感染拡大は、4月中旬頃からその兆候が見えていた。花蓮市在住で日本料理店を経営している溝渕剛氏は、「ぽろぽろと本土感染が出て来て、嫌な感じは漂っていた」と証言している。


写真=iStock.com/Travel Wild
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Travel Wild

4月下旬にはコロナ対策を統括する中央感染症指揮センターが、複数の感染者が立ち寄った場所と時間帯を公開。注意喚起を行い、感染者の発見に努めていた。この時点で、同センターは感染爆発の可能性を考えていたのかもしれない。


5月10日に3人、11日には7人の新規感染者が確認された。台湾では1年ぶりの、感染源不明の市中感染例も含まれていた。この段階で、中央感染症指揮センターは全国の警戒レベルを1段階上の「第2級」に強化。三密場所でのマスクの着用の義務化(罰金あり)、室内100人以上、屋外500人以上の集会禁止などの徹底を国民や官民の機関に求めた。


■スマホでQRコードを読み取るだけの追跡アプリ


その後、5月15日には台北市と新北市の警戒レベルを「第3級」に上げ、19日にはそれを全国に適用した。外出時は常にマスク着用が義務付けられ、室内5人以上、室外10人以上の集会は禁止。警察、医療、公的機関、ライフライン関連事業を除く建物・施設は閉鎖を命じられた。


第3級の宣言は昨年のコロナ禍発生以降初めてのことで、さらに国民の緊張は高まった。検査業務の再強化やCOVID-19専用病床の再開、防疫ホテル・隔離施設の拡大に加え、地方自治体が独自の迅速な対応を行えるような権限譲渡も発表された。


さらに、クラスター発生時の濃厚接触者の追跡と本人への通知を容易にするため、交通機関や店舗の利用時に連絡先と利用時間を登録する「実聯制」の利用も推奨された(登録した情報は28日間を過ぎると削除される)。もとは備え付けの用紙に書き込む仕組みだったが、その後スマホで店頭のQRコードを読み取り、メッセージを送信するだけで登録が完了する無料アプリだ。


実聯制アプリの利用は個々人の任意で、強制や罰金などの規定はないが、国民のほとんどが応じているとされる。台湾の、ITを駆使した実効性と汎用(はんよう)性のある社会制度インフラ構築力には驚かされる。


■日本はなぜ大きく差をつけられたのか


台湾から日本を見ていて思うことはいろいろある。


まず日本では、緊急事態宣言の発令基準が当初あいまいだったし、その後定められた基準をクリアしても「総合的判断」から宣言期間が延長されることが繰り返された。国の基準に加えて各自治体ごとの基準も乱立しており、その結果国民の間に「まだ発令しないのか」あるいは「いつまで続けるんだ」という戸惑いが生まれているように見える。


さらに宣言下の行動指標も、具体的な人数をあげて集会の規模を制限する台湾に比べれば「不要不急の外出を控える」などの単なる「自己判断による自粛要請」であり、「どういう行動はセーフで、どういう行動がアウトなのか」が分かりにくい。


濃厚接触者の追跡調査用のスマホアプリ(COCOA)や陽性者データベース(HER-SYS)も、台湾の「実聯制」よりはるかに複雑なシステムのわりに、どこまで感染拡大の抑止に役立っているのかはっきりしない。事実今年8月からの第5波の流行では、人力頼りの保健所がパンクし、濃厚接触者の追跡調査は放棄されてしまった。


■可能な限り国民に情報を開示


筆者が注目しているもう一つのポイントは、台湾の保健当局が可能な限りの情報開示を国民に対して行っていることだ。


中央感染症指揮センターは記者会見やインターネットなどで、感染者の基本情報、感染者と濃厚接触したと断定された人数とその検査結果、感染者が感染確定までに立ち寄ったと証言した場所と時間帯、クラスターの発生場所とその原因と被害状況、必要であれば感染者のウイルス量を示す検査数値や感染経路の詳細(不明調査中を含む)までを逐次開示。死亡例の場合は、性別・年齢、基礎疾患の有無やその内容、感染場所、症状、発症日、感染確定日、死亡日なども詳細に公表される。


さらにクラスターが発生した施設や危険度が増している地域を地図で具体的に示し、当該地区の住人や立ち寄った人に対しては、発熱や呼吸器障害、腹痛、味覚障害などの症状が出た場合、速やかに保健所に連絡するよう勧告も行った。


5月13日に公表されたクラスター発生区域の地図。(台湾・中央感染症指揮センターより)

このような徹底した感染状況の「見える化」は、台湾の人々の危機意識の向上と抑止力にもつながっている。実際、警戒レベルを上げた当日などは、繁華街や駅から人が消え、無駄に外出する人はいなかったと報道され、町から人が消えた模様をとらえた多数の写真がメディアやネットで流れた。


■「感染者数」「重症者数」だけで何がわかるというのか


一方、日本では感染者数や重症者数といった抽象的な「数」ばかりが強調され、台湾のように感染の実態がわかる具体的内容はあまり積極的に開示されない。聞こえてくるのは有名人の感染ネタや批判評論・言い訳・愚痴ばかりで、いったいどこが危険で、どういう行動が危ないのかよく分からない。


そんな状況でただやみくもに「危ない」「自粛せよ」と呼びかけられても、実感がわかない。実際に苦しんでいる感染者や重症者の顔、実際に現場で戦っている医療従事者の声は、数字からは見えないし聞こえない。「かけ声ばかりで真実が見えない」、これがコロナをめぐる日本政府のメッセージが国民に通じない、響かない、根本的な原因なのではないだろうか。


感染症との戦いは、ある種の「有事」対応である。正確な情報を国民に開示し、先手を打って感染拡大を防いでいく姿勢を見せることこそ、国民の危機意識を醸成し、国民の安全を守る初歩の初歩ではないだろうか。台湾と比べると日本の対応は常に後手後手で、手法もその目的もひどくあいまいに見える。


■デルタ株初流入に台湾が見せた「鬼対応」


世界中で新たな感染拡大の元凶となったデルタ株への対応でも、台湾は際立った動きを見せた。台湾中央感染症指揮センターが、台湾で初めてデルタ株の感染者を確認したと発表したのは6月26日。ペルーからの帰国者を起点にしたクラスターであることも同時に報告された。


台湾当局はすぐに接触者の特定を急いだ。最終的には「濃厚接触者との接触者」まで隔離範囲を拡大し、この案件での接触者隔離は700人あまりに及んだ。さらに、感染者や濃厚接触者が立ち寄ったとされる箇所の該当者すべてに徹底した検査を行い、その検査数は延べ1万5000件近くに達したとされる。


国内感染ゼロを続けていた台湾では、一般国民向けの大規模なPCR検査の必要がなく、市中感染が拡大する前の今年4月下旬の数字では、1日あたりのPCR検査数は750件程度にすぎなかった。だが感染拡大の傾向を把握した途端、検査規模を一気に拡大。6月中には人口比でみれば日本の3倍近くまで検査数を増やしている。


■デルタ株の拡大抑止にほぼ成功


徹底したクラスター調査と厳格な隔離処置、機動的に拡大した圧倒的な検査量、さらに水際対策の一層の強化によって、台湾の保健当局はデルタ株の市中への再流出を防いだ。最終的に17人のデルタ株感染者が発見されたが、そのほとんどは隔離者の中からで、国内での感染拡大はほぼ防げている状況だ。


5月末から6月はじめにかけてのピーク時には600人を超えた1日の新規感染者数は、ひと月ほどで急減。9月に入ってからは6日の16人を除けば、ひと桁代にとどまっている。8月23日には、台湾自前の国産ワクチンの接種が始まり、蔡英文総統も自ら率先して接種を受けている。


政治的指導力、行政能力、有事対応能力、経済力、技術開発力などを遺憾なく発揮して、台湾は昨年からのコロナ禍というピンチを見事にチャンスに変えている。欧米のメディアでは、台湾が人権や自由を奪わない形で、民主的な法治国家としてコロナを制圧していることへの賛辞が多い。欧米諸国の多くは台湾が独裁国家・共産国家と対峙(たいじ)してくれたことをしっかり認めており、昨年からの各国の台湾への対応にもそれが明らかに表れている。


■国民の健康、安全、生活を守る意志があるのか


スピード、事実の開示、公開報道、的確かつ厳格な対応、そして国民への結果の報告。どれを取っても台湾の感染症対策には隙がない。なぜ、日本にそれができないのか。


海外からの変異株の流入に無頓着で、公開される情報は断片的。デマや虚報を放置し、国民は正確な情報がどこにあるかも分からない状態だ。いつも後手後手の対応に、もはやイジメにも近い終わりの見えない自粛要請。緊急事態宣言のゴール設定もなく、日本の政府当局はただただ嵐が過ぎ去るのを待っているだけのようにすら見える。国民の健康、安全、生活を守っていこうとする意志より、政治闘争ばかりが見え隠れする。


冷静な読者であれば、日本が残念な国に成り果てていること、台湾や世界から学ぶ点が多々あることに気付くのではないだろうか。


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藤 重太(ふじ・じゅうた)
アジア市場開発・富吉国際企業顧問有限公司 代表
1967年、東京都生まれ。国立台湾大学卒業、経営学士、日台交流・国際経営アドバイザー。92年香港でアジア市場開発設立。台湾経済部政府系シンクタンク 顧問、台湾講談社メディアGM 総経理などを経て、現在は日本・台湾で企業顧問、相談指導のほか、「台湾から日本の在り方を考える」「日本人としての生き方」などのツアー・講演活動を展開。
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(アジア市場開発・富吉国際企業顧問有限公司 代表 藤 重太)

 

 

 政府が緊急事態宣言の解除方針を固める中、新型コロナの感染状況を分析し厚生労働省に助言する専門家組織「アドバイザリーボード」は27日、「全国的に感染状況はかなり改善し、宣言解除の指標もほとんどクリアした」と評価した。ただ、座長の脇田隆字・国立感染症研究所長は、解除後のリバウンド(感染再拡大)を防ぐには、新規感染者を10万人あたり15人まで下げたいとした。(沢田千秋、原田遼、池田悌一)

◆2回接種完了は全人口の57%

 過去最多の感染者数を記録した第5波は大きな爪痕を残した。厚労省によると、8月1日から9月26日までに、全国で2290人が新型コロナで死亡した。医療体制は逼迫ひっぱくし「救える命が救えなくなる事態」が発生。警察庁のまとめでは、自宅など医療施設以外で亡くなった新型コロナ陽性者は、8月の1カ月間で250人に上った。
 一方、この間にワクチン接種が加速。接種を2回完了した人は27日時点で全人口の57%に達する。政府は抗体カクテル療法も約3万人に投与。軽症や中等症患者の重症化予防に役立っている。

◆波の「谷間」の最小値も前回下回る

 重症患者が減ったことで、政府の分科会は宣言の新たな解除基準を提示。「新規感染者が(最も深刻なステージ4相当の)10万人あたり25人を超えても、すぐに医療逼迫につながらず、より高い数字を許容できるようになった」とし、解除の目安となる新規感染者数を「10万人あたり50人」とした。
 首都圏1都3県は27日時点で、10万人あたり13.6~17.1人まで減少。脇田氏が「リバウンドを防ぐため、もう一段階下げたい」として挙げた目標の15人も達成しそうだ。
 今年に入ってから、感染者数が下がりきらずに宣言を解除しリバウンドを招いてきた。波を越えるたび、「谷間」の感染者数の最少値は大きくなった。しかし、第5波を過ぎた今回は初めて、東京都で前回の谷間の最少値を下回り、宣言解除の環境は整った。

◆「制限一切なし」は受け入れられず

 これほど急速に感染が縮小した理由は諸説ある。27日の専門家組織会合では、感染者数の激増や医療逼迫の報道による人々の「不安感」が外出機会を減らし感染を抑えたと分析。また、ワクチン未接種者が多い30代以下が夜の繁華街を避けていることも、感染減少の一因になったと仮定する。政府によると、20~30代の2回接種率は35%前後にとどまる。
 「いくつか推測はあるが、はっきり確信は持てない。なぜか解析したいが、分からないことだらけだ」。専門家組織の釜萢かまやち敏・日本医師会常任理事は率直に語る。政府は28日、宣言の全面解除を専門家に諮問する。感染の急速な縮小要因が明確でない中、釜萢氏は「政府が一切の制限なし(で解除)という案なら受け入れられない」と話す。
 岡部信彦・川崎市健康安全研究所長は「解除は妥当」としつつも「一気に解除すると、また一気に感染が増える」と警戒する。脇田氏も「解除のニュースで逆に安心感が出て、我慢から解放され行動が活発化すると感染拡大につながる」と指摘。マスク、手洗い、換気に加え、密集、密接、密閉を1つでも避ける「ゼロ密」など基本的な感染対策の重要性を強調した。
 
 
 
 
 

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1 コメント

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いやあ、腹を切られても後始末が大変ですし (時々拝見)
2021-09-29 20:19:06
ハラをキレ→ハジをシレでいかがかと。
振り返ってみると
昨年の春節前の中国での感染拡大で、日本は国賓・春節の儲け・五輪があるからと、特に中国との交流を止めないアベノムサクの時に台湾は動いてました。日本で第0波があっても、検証する気がなければ真相は闇の中(当時の検体があれば抗体の検出は理論上可能とは思いますが、数が少ないので、隠したい人にとっては勿怪の幸い)。
GoToみたいに日常の範囲を越えて人が動けば急速な感染拡大は当たり前です。
ところで、今回の総裁(相殺)選、案の定二階隠しの下で実施されました。
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