ハンガリー程、主権国家という言葉が似合わない国も多くないだろうに。
この首相の価値観を前提にするとハンガリーは主権国家だった時間が極めて短い隷属国家だったという話になってしまうわけで長い期間オーストリアの一部でやっと独立したと思ったらドイツやソ連の衛星国転落したわけで、その事実を踏まえた上での発言であるというのであればハンガリーの首相の発言はある部分で正しいのだろう。とはいえ実情は既にそこに無い。ウクライナという国家の「主権」を巡って「国際社会の正義と団結」に挑戦したロシアという国家の「戦争犯罪」に対して国際社会がどう向き合うかが問題になっているわけでEUに加盟するハンガリーはそもそも主権国家ではないがEUという枠組みにロシアが挑戦したらハンガリーは戦うのか?それともロシアに隷属するのか?という話だろう。プーチンを戦争犯罪人にできないという考え方自体は否定しないが、もしもハンガリー国内でテロ組織が出てきて都市を制圧した場合に、テロ組織の首謀者を犯罪人にせず対話を求める覚悟がハンガリーの首相にあるのだろうか?現実問題としてウクライナからロシア軍を全部追い払ってもプーチンを逮捕するのは難しいだろうが対話ルートが無いのはそれこそ「国際社会の正義と団結」に挑戦した結果であってロシアとウクライナが対話するというのであれば当然「国際社会の価値観や歴史的経緯」を認めその枠組みに従う前提でしか対話は不可能だ。ハンガリーのこの主張をどう贔屓目に見ても無理筋だし、他の国からは評価されないだろうなあ。