逃げるは恥だが役に立つ(4) (KC KISS) | |
海野 つなみ | |
講談社 |
今度紹介するのは、女性向けマンガです(少女マンガなのか?さすがに本作品の掲載誌Kissは手に取ったこともないので不明)。つい最近4巻が発売されたばかりで、全国的にジワジワと隠れファン?が増えていると思われるこの作品です。
私が作者である海野つなみさんを知ったのは――あの猫マンガの金字塔『What's Michael』を生んだ――モーニング誌に「排気ダクト」という短編が掲載されていたからなのです。
いじめと今流行の発達障害的なカテゴリーにネット社会の恐ろしさを絡めたこの作品は、短編ながらあまり受けたことのないインパクトを多くの人に与えるのではないでしょうか?
その後、再びモーニング誌に掲載された短編「さよなら世界」は、切なくも巡りゆく命と気持ちの物語です。
この作品に出てくるショート・カットされたポメラニアンがとてもかわいいのです。眼がクリクリでこーいう子いるよね~と動物病院で働いている人なら納得のポメなのです。
こういうシンプルなタッチでかわいく書くのってセンスがいりますよね。私、美術は得意だったんですけど、どうしてもリアルな方向になってしまうんです。
2編とも超オススメです!単行本としてははまだ出てないのかな?
さて「逃げるは恥だが役に立つ」ですが、この言葉はハンガリーのことわざだそうです。
テーマは現代における結婚そして労働との兼ね合いと言えましょうか……選択肢が増え過ぎたためか?幼い頃から合理的な正しさ(絶対的に正しいものなどありはしないのに)を親や先生、テレビなどの権威に押し付けられきたせいか?自分の脳ミソを使って選択することができなかったり、自分自身にも選択権があることに気付かなかったり、無意識に?そこから逃げたりする現代人をちょっと極端に描いていて、とてもおもしろいです。
マンガというだけで読みもしないで却下してしまう人もいますが、絵によって右脳に働きかけることで、文章だけにはない表現が可能なんだと思います。その中でも、こんなおもしろい発想で深くも笑えるストーリーが作れる人はあまりいないと思います。
結婚とは?夫婦とは何か?を考え直すヒントもたくさんちりばめられていますので、未婚、既婚問わず、女性だけでなく男性にも――愛の周囲で悩むすべての人にオススメです!
まだ完結していないので今後の展開がとても楽しみですね。
昔からのコアなファンはあまり有名になり過ぎてもイヤだったりするジレンマもありそうですが(にわかファンなのに紹介してしまってゴメンナサイ)、ドラマ化もありうるかも?というおもしろさですよ!1巻からしっかり読んでみて下さい!