猫ちゃんの肉球と言えば、プニプニでかわいらしく、ちょっとしたデザインにも使われる愛らしい存在ですよね。
でも、その肉球の一部がこのように剥がれ、赤くただれてしまう病気が時々あります。
ひどくなると、このようにジュクジュクと潰瘍化し、出血傾向となってしまうので、痛々しくてかわいそうなのです。
これはやや長毛の猫ちゃんだったためか?潰瘍化した所に毛と混ざりあったカサブタが張りついています。
この病気になると、潰瘍化していない足底球も腫れぼったくてカサカサしている傾向なので…明らかに異常に見えます。
この病気で思い出されるのは、このやつれてしまった野良猫ちゃん。
他院にて内科療法が効かず、外科的切除を二度行った…ということですが…
この通り、ひどい状態で…私もここまでひどいケースは初めてですね。
抗菌薬だけでもよくなることが多く、外科的切除でよくなることもあると教科書的には書いてあるのです(ステロイドも効くような記述がありますが、私の経験では効きませんでした)。
が…まあ、この病気は多頭飼育的な環境でレトロウイルスが蔓延しているであろうケースでの発生が多いので、なかなかややこしいですね。
抗菌薬だけで効かなかった場合、当院では漢方薬を併用して良い結果が出ているので、この子にも使うことになりました。
これは約1ヵ月後の写真です――職場周囲に住み着いたノラちゃんなので、きちんと投薬できないこともあったようですが、かなり良くなってきました。
これは約2ヵ月後の写真です――最初の写真と比べると、足底球の腫れが引き、しぼんでいるように見えます。
その後、しばらく診察に来なかったので気になっていたのですが、約6ヵ月後にケンカによる外傷で来院となりました。
肉球を確認してみると…ちょっとシワシワしていますが腫れはなく、潰瘍化もしていません。
治って元気だったから来院しなかったそうで、飼い主さん(世話主さん?)はとても喜んでいました!
転院して来られた場合、難治性のケースが多いので油断禁物なのですが、シンプルな治療で、あの状態からここまで良くなるなんて、私もちょっと驚きました!