こんにちは、作業療法士の加藤です
今回は、書籍の紹介です。
以前に紹介させていただいた全国二次障害問題シンポジウムの主催団体である、肢体障害者二次障害検討会の編集によるものです。
脳性まひなどによる肢体不自由を持つ方々は、30歳前後、早い人では20歳くらいから、もともとの身体の障害の悪化や、手足のしびれや冷感、首や腰、股関節の痛みなどが生じ、健康障害・身体機能の低下をもたらすことが多くあります。
本著では、このような、新たに出現する症状や障害をもともとの障害(一次障害)と区別して、「二次障害」とし、紹介しています。
内容としては、まず、当事者の方々の「二次障害」の体験談として、その経緯や現状が紹介されています。特に、身体状況が刻々と変わっていく中で、どのように障害と向き合ってきたか、生活の中で工夫できることや心がけるべきことは何かということを、全部で7人の方が個々に記述してくれています。リハビリに携わる者としては、非常に勉強になりました。
さらには、様々な分野の医師や理学療法士、住宅や家財道具の改修のプロの方などから、それぞれ専門的な視点でもって二次障害についてのことが書かれています。
二次障害は、生活をしていく中で、どうしても生じてしまうものではありますが、少しでも発生を遅らせる、あるいは軽くなるようにするためには、どのような姿勢や運動が体に負担をかけてしまっているのか、どれくらいの休憩が必要なのか、どのような精神状態や環境が体の緊張を高めてしまっているのかなどを、私たちのような専門職のものだけでなく、ご自身やそのご家族の方々にもある程度把握して頂くということが大事と感じています。このような過程があってこそ、自身の障害にむきあうとか、障害をもちながらも主体的に生きるとか、ということにつなげていってもらえるのではないかと思います。
私たちリハビリの人間は、当事者の方々の姿勢や環境、日常動作の分析を行い、それらの改善を目指すわけですが、あくまでも主体的に生きる利用者の方々のサポートをする仕事なのだということを忘れずに、利用者の方々にとってわかりやすいリハビリプランの提示を心がけていきたいと改めて思いました。
以上、書籍の紹介でした。
興味のある方は是非読んでみてください