こんにちは、作業療法士の加藤です
今回は、在宅の環境設定の実践報告です
脳性麻痺などの影響により、体を自分でしっかり起こしておくことができないと、日常場面において様々な大変なことがあります
お風呂もその場面の一つです。現在、私の担当させていただいているお子さんは、ヘルパーさんの介助による入浴サービスを使用しているのですが、洗体動作は、浴室にマットを敷き、その上に寝転んで行っています。
しかし、だんだんと体が大きくなってきていることもあり、自宅のお風呂での洗体が少しずつ行いにくくなっているということでした。加えて、日常場面で、少しでも介助に協力できるような設定を考えたいというお母さんの思いもありましたので、洗体場面で自分で座っておける環境設定を考える運びとなりました
以前、床坐位用の木製の椅子を作ったお子さんなのですが、木製ではお風呂では使えないので、お風呂でも使える素材で加工のしやすいものを探すところから始めました。ということで、見つけた素材が…
これです。ホームセンターで買いました。柔らかいプラスチック製のバケツです。写真は切り込みを入れたところです。
バスマットを底と背面に設置しました。見た目の不安定感は否めませんが、座ってみると割と安定してます
実際に座ってもらいました。あぐらが比較的得意なので、太ももの位置に合わせて切り込みを入れました。前方向にグニャッと倒れこんでしまいやすいお子さんなのですが、なんとか座位を保ててます。
裸だと、バケツの切込み部分が当たることで皮膚を痛める可能性があるのでタオルを敷きました(現在は、ヘルパーさんが上手に柔らかい素材の滑り止めマットを挟み込んでくれています)。
今回のポイントとしては、「自分で坐位を保てること」「スペースをとりすぎないこと」「清潔の保ちやすさ」という点に重点を置いています。ヘルパーさんに実際に使ってもらったところ、頭を洗うことは行いやすくなったと言ってもらっていますしかし、時間経過と共に、頭の重さで右前方に少しずつ倒れてしまうことや、お尻はむしろ洗いにくいことなどがあり、体幹機能の強化や手の支持の強化を進めるとともに、設定も考え直す必要がありそうです
と、お風呂での使用はこんな感じでした。しかし、この間、家族旅行で旅館に行った際に、持って行ってくれたようなのですが、畳の部屋で寝ころぶだけでなく座っている姿勢もとれたのがよかったという評価もいただけました木製よりも軽いので持ち運びもしやすいとのことでしたいろんなシチュエーションで姿勢のパターンが増えることは非常に良いことと思います。結果オーライ、良かったです
写真の掲載にあたり、ご家族の了解をいただいております