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好事家の世迷言。(初代)

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調べたがり屋の生存報告です。

EP10 佐藤由美子編(JC第3・4巻)考察。

2020-05-11 | 『シティーハンター』原作考察
『裸足の女優』

香のポジショニングについては、ひとまず脇に置いて。
本編を盛り立てる「美女」のモデル、
ひいては作品全体の路線が模索される時期に入る。

しかしながら、その課題は、この回でほぼ成功、完成した。
多岐にわたる属性を持つ獠&香は、言ってみればゼネラリスト。
その彼らに対応する解の一つは、一生の仕事に身を投じるスペシャリストたる、
「職業人」ルートだった。

映画『白昼の殺意』で主演を務める女優・佐藤由美子は、
物語の前半では獠でさえ予想し得ないユニークな言動を見せ、
逆に、後半では心を開き、秘めていた真意を激情と共に打ち明ける。
そして、最終的に彼女は、獠&海坊主の名演に乗せられた形で、
亡くした恋人という過去を、文字通り撃ち倒し、自らの足で未来を目指す。
もっと言えば、彼女は、今までのゲストキャラ達に付きまとっていた
「死」の世界をまとめて振り払った。

これで今後、獠による「美女のボディーガード」には、
重要なファクターが付与される。
ただ安全を守るだけでなく、彼女たちの心のわだかまりも解消する事。
言ってみれば、「憑き物落とし」の側面だ。
「殺す」事から始まった本編は、いよいよ「生きる」物語へシフトしていく。
この回から、マスコットキャラの一つ、カラスが多用され始めたのも、
必然だったかもしれない。

それでは。また次回。

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