俺はエリュテイアを抱えると、セーブルに預けた。
「俺はカケラを破壊してくる。ケリを付けて来ないとな」
「……了解した」
「気を付けて下さいね」
二人は、ぐったりとしている彼女を介抱しつつ、塔を下りていった。
俺が小さな塔に入ると、エリュテイアがいた。広場で会った彼女だ。
彼女は憂いを帯びた目で、俺を見ていた。
「危ない!」
急に叫んで、彼女は俺の背後に身を躍らせた。
振り返った俺は、瀕死になってる俺の偽物が、彼女を切りつけたのを見た。
俺は、奴に体当たりを食らわせた。
奴は突き飛ばされてバランスを崩し、屋上から下の湖へと落ちていった。
俺は再び振り返り、胸から血を流す彼女を抱き起こした。
「何で、俺を?」
「これで、おあいこ、ですわ。あなたが広場で、わたくしにしてくれた事」
彼女は、柔らかく笑った。
「わたくしは、欠陥品なの。『感情』があるのは間違ってるって、皆が」
「そんな、そんな事ねーよ! お前は間違ってない!」
「わたくしは、偽物です。でも、本物だったら、わたくしは、あなたを……」
言葉は最後まで聞けなかった。俺は唇を噛んだ。
御印の首飾りを、横たえた彼女の胸に置いた。
塔のてっぺんまで上り、見つけた鍵穴に、金の鍵を差し込んだ。
術式が動き出したのか、塔が少しずつ震えだした。
「俺はカケラを破壊してくる。ケリを付けて来ないとな」
「……了解した」
「気を付けて下さいね」
二人は、ぐったりとしている彼女を介抱しつつ、塔を下りていった。
俺が小さな塔に入ると、エリュテイアがいた。広場で会った彼女だ。
彼女は憂いを帯びた目で、俺を見ていた。
「危ない!」
急に叫んで、彼女は俺の背後に身を躍らせた。
振り返った俺は、瀕死になってる俺の偽物が、彼女を切りつけたのを見た。
俺は、奴に体当たりを食らわせた。
奴は突き飛ばされてバランスを崩し、屋上から下の湖へと落ちていった。
俺は再び振り返り、胸から血を流す彼女を抱き起こした。
「何で、俺を?」
「これで、おあいこ、ですわ。あなたが広場で、わたくしにしてくれた事」
彼女は、柔らかく笑った。
「わたくしは、欠陥品なの。『感情』があるのは間違ってるって、皆が」
「そんな、そんな事ねーよ! お前は間違ってない!」
「わたくしは、偽物です。でも、本物だったら、わたくしは、あなたを……」
言葉は最後まで聞けなかった。俺は唇を噛んだ。
御印の首飾りを、横たえた彼女の胸に置いた。
塔のてっぺんまで上り、見つけた鍵穴に、金の鍵を差し込んだ。
術式が動き出したのか、塔が少しずつ震えだした。